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幽霊

特にオチのない実話です

思春期の授業中、窓の外をぼんやり眺めるといつも体育館の屋上に居た女性の幽霊の話

今はもう見えません
僕にとってのトトロです

オカルトうんぬんの話ではなく
ただそこに居たのを何度か見たってだけの話
怖いと思ったことはありません

長い黒髪ストレート
体育館の上なのでいつも風が吹いていて
なびいて顔は良く見えませんでした

真っ赤なワンピース
半袖だったかノースリーブだったか
なので冬場はあまり見かけた記憶がありません

左手にバイオリン、右手に弓
弾いている姿を見たことはありませんでした

たまに向かいのマンションの屋上だったりもしましたが大体いつも体育館の屋上でした
それも端っこの方

思春期の精神状態なんて意味不明です
大人になって思い返したってどうにもなりません

けど確かに感じたのは
いつからかその人が見えなくなり
見えなくなったと気づいた瞬間に
自分は大人になったんだ
と思いました

いつからが大人なんだろうと考えた事は誰しもあるでしょう
もちろん明確な答えなどはありません
が、自分にとってのタイミングはあるんじゃないでしょうか
大体は後付け設定ですが

この体験を冷酷に診断するならば
幼稚な妄想をやめて現実を見るようになったから
だと思います
実際そんなところだと思います


今でも街を歩いていて
赤いワンピースを着た黒髪の女性を見かけるとつい目で追ってしまいます

運命のような出会いや突然のラッキーを心のどこかで期待しているのでしょう


ところで
VTuberの僕は現在一種類の衣装しかありません
今のところまだ新しい衣装の仕立ては予定していませんが、いつか赤いワンピース姿になってみたいなと考えました

かつて見た幽霊の姿
実はそれは未来の自分の姿だった
二束三文物語

おわり

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