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欅坂46 『黒い羊』と米津玄師『Lemon』の共通点とは? ヒットチャート研究考察 第5回

理系バンドDENSHI JISIONヨシダ所長です。ヒットチャートを賑わす楽曲を研究・考察するヒットチャート研究考察 第5回 ​は僕が担当します!

《過去の記事はこちらから》
「米津玄師/Lemon」は喉を乾かせる天才。 ヒットチャート研究考察 第1回
「 ALXD/[Alexandros]」はロングヒットの秘密はタイアップ6回。ヒットチャート研究考察 第2回
「あいみょん/ マリーゴールド」の売れ方は時代の鏡。ヒットチャート研究考察 第3回
「Aimer/I beg you」は女性ソロアーティスト部門で5年ぶりにシングル1位を更新できたのはなぜか。 ヒットチャート研究考察 第4回


今回僕が取り上げさせていただくのは欅坂46 『黒い羊』
まずはMVで曲をチェックしましょう。

・・・かっこいいです。素直に。
僕は欅坂46のファンではないですが、挑戦的かつクールで良い曲ですね。

前回僕は米津玄師さんのLemonを取り上げましたが、
若者の葛藤を表現するという部分で狙いがかなり近いと思いました。

このヒットチャート研究考察ではなるべくどんな人が読んでも分かりやすい分析を目指しているのですが、すみません、今回コード進行に関しては少し専門的な用語が入ってしまいました。(汗)
やはりコードの話なしに楽曲を説明するのは難しい・・・。
まぁふーんとそうなんだぁと読み飛ばしていただけるとありがたいです!

楽曲構成データから見る欅坂46 『黒い羊』

BPM(曲の速さ):103
Key:C#m
曲の長さ:5:07
サビまでの長さ:1:08
ジャンル:J-POP (※iTunesより引用)

曲が長いのがまず目に付きます。
J-POPのシングル曲で5分はなかなか異例ではないでしょうか。
しかし2番のAメロからは単純な繰り返しでなくメロディにかなり変化をつける等、リスナーを飽きさせない工夫がされています。

Billboard CHART INSIGHTのデータから見る欅坂46 『黒い羊』

※Billboard CHART INSIGHTより引用(2019年3/24時点)

1月中旬に楽曲発売がアナウンスされ、Twitterを賑わせました。
CDセールスは1週目1位、2週目2位と上位をキープしています。
さすがAKBグループCDセールスの構成比が多いですね。

コード進行展開から見る欅坂46 『黒い羊』

もちろん昔からありましたが、米津玄師さんの影響もあってか最近のトレンドにもなりつつあるマイナーキー(C#マイナー)と平行調のEメジャーキーとを行ったり来たりする進行となっています。
底抜けに暗いわけでもなく、明るすぎるわけでもないこの楽曲の雰囲気をコード進行が作っています。

面白いと思ったのは1番ではBメロも、Cメロもサビも同じコード(A)からはじまっています。
展開が変わる部分では違いを際立たせるために別のコードを使うことが多いのですが、このコードの使い方は勉強になりました。
サビではこれまでの展開では1小節ごとに変わっていたコードを2拍ごとに細かくコードを変化させており、サビの躍動感を演出しています。

またサビ(1:21〜)の 「全員が納得するそんな」の部分のコード
G#も王道中の王道の使い方ですが、いままで曖昧だった調性にここではっきりとマイナー感が出てグッときます。ここが個人的に一番かっこいい部分だと思います。

アレンジの特異性が際立つ

とにかくベースが目立ちます。
こんなに激しい音色とフレーズのベースをアイドルの曲に使う制作陣のセンスを感じました。普通だったらもっとベースのフェーダー下げろとか言われそうですね。笑

激しいベースと対比されるように美しいピアノとストリングスが見事にマッチしています。また階段を歩く音や雑踏の自然音(SE)をがっつり入れているのもかっこいいです。日本だとSeihoさんとかトレンドになってますし、この影響もあるのでしょうか。僕はコーネリアス信者なので昔から自然音を楽曲に取り入れるのは大好きです。

曲の展開から見る欅坂46 『黒い羊』

曲の展開として 0:58〜の1番のサビ前のCメロが良い味出してます。
単純なA→B→サビといかずに、メロディで変化をつけるこの展開の作り方は素晴らしいと思いました。

また3:20〜の2サビ後のEメジャーに移調したクラシカルな展開も見事です。
ここまでずっと暗く切ない雰囲気できた曲ですが、ここでリスナーは一筋の希望を持つことができます。米津玄師さんのLemonも同じ手法を使っていますね。

歌詞から見る欅坂46 『黒い羊』

集団の中で葛藤する若者の苦悩が歌われています。
モラトリアムを表現をする歌詞と今回のマイナーとメジャーを行き来する楽曲がマッチしています。
一人称は「僕」。女性グループが男性の一人称を使うことでこれも一種の浮遊感を生み出しています。MVのメインアクトをつとめる平手さんもボーイッシュなショートカットで中性感があります。
米津玄師さんは男性ですから逆に中性感を出す狙いで「私」で歌うことが多いですね。これも似た部分だと感じました。

チャレンジしつつも王道

最後のサビ(3:56〜)ではJ-POPのド定番半音上に転調しています。
最後のアウトロ(4:53〜)も間奏同様、メジャーキーに転調していてリスナーに明るい希望を抱かせる終わり方になっています。

AKBグループが席巻するヒットチャート、
残念ながら単純に楽曲の良さがチャートに反映されるわけでは無いですが、
この「黒い羊」ははっきり言って名曲だと僕は感じました。この曲は聴かないともったいない。この企画やっててよかった〜!

変な固定観念を持たずこれからも音楽を楽しんでいきたいですね!
そして僕もこんなかっこいい曲を作れるようもっとがんばります!

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