髙村夏輝・埼玉県立大学②訴訟が結審しました
私が、高村夏輝准教授と埼玉県立大学を訴えていた裁判ですが、弁論終結しました。
本人訴訟で、丸一年間、闘いました。
まだまだ未熟者ではございますが、私が書いた訴状の一部と、陳述書を公開します。
訴状
令和 5年 3月 7日
□□□簡易裁判所 御中
原告 電八郎
被告 高村夏輝
被告 公立大学法人 埼玉県立大学
損害賠償請求事件
訴訟物の価額 60万円
貼用印紙額 6000円
第1 請求の趣旨
1 被告らは、原告に対し、連帯して、金60万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は、被告らの負担とする。
との判決並びに仮執行の宣言を求める。
第2 請求の原因
1 当事者
(1)原告は、インターネット上で、「孤立無援のブログ」(以下、「原告ブログ」という。)を運営している(甲1、甲2)。平成18年11月15日に、原告は原告ブログに「小山田圭吾における人間の研究」(以下、「原告記事」という。)という記事を執筆し投稿した(甲9)。
(2)被告・高村夏輝(以下、「被告高村」という。)は、埼玉県立大学保健医療福祉学部の准教授である(甲3)。インターネット上のソーシャルネットワーキングサービス「ツイッター、Twitter」(以下、「本件サイト」という。)において、「高村夏輝@napuu1」というアカウントで投稿を行っている(甲4)。
(3)被告・公立大学法人 埼玉県立大学(以下、「被告大学」という。)は、被告高村の使用者である(甲5)。保健医療福祉学部があり、看護や医療、福祉分野の専門職となる学生たちを育成している。
(4)被告高村は、まず令和3年8月19日に、インターネット上で誰もが閲覧可能な本件サイトに、「高村夏輝・埼玉県立大学保健医療福祉学部准教授」と明示したうえで、原告ブログに対し、別紙投稿記事目録記載1の投稿(以下、「本件投稿」という。)を行い、原告の人格権及び営業権を侵害している(甲4)。
(5)被告高村は、続いて令和5年1月8日に、本件サイト上に訴外「碧ちゃん(あおちゃん)総合垢@ploploa2021」(以下、「碧ちゃん」という。)というアカウントによる、原告及び原告ブログを侮辱する内容の別紙投稿記事目録記載2のツイートに対し、賛同の意を示す「いいね」(以下、「いいね」行為という。)を押し(甲6)、原告の人格権及び営業権を侵害している(以下、上記(4)及び(5)を「本件不法行為」という。)。
2 これまでの事実関係
(1)平成6年と平成7年に、ミュージシャンの訴外・小山田圭吾は、音楽雑誌『ロッキング・オン・ジャパン』と雑誌『クイック・ジャパン』のインタビュー記事において、障害者を蔑視し、大便を食べさせる等の虐待(いじめ)をしていたと発言した(甲7、甲8)。
(2)平成18年11月15日に、原告は上記雑誌記事を論評する原告記事を執筆し、これを原告ブログに掲載した(甲9)。
(3)令和3年7月14日に、小山田圭吾が東京オリンピック・パラリンピック開会式の音楽担当であると公表され、それと共に、上記雑誌での発言がマスコミで大きく報道された(甲10)。
(4)令和3年7月16日に、小山田圭吾は上記雑誌での不適切な発言を認めて謝罪し(甲11)、同年7月19日に、東京オリンピック関連の仕事を辞任した。
(5)上記雑誌の出版元の2社が、それぞれ差別を助長する不適切な記事であることを認めて謝罪した(甲12、甲13)。
第3 不法行為
1 被告高村の行った本件投稿が原告の名誉感情を侵害すること
(1)令和3年8月19日に、被告高村は本件サイトで別紙投稿記事目録記載1の通り、原告に対して一方的に「孤立無援ははっきりデマブログといってよいと思います。あれはちょっとどうしようもないし、悪意もむき出しですしね。」と投稿した(甲3.甲4)。本件投稿によれば、小山田圭吾は冤罪であり、原告が執筆したデマブログのせいで、小山田圭吾は仕事を失った、ということを意味している。
(2)被告高村は本件投稿を、「高村夏輝・埼玉県立大学保健医療福祉学部准教授」という氏名と大学教員であることを明示して行っており、本件投稿が被告高村のものであることは明らかである(甲3)。
(3)「デマ」とは「デマゴキー」の略で、その意味は「政治的な目的で、意図的に流す扇動的かつ虚偽の情報。事実に反するうわさ。流言飛語」(『デジタル大辞泉』小学館)であるから、「デマブログ」という投稿は、社会通念上許される限度を超える侮辱行為である。
2 社会通念上許される限度を超える侮辱行為
被告高村の「デマブログ」「あれはちょっとどうしようもないし、悪意もむき出しですしね」という投稿は意見・論評を超えた人格攻撃に及んでおり、受忍限度を超えている(甲4)。
名誉感情も法的保護に値する利益であり、社会通念上許される限度を超える侮辱行為がされた場合には、人格的利益の侵害があったものとして、不法行為が成立するというべきである(最高裁平成21年(受)第609号同22年4月13日第三小法廷判決・民集64巻3号758頁)。
そして、過去の裁判例では、「老いぼれた過去の人」といった言及について、名誉感情侵害の成立を認められている(東京地裁平成31年(ワ)第4211号)。
これと比べても本件投稿は、誰であっても名誉感情を害されることになるような、看過しがたい、明確かつ程度の著しい侵害である。
3 被告高村の「いいね」行為が原告の名誉感情を侵害すること
(1)被告高村は本件サイト上で、令和5年1月8日に、「碧ちゃん」が別紙投稿記事目録記載2の通り投稿した「性格がひん曲がってるオタクなのに、小山田圭吾の雑な引用ブログで世間を騒がし一生分の承認欲求を得ている電八郎」という、原告を誹謗中傷する内容のツイートに対し、賛同の意を示す「いいね」を押している(甲6)。
本件サイトにおける「いいね」行為とは、他の利用者の投稿(ツイート)画面に表示されたハートマークを押すことにより、当該投稿に対して賛同の意を示すことができる機能である。過去の裁判例では、ジャーナリストの伊藤詩織さんを誹謗中傷する投稿(ツイート)に対し、杉田水脈議員が「いいね」を押した行為は、当該投稿に賛同の意を示したとされ、伊藤詩織さんの名誉感情を侵害したと判示されている(東京高裁令和4年10月20日)。
(2)「碧ちゃん」は別紙投稿記事目録記載3から9の通り、原告に対し誹謗中傷の投稿を繰り返しており、例えば、「孤立無援のブログは全ての元凶の元で、このデマブログを発端にして一連の騒動が起きました。」、「はてなブログのジジイは犯罪者なのである。」などである(甲15)。被告高村は、こうした投稿を知ったうえで、本件サイト上で「碧ちゃん」をフォロー(親しい関係であることを示す機能)しており(甲16)、「碧ちゃん」の誕生日には「おめでとさーん!」というメッセージを贈り、別紙投稿記事目録記載10,11の通り、「あおちゃん、今週か来週、木曜日に町田行くけど、どう?」、「お茶しましょう!」、「じゃあとでDM(原告注-ダイレクト・メッセージの略で直接メールを送ること)するよ。」と親しく交際をしている(甲17)。
よって、被告高村による本件サイト上での「いいね」行為に、原告及び原告ブログを誹謗中傷する意図があったのは明らかであり、これは原告の人格権及び営業権を侵害するものである。
4 被告大学の使用者責任について
(1)原告は令和4年11月13日に、被告高村の不法行為について、その使用者である被告大学・総務担当に宛ててメールで問い合わせている(甲18)。しかし、被告大学はこれを無視し、何ら誠意ある対応を見せなかった。そのため被告高村は投稿を削除することもなく現在まで不法行為を続けているので、原告はやむを得ず本訴に及んだ。
(2)原告が被告大学に問い合わせを行った直後に、被告高村は、本件サイトのプロフィールから「埼玉県立大学保健医療福祉学部准教授」という記載を削除した(甲6の2)。このことから、被告らには権利侵害の自覚があり、そのうえで責任を免れるために証拠隠滅を図ったものと解される。よって、被告らには本件不法行為について責任を負うべき理由がある。
(3)地方公務員のSNS(ソーシャルメディア・ネットワーキング・サービス)運用については、各自治体の例規や内規などを遵守しなければならない。しかしながら、被告高村の本件不法行為は、「埼玉県立大学ソーシャルメディア利用規約第6条(ソーシャルメディアにおける禁止事項)」に違反するものである(甲19)。
また、平成25年6月21日付けの復興庁「懲戒処分等の公表について」によれば、復興庁の職員が個人のツイッターにて、他人を中傷するような不適切な投稿を行ったことは、「信用失墜行為」及び「職務に専念する義務に違反」にあたるとされ、それを指揮監督する立場にあった職員も「その義務の履行が不十分であった」とされて、共に処分を受けている(甲20)。
このように、被告大学には、被告高村が、第三者の権利利益を侵害しないように配慮ないし監督する義務があるから、被告大学は使用者責任を負う。
(4)被告大学は、「埼玉県立大学 情報システム利用の手引き」によって、「法令及び利用規則の遵守」及び「マナーの遵守」を定めている(甲21)。しかしながら、別紙投稿記事目録記載「被告 高村夏輝によるツイッター投稿内容」の通り、被告高村は本件サイト上で「五輪を強行するなら、期間中毎日「クソが」という言葉付きでニュースをリツイートします。」、「ザ・民族のクソ祭典」、「クソの祭典、始まったみたいっすね」、「あのクソ古本屋!」など、品位を欠いた投稿を繰り返している。被告大学はこれを監督する立場にあるのであるから、その義務の履行が不十分であるのは明白である。
(5)被告大学は公立大学法人であり、国賠法1条1項の「公共団体」に該当するといえる。しかし、被告高村の原告に対する不法行為は、国賠法1条1項の「公権力の行使」に当たるものではない。よって、被告高村の不法行為には、国賠法1条1項は適用されず、被告高村は民法709条の不法行為に基づく損害賠償責任を負うものであり、使用者である被告大学は民法第715条の使用者責任を負うものである。
第4 原告が被った損害
1 本件投稿記事による無形損害
(1)被告高村は本件不法行為により、原告の著述及び営業活動が違法であるかの印象を不特定多数の者へ与え、もって虚偽の風説を流布し、原告の信用と名誉を棄損し多大な精神的苦痛を与えた。また原告を訴訟提起にまで至らしめるなど、原告に無用の対応を余儀なくさせてその正常な業務に支障を生じさせ、業務を妨害した。
(2)被告大学は、使用者と被用者の関係にある被告高村が、原告への不法行為によって損害を加えたことに対し、配慮ないし監督する義務がありながら、その義務の履行を怠った。
(3)本件不法行為の悪質性は著しく、公立大学法人及び准教授という教育機関並びに教職にあること、投稿内容の真実性を欠くこと、インターネットを介して行われていること、原告の社会的評価が低下したこと、被害者である原告に過失はなく、被害回復措置も講じられていないことなどに鑑みれば、これを慰謝するための慰謝料の額は、金60万円を下回らない。
第5 まとめ
よって、原告は被告らに対し、不法行為並びに使用者責任に基づく損害賠償請求として、連帯して、金60万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払い済みに至るまで年3分の割合による金員の支払いを求める。
証拠方法
別紙証拠説明書記載のとおり
附属書類
1 訴状副本 2通
2 甲各号証写し 各2通
3 証拠説明書(1) 各2通
4 登記事項証明書 1通
(別紙)
投稿記事目録
被告 高村夏輝による本件不法行為
「碧ちゃん」によるツイッター投稿内容(甲15)
被告 高村夏輝と訴外「碧ちゃん」とのツイッター上での会話(甲17)
被告 高村夏輝によるツイッター投稿内容(甲22)
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