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「分かった」という生徒の言葉が原動力となる。手間が掛かる分、達成感も大きい。

学校法人 電波学園
名古屋工学院専門学校 高等課程 教頭
岩瀬 季勝 先生

専門学校高等課程として、中学生や中学校、社会から「求められるニーズ」に応える。

数学の教員として、また教頭として職務にあたる岩瀬先生。奉職した当時を振り返っていただいた。
「この学校に勤めて35年になります。大学を出て、数学の先生として、そのまま奉職しました。最初勤めた当時は、元気のある生徒がいっぱいいましたよ。3年生の授業に行って、出席を取るのに名前を呼び間違えただけで突っかかってくる生徒もおりました(笑)。ただ、自分も厳しい高校時代を過ごしてきているので、教員というよりは体育会系のノリでやっていました。教育をするというのではなく、一緒に成長するという想いで必死でした。同期の中には、『なんだココは』と言う先生もいましたが、自分は気にならなかったですね」
ちょうど35年前というと、時代的にそんな生徒が多かった時代。ただ、生徒の質は今では全く異なっていると聞くが。
「世の中がそうなっていますよね。昔は、『この生徒を何とかして』と中学校の先生に言われて、エネルギーを消化できず力を持て余す生徒も受け入れてきました。だからこちらも体当たりで、『かかってこい』という意識でやっていました。でも今は、そんな生徒が世の中から少なくなってきて、自分に自信が持てなかったり、世の中に不安を感じている生徒が増え、中学生や中学校、社会から『求められるニーズ』も変わってきました。だからそのニーズに応えるように、本校も対応してきました」

電子黒板と黒板をうまく使い分けて授業をするのが岩瀬教頭のスタイル。

「教える」ことが好き。生徒が満足できる授業を心掛けて。

時代と共に生徒も変化しているが、岩瀬教頭のスタンスはあまり変わっていないと言う。
「先生という仕事は、授業の他に、生徒指導であったり、部活動であったりいろいろやることはあります。自分は、生徒が分かる『数学』の授業をすることが一番大切だと思っています。生徒の質が変わっても、その点は変わりません。授業が上手いか、下手かは、生徒の『分かった』という反応が出るか出ないかが問題。難しい事を教えるのが、うちの授業ではないため、生徒が満足できる授業を心掛けています。
昔より今の子供たちの方が大変です。ノートがとれない、字が書けない。計算をしていても、分からなければそれで止めてしまう。何とか頑張って『分かるようになりたい』という気持ちが続かないのです。無理やりやらせようとしてもやらないし、昔の生徒だったら『書きなさい』と言えば、書いていた。今の子たちに同じことを言っても、中には『無視』する子もいます(笑)。学校の先生の言う事を聞かなくても、小学校、中学校で何とかなった経験値がある。よって、本人が困っても、何とかしようという気持ちになかなかなってくれない。だから、小テストをやっても、できないので残して補習をすると、補習には参加するがやらない。反抗することはないが、そういう生徒が一番困ります。昔は、黒板を写しながら、自分が重要だと思ったことをノートに書きなさいと言ってきた。今は違います。黒板に書いてある事を要約して写してしまう。数学の問題を解いていても、途中の式を書かずに答えだけ書く(笑)。それでは解き方が分からない。勉強のスタイルが昔と今では違うから、なかなか難しい面はあります」

授業中、巡回しながら個別に指導。この時間がとても大切。

最後は生徒のレベルに合わせて個別に対応。原動力は生徒ができるようになること。

名古屋工学院専門学校高等課程のスローガンは、「わかる」「できる」「自信が持てる」。生徒の成長のために、いろいろな施策を行っていると聞くが。
「本校の数学では、最初の授業で確認テストを行います。正の数・負の数の四則演算や、分数の計算で、ものすごく簡単なテストです。この確認テストで苦手生徒をリストアップして補習を行い、中間試験に向かわせます。中間試験では平均点が90点を超えます。中学時代、勉強に苦手意識を持ってしまい、自信を無くしている子が多いため、自信をつけさせることが目的です。保護者会で、ある母親にこう言われたことがあります。『先生、息子がテストで初めて100点を取ってきた。だから父親が息子に100点の答案を家に貼っていいかと聞いたら、良いよと言ってくれた。成長がうれしかったし、先生にもそれを伝えたかった』と。その後もこの生徒は自信をつけ、期末テストでも100点を取っていました。
いい点数が取れれば、本当に子どもたちは喜びます。だから最初の試験は簡単な問題にして、『やればできるじゃん』という気持ちにさせてからじゃないと。最初から20点、30点しか取れないテストだと余計ダメになってしまう。普段の授業の中でも、小テストをやって、やれない子は残して説明して、少しずつでも分かるようにしていく。中には個別対応じゃないと勉強ができない生徒もいるので、段階を経て絞り出しをしていくイメージです。ただ、先生方の負担は増えていく一方ですけどね」

先生の原動力は?
「数学を教えて、生徒ができるようになった時は、うれしいし、楽しい。自信がなく入学してくる子が多いので、そういった子たちは勉強面でスポットライトが当たったことのない子たち。分からないポイントを見つけて、そこを解説してあげることが大切です。ただ、その分からないポイントを探るのが大変なんですけどね。生徒のレベルはバラバラだから、地道で根気のいる作業ですが、手間が掛かる分、日々達成感を感じています」

大事な箇所は、教科書にも書き込むように指導。

情報機器の活用で、環境を変え、意識を変え、仕事のやり方を変える。

教頭という立場になって何か変わったか?
「授業時間が減って、他の業務に関わる時間が増えました。先生方が安心して働ける職場環境を整えるのも自分の仕事です。他の学校にあって、うちに無いものがあるのは嫌だし、専門学校高等課程だから『こんなものなんでしょう』と言われるのはもっと嫌なので、いろんなものを揃えたいと思っています。その一つが電子黒板やWi-Fi環境。黒板やホワイトボード一辺倒の授業ではなくなっていくので。おかげで、教育面では学園の高等課程の中では一番進んだ環境だと思います。また、学校としてのシステム作りも大切で、ICTを活用した職員間の連絡や情報共有など、ペーパーレス化もその一つです。職員会議のやり方も大きく変わり、効率的な時間の使い方ができるようになってきました。今後はiPadの活用など、いろいろな面で環境を変え、先生方の意識を変えていきたいと思っています」

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