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源氏物語(全1冊) 瀬戸内寂聴

全54帖の長編を1冊に収めたもの。省略も多く帖ごと記載対象から外されているものもある。54帖のうち27帖からのダイジェストとなる。長い話が上手にまとめられ読みやすくストーリーも良く分かる。源氏を初めて手にする人をはじめ多くの人にお勧めしたい。
個人的には源氏物語はいけ好かない好色野郎の話としか思ってなかったので、自分が数日でこの500Pを超えるの本を読み上げてしまうとは実に意外であった。何が魅力なのかと言ってキーポイントはやはり「出家」であろうと思う。ご存知のように瀬戸内さんも出家なされたし、作中の人物の8人が出家してしまい主人公の光源氏も遺失帖「雲隠」では出家している(らしい)。
そしてもう1つは主人公は実は女性だということだ。光源氏や薫などは実はスパイスなのかもしれない。作中の男は「仕事と女通い寺通い」しかない。対する女性は実に動いており感情の動きも豊かだ。物語を作っているのは女性なのだと思われる。一条天皇やその中宮の彰子などは教養があり、そこは理解していたのではないか?
省略本を読んだ後の問題は、その後どうする?ということだ・・・
全編を読むか、気に入った部分だけを読むか?
それも現代語訳で、或いは古文本文で読むか?
個人的には「髭黒の大将」の元の奥方の「正気を失う」様を古文でどう表現してあるのか?同様に六条の御息所の悪霊、その他の物の怪、などの古文古典での表現などは非常に興味がある。
結果、やはり古典は古文(原典)で読めということになる。

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