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感想 百人一首 うたものがたり (講談社現代新書)

https://bookmeter.com/books/17635478

21年発売講談社PR誌「本」に連載されていたものを加筆・編集した百首100章の新書形式の1冊。凡そ中高生を想定した読みやすい文章となっているが、5節猿丸大夫「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」では、師・春日井建(冴えわたる秋の夜天や若鹿の額打ちて星は降るかと思う)を引き合いにして水原紫苑自身(冬紅葉われをふみゆく少年のさお鹿あらばわが師なるべし)と三島由紀夫らの小話が並び、紫苑ファンには応えられない章もある。流石に現代を代表する歌人だ。的確な、或いは思いがけない引用も多く、その想いを馳せるものにも大いに合点がいく大人でも非常に楽しめる1冊であり、短歌ファンにも百人一首を学ぼうという若い方にもお勧めできる。

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