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過熱水蒸気が持つ能力のヒミツ😲

こんにちは!電気興業 公式noteです。

皆さんは、「過熱水蒸気かねつすいじょうき」ということばを耳にしたことはありますか?
おそらく、ほとんどの方は初耳ですよね。
(私も電気興業に入社するまで、まったく知りませんでした)

名前に”水蒸気”とありますが、過熱水蒸気は皆さんが想像している水蒸気とちょっと違うかもしれません。

一体、過熱水蒸気とは何なのか?
電気興業は過熱水蒸気を使って何をしているのか?

今日はそんなお話です。



過熱水蒸気ってどんなもの?


過熱水蒸気とは。

飽和水蒸気を、常圧の状態で加熱した水蒸気

わたしたちが普段生活している環境下では、水を熱していくと、100℃(最近1℃の定義が変わって厳密には99.974℃らしいです!)で
蒸発して水蒸気になりますよね。
沸騰しているヤカンの口から出る透明な気体が、皆さんの知る水蒸気だと思います。

水蒸気と湯気

ただ、水蒸気は空気中に放出されると、すぐに冷やされて湯気(液体)に戻ってしまいます。
しかも、この時の水蒸気は、気体とはいえまだまだ湿った状態にあります。

そこで、この水蒸気を常圧のまま加熱してあげると、だんだんと湿り気がなくなり、乾いた水蒸気へと変化していきます。
水は液体のまま、100℃以上に加熱することはできませんが、気体の状態になると、さらに加熱することができるのです。

この100℃以上に加熱された水蒸気が過熱水蒸気の正体です。

では、実際に過熱水蒸気がどんなものか見てみましょう!


強い乾燥作用の理由


過熱水蒸気がどういうものかご理解いただけたかと思いますが、
熱風と同じような類のものだとお思いの方はいませんか?

たしかに、見た目には同じように見えますが、実は熱を伝える能力において、過熱水蒸気と加熱した空気では、雲泥の差があるんです!

そもそも、まず、過熱水蒸気自体には、熱風の約5~10倍の熱量があります。
それに加えて、熱の伝え方にも決定的な違いがあります。

熱風は、流体(液体、気体)の動きによって熱が移動する現象(対流伝熱たいりゅうでんねつ)によって熱が伝わります。
この場合は、空気によって熱が伝えられます。

一方で、過熱水蒸気は、この対流伝熱に加えて、輻射伝熱ふくしゃでんねつ凝縮伝熱ぎょうしゅくでんねつによる伝熱が行われます。

輻射伝熱とは、電磁波を通じて熱が移動する現象のことです。
電磁波が空気が無くても伝わることは、以前の記事でも書きましたね!
なので対流伝熱とは全く異なる伝熱方法です。

電磁波のこと、ちょっと忘れちゃったよという方は、こちらをしっかり読んでください😳

凝縮伝熱は、水蒸気が水に変わるときに熱が放出されることによって起こる熱の移動のことです。

「・・・ん?」
と思った方、頭の回転が速いですね~

「凝縮伝熱が、水蒸気から”水”に変わるときに起こるなら、その水で紙はべちょべちょ、マッチにも火が付かないんじゃないか?」と。

たしかに、過熱水蒸気の温度が低いと、紙に付いた過熱水蒸気は、熱を伝えた後、冷やされて水(凝縮水)となり、紙を湿らせますが、
高い温度の過熱水蒸気は、凝縮水をも蒸発させ、紙の表面を乾燥させるので、紙は黒く焦げ付くのです。

・過熱水蒸気の持つ熱量
・過熱水蒸気の伝熱(対流伝熱、輻射伝熱、凝縮伝熱)

これらの性質を持つことから、過熱水蒸気は強い乾燥作用を有するのです。

以前、過熱水蒸気装置のテストで、カシューナッツを炒ったことがあるのですが、装置内の温度が低かったみたいで、
カリっと仕上がるどころか、失敗して茹でカシューナッツが出来上がったことがありましたね...😑


過熱水蒸気でどんなことができるのか?


過熱水蒸気の能力は、まだまだあります。

強い乾燥作用だけにとどまらず、他にも、殺菌・滅菌抗酸化作用脂分の除去ができてしまうんです。

例えば「米ぬか」
これまで殺菌・滅菌が難しかったパウダー系のモノに対しての処理も、過熱水蒸気装置によって可能となりました。

処理済みの米ぬか
見た目にはわからないですね...


使用用途は食品加工だけではありません。
食品加工時に排出される食品残さをはじめとした産業廃棄物の処理にも効果を発揮します!

食品残さって排出時は水分を含んでいることがほとんど。
そこで、過熱水蒸気で乾燥させることによって、産業廃棄物の重量の軽減、廃棄コストの低減につながるのです。

とはいえ、「軽くして捨てる」のでは、結局ごみを捨てていることには変わりないじゃないですか、
なので、捨てるはずだったものをどうやって価値のあるものに変えていくか、サーキュラーエコノミーの視点から事業を考えることもわたしたちの取り組みの一環です。

過熱水蒸気で乾燥処理したコーヒー滓

↓ 樹脂と混ぜて ↓

コーヒー滓ペレット

↓ コーヒー滓を使用した素材で成形 ↓

ほんのりとコーヒーの香りがします♪


過熱水蒸気の作り方


そんな過熱水蒸気はどのようにして作るのか?

過熱水蒸気は、ただの水蒸気を高温に熱することで作れますが、
電気興業では、ガスやオイルを燃焼させて直接加熱するようなことはしていません。

ではどうしているのかというと、そこは当社のお家芸「高周波誘導加熱」の技術を使って、過熱水蒸気を作りだしています。

とても簡単な話で、コイルに電流を流して高温に熱せられた金属パイプの中に水蒸気を通すことで、短時間で過熱水蒸気が出来上がります。

過熱水蒸気の作り方


白いグルグル巻きのモノがコイルです
その中に金属の筒があり、その中を蒸気が通っています

高周波誘導加熱について詳しく知りたい方は、
こちらの記事も読んでみてください✨
↓ ↓ ↓


なぜ、高周波誘導加熱を用いるのかというと、こんな理由からです。

① 急速昇温が可能
上の記事でも書いた通り、高周波誘導加熱を使えば短時間で金属を1000℃にまでできますから、その金属製パイプの中を通した水蒸気も、短時間で温度を上げることが可能です。

② 業界の中でもトップクラスに高い温度
高周波誘導加熱を用いることで、過熱水蒸気の中でも超高温の過熱水蒸気を作りだすことができます。(Max700℃!)

温度が高いと何が良いかというと、処理時間の短縮、殺菌・滅菌処理ができることにあります。
一瞬で処理できてしまうので、対象物の性質の変化が少ないことも超高温のメリットです。


実物の装置はこんな感じです


装置の概要については下記動画からご覧いただけます。


各種装置についての詳しい情報はこちらからどうぞ!
↓ ↓ ↓


いかがでしたでしょうか?
過熱水蒸気自体は、とりわけ珍しい技術ではないのですが、有用性はかなり高く、様々な場面における課題解決の可能性をまだまだ秘めています。

過熱水蒸気を用いて、これからわたしたちがどのような問題に取り組み、事業を展開していくのか?

食料問題の解決、新エネルギーの誕生、廃棄物という概念のない世界、エコシステムの確立...などなど、
少し先の未来を想像して、創造して。

次回の投稿も楽しみにしていてください!

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