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月に一度は野菜の日

 今では珍しいと思いますが、大学1年生の時には、賄い(食事)付きの下宿に住んでいました。この下宿は、同じ大学に通っていた、高校の1年先輩がたまたま近所にいて、その先輩の親御さんから紹介して頂きました。

 食費込みの1か月の家賃が、3万5千円だったと記憶しています。食事は、朝と夕の二食で、昼はありませんでした。食事は、女性の大家さん(当時50代?)が一人で準備していました。下宿人は、全部で10数名いたので、食事の準備は大変だったと思います。

 そのせいもあって、月に一度、夕食に”野菜の日”がありました。”野菜の日”は健康のためではなく、手抜きのためなのです。普段は、肉や魚がバランスよく食卓に出てくるのですが、この日のオカズは、野菜オンリーです。野菜と言ってもシンプルで、キャベツキュウリレタスなどが千切りで大量にお皿に盛られています。色どりに、トマトくらいは付いていたかもしれませんが、卵やハムなどのタンパク質は全くありませんでした。

 この”野菜盛り”は、テーブルに置かれたマヨネーズやドレッシングで頂きます。ご飯とみそ汁はありますが、野菜オンリーですから中々箸が進みません。私は子供時代、極端な偏食だったので、野菜、特に生野菜は苦手でした。実家にいるときは、トンカツについてくるキャベツは飾りだと思っていました。それくらい、生野菜は大学に入るまでは食べませんでした。

 しかし、背に腹は代えられません。オカズになるのは生野菜しかないので仕方なく食べました。最初は野菜盛りを完食するのに、随分時間がかかりましたが、その下宿を出ていく頃には、下宿のメンバーと同じくらいの速さで食べられるようになりました。こうして私は、生野菜を克服しました。

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