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鉄仮面と半チャック

 中学校のクラスメートに、学年トップの成績の勉強ができる子がいました。その同級生は、底意地が悪くて、先生たちに容赦ない綽名あだなを付けていました。

 社会の先生のニックネームは、「鉄仮面」でした。その先生は博識で、授業も面白かったのですが、ポーカーフェースで顔の表情がほとんど変わりません。それから、角ばっていて、丸みが少ない顔でした。そのために、鉄仮面と名付けられました。

 私は鉄仮面先生の授業が大好きで、中学校の先生の中で一番尊敬できる先生でした。真面目なのに、シャレがわかる先生で、歴史に関するエピソードでも、大爆笑を取るのではなく、一部の生徒がクスリと笑うような冗談を言う知的な先生でした。私が理系にもかかわらず、日本史や世界史が好きなのは鉄仮面先生のお陰です。

 国語の先生のニックネームは、「半チャック」でした。半チャック先生は、スーツやジャケット等のキチンとした身なりをしていましたが、なぜだか股間のファスナーが少しだけ下がっていました。半チャックは、かなり誇張した表現ですが、いつも少しだけファスナーが下がっていました。おそらく、中年太りで下腹が出ていたせいなのかもしれません。

 私は国語の授業が苦手だったので、半チャック先生の授業はあまり記憶に残っていませんが、板書の字が綺麗な先生でした。半チャック先生は、習字の高段者らしく、時々ある習字の時間には、特に熱心に指導をしていました。ずいぶん後になって知りましたが、私が通っていた高校に、半チャック先生の息子さんが1つ上の学年にいました。その息子さんは優秀で、現役で東大に合格しました。

 鉄仮面や半チャックはまだ良い方で、もっとひどい綽名を付けられていた先生もいました。中学生の時は、先生たちから怒られるストレスを、変な綽名を付けることで解消していました。今では懐かしい思い出です。

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