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お薦めマイナー本#4 黒後家蜘蛛の会

 この本『黒後家蜘蛛の会』をマイナー本に分類したら、アシモフのファンやミステリーファンに怒られるかもしれません。しかし、一般的にはあまり知られていないと思うので、怒られるのを覚悟で”マイナー本”として紹介します。

 アイザック・アシモフ(Isaac Asimov)は、その著作が500冊以上を数えるアメリカ合衆国の超有名作家です。アシモフが扱うテーマは科学・言語・歴史・聖書など多岐に亘っていますが、特にSFが有名です。アシモフは、アーサー・C・クラークロバート・A・ハインラインと合わせて三大SF作家と呼ばれるSF界の巨匠です。なんと、SF分野の賞であるヒューゴー賞を7回、ネビュラ賞を2回、ローカス賞を4回も受賞しています。

 アイザック・アシモフは、自身の小説において、ロボットが従うべきロボット工学三原則「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を提唱していて、アシモフの小説に登場するロボットは常にこの原則に従おうとします。ただし、各原則の優先順位や解釈によって、ロボットが一見不合理な行動をとることになり、その謎解きが作品の主題となっている、ミステリー要素を含んだSF作品もあります。

 そんなアシモフですから、自分だって本格的なミステリーも書けるといって出されたのが、『黒後家蜘蛛の会』です。この作品は短編集が集まったシリーズ本で、5巻までが出版されています。残念ながら、アシモフは既に亡くなっていますので、続巻は期待できません。この本は短編なので、どこから読んでも面白いのですが、本書の陰の主人公である”給仕・ヘンリー”が登場する一作目だけは、一番最初に読んで欲しいと思います。

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 ”黒後家蜘蛛の会”というのは、弁護士、暗号専門家、作家、化学者、画家、数学者の六人からなるプライベートな会で、とあるレストランで月一回の晩餐会を開くのが恒例行事です。その会では、輪番制で毎回誰かがゲストを連れてくるのですが、そのゲストが語るミステリーじみた話に、6人の会員が独自の見解を示し素人探偵ぶりを発揮します。しかし最後に真相を言い当てるのは・・・。SF界の巨匠アシモフが書いた安楽椅子探偵もの傑作選です。私が持っているのは古い本ですが、新装版も出版されたようです。

 ミステリーファン以外にも、読んで欲しい一冊です。きっと、給仕・ヘンリーが大好きになると思います。誰か、この続編を書ける人いませんか!!。


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