2022年3月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領が、日本の国会議員に向けてオンラインで演説しました。岸田文雄首相は、この国会演説について「極めて困難な状況の中で、祖国や国民を強い決意と勇気で守り抜こうとする姿に感銘を受けた」と述べたそうです。また「ロシアの暴挙を決して許してはならず、ウクライナの方々を国際社会全体で支えていかなければならないとの思いを新たにした」とも語ったと伝えられています。
ゼレンスキー大統領の国会演説に否定的な人もいたようですが、少なくとも岸田首相にはそのメッセージが届いたようです。国会演説の是非は私には判断できませんが、一方の当事者だけの演説が駄目なら、プーチン大統領にも演説してもらっては如何でしょうか。両者の演説(意見)を聞いた後で、判断すれば、冷静な判断ができるかもしれません。
少し横道にそれますが、言霊という表現があるように、日本では言葉には魂が宿ると考えられています。つまり、言葉には不思議な力があるのです。そのため、”呪いをかけられないように”、普段の生活では本名は使いません。NHKの大河ドラマで『鎌倉殿の13人』の源頼朝は”スケドノ”と呼ばれていますし、源義経は”クロウ”と呼ばれています。佐殿は頼朝の官職を表わす通称です。また、義経の名前は源”九郎”義経といい、九郎はミドルネームに相当します。
もとコメディアンだったゼレンスキー大統領のコミュ力には、定評があります。彼には超一流の”スピーチ力”があると言われています。このスピーチ力は、コメディアン時代に鍛えられたもののようですが、このスピーチ力で彼自身の人生も大きく変えてしまいました。ゼレンスキー大統領は、この極めて不利な戦いを、砲弾やミサイルではなく、スピーチという”言葉の力”で戦おうとしています。
スピーチ力で戦況を好転させた有名な政治家が、イギリスのチャーチルです。ウィンストン・チャーチルは、ドイツのミサイル攻撃で疲弊していた国民に向けて、次のような言葉で鼓舞しました。「人に与えられた才能のうち、雄弁であることほど、貴いものはない。そういった人は、偉大な王よりも、永続的な力を享受するだろう」。日本語に訳すと?と思いますが、このスピーチで、厳しい状況下にあるイギリスを、第2次世界大戦の勝利へと導びきました。チャーチルは”言葉の力”を強く信じていたようです。
またまた横道にそれますが、源頼朝の死後、鎌倉幕府は内紛でピンチに陥ります。しかし、頼朝の妻・北条政子の「これまでの鎌倉殿の御恩を忘れたのか!」という勇ましいスピーチで、北条氏側が一つにまとまりました。この時も、”言葉の力”が威力を発揮しました。
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