『静かな退職』について
静かな退職というのがあるらしい。静かな退職とは、会社などの組織に在籍しながら契約通りの仕事だけを淡々とこなし、あたかも退職したかのようにアクセクせずに余裕を持って働くことをいいます。この言葉は、アメリカを中心に最近のトレンドになっているキーワードで、仕事とプライベートに明確な境界線を引き、”仕事は仕事”と割り切る働き方を指します。
実際には退職はしていないわけですが、この働き方はアメリカでは Quiet Quitting と呼ばれています。これを日本語に直訳したのが、”静かな退職”です。その他には、”がんばりすぎない働き方”などと表現される場合もあります。まだこの言葉自体が浸透していませんが、そのうち Quiet Quitting の頭文字を取ってQQなどと省略されて使われる時代が来るかもしれません。
静かな退職は、大っぴらには宣言できませんから、静かなブームになっています。この働き方を実践している人は、特別に社会や組織に対する強い反抗心を持っているわけではありません。静かな退職者はどちらかというと、不満はないが熱意もない“冷めた”層なのだそうです。最近は、仕事よりも家族や自分の趣味の時間を大切にする人が増えていて、そういう人たちが静かな退職を選んでいるようです。
日本は戦後の高度経済成長時代には、”モーレツ社員”がもてはやされました。また、バブル時代にも「24時間働けますか?」というCMがあったように、ガムシャラに働くパワフルな人が求められました。しかし、日本の働き方にも大きな変化が表れています。
2017年のある調査では、日本で”熱意ある社員”の割合は6%しかいませんでした。「たったそれだけ?」と思えるような少なさです。同じ調査でのアメリカの割合は32%ですから、日本は極端に低い水準でした。静かな退職は、言葉自体はアメリカ発祥ですが、既に日本でかなり普及している可能性もあります。
熱意を持った6%以外の人がどんなモチベーションで働いているかと言えば、24%は強い不満を持つ人で、70%はやる気のない社員です。やる気のない働き手が70%というのは驚きです。日本の会社はどうなってるの?と思わざるを得ない数値です。
頑張ることは悪い事とは思いませんが、頑張り過ぎるのはどうかと思います。私はというと、どちらかと言えば”熱意を持った”方だと思います。静かな退職には否定的で、自分では一生懸命働いているつもりです。ただし、周りの眼はそう思っていないようなのです。周りからみたら、私は”あまり働いていない”ように映っているようなのです。
静かな退職と本人が思っていても、能力のある人は成果を出せます。反対に熱意があって頑張っている人でも、必ずしも成果が出せる訳ではありません。”働く”ということは難しいですね。
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