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結婚式の思い出 バブルの後遺症

もう随分前の話で、バブル崩壊後の不景気な時代の話です。

とある銀行に勤めている後輩の結婚式に出席することになりました。その後輩とは特に親しくなかったのですが、私の上司の代理ということで数合わせで出席することになりました。

披露宴は後輩の出身地の有名なホテルで行われました。出席者も数多く、結構賑やかな披露宴でした。ハレの日の新たな門出でしたが、私はテレビや新聞で報道されているその銀行の噂が気になっていました。バブル崩壊後には有名な証券会社や銀行が倒産したりしたので、「ひょっとしたら・・・?」と思っていました。

私の席は、新郎(後輩)の会社の人たちと同じ席で、その銀行の上司たちが座っていました。私は銀行の危機の噂には触れずに、周囲の銀行関係者とは差し障りのない会話をしていました。披露宴の途中で、新郎のご両親がお酒を持って挨拶に来ました。ご両親は心配そうに、「テレビや新聞で色々と報道されていますが、銀行は大丈夫でしょうか?」と新郎上司に話しかけました。新郎上司は「この銀行は政府系だし、潰れることはありませんよ」とニコニコして答えていました。それを聞いた私も「マスコミで報じられているほど、危なくないんだ・・・」とその時には思いました。

後輩の披露宴から1週間後くらいでした。テレビや新聞で、その銀行が経営破綻したことが大きく報じられていました。あの時の新郎上司が本当にそう思っていたのか、嘘をついていたのかは今は判りませんが、経営破綻したのは間違いない事実でした。おそらく、別の銀行が業務を引き継ぐでしょうが、全員が継続雇用されるわけではありません。その後の後輩の消息は知りませんが、結婚直後に職場が経営破綻という人生のピークとどん底を味わったのでした。

バブル崩壊が話題になると、この後味の悪い結婚式を時々思い出します。

#結婚式の思い出

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