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私の妻はナンチャッテ帰国子女で、義父の仕事の関係で1年間イギリスに住んでいました。イギリスにいた間は日本語より英語が喋れたと豪語していましたが、当時は小学1年生だったので、帰国後には・・・。その頃、同級生と一緒にこんな歌を歌っていたそうです。

Chinese, Japanese, dirty knees.  Look at these. (Point to your tits.)

これは中国人や日本人などのアジア人を馬鹿にした歌ですが、英文の構成としては良く出来た文章になっています。ChineseとJapanesekneeseがニーズという同音で韻を踏んでいますし、最後のtheseもイーズという音で韻を踏んでいます。文章も短くて覚えやすいので、小学校低学年にはピッタリ?の歌になっています。

意味は、「中国人、日本人、汚れた膝、これを見て (おっぱいを指差しながら)」です。この歌を歌いながら、手で目の端を両側に引っ張って目を細長くし、膝を隠し、服の胸の部分を引っ張ります。これは差別的な遊び歌で、中国人や日本人の(細い)目の形を笑い、床に正座するので膝が汚れると笑い、さらに女性の胸が小さいことを笑っています。また、この歌の中で”汚さ”に言及しているのは「不潔な東洋人」というステレオタイプがあったためらしいです。

いまでは歌われることは殆どないと思いますが、子供の頃の妻は、自分が差別されていることもわからないまま、遊び歌として歌っていたそうです。昔に比べると差別的な言動や行為は少なくなっては来ましたが、完全になくなったわけではありません。いまでもアメリカやヨーロッパの国々ではアジア系人種は差別の対象になる場合があります。

差別ということで、中学の英語の授業?で聞いた面白いエピソードを思い出しました。岡倉天心(その授業では人名までは覚えていませんでした)が、アメリカ滞在中のとき、当時は東洋人が珍しかったので、好奇の目にさらされることも多く、またアジア人蔑視も今以上に強かったらしい。ある米国人が天心をからかって、こう言ったそうです。

Which nese are you, Chinese or Japanese?
(お前さんはどっちの”ニーズ”なんだい。チャイニーズか、ジャパニーズか?)

このとき天心は、咄嗟にこう切り返しました。
Which keys are you, monkeys, donkeys, or yankees?
(お前さんはどっちの”キー”なんだい。マンキーか、ドンキーか、それともヤンキーか?)

ドンキーはロバのことですが、愚鈍や馬鹿の意味もあります。また、ヤンキーは不良のことではなく、アメリカ合衆国北東部に住む白人に対する俗称です。こんなスカッとする切り返しが出来る英語力に感心します。タイトル画の岡倉天心先生は、誇り高き日本人です。


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