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 "My father is my mother."を”私の父は我がママ(我儘)”と訳す英文ジョークみたいなのがありましたが、これは言語学の音韻に関する話です。LGBTの話題ではありません。

 ”はひふへほ”のハ行(H音)の発音は比較的最近のものらしいです。少し前までF音だったものが、時代と共にH音に代わったそうです。つまり、現在の”はひふへほ”は””ふぁふぃふっふぇふぉ”だったわけです。さらに時代を遡ると、P音だったので”ぱぴぷぺぷ”となります。

 これでわかりましたよね。母(HaHa)の発音は、昔はパパ(PaPa)だったのです。このような破裂音(PやF)から無声音(H)への変化は、比較的よくある音韻変化だそうです。赤ちゃんにとって、パパやママは発音しやすいですが、チチやハハは発音しにくいですよね^^。

 数字の数え方に、”ひー、ふー、みー、よー、いつ、むー、なな、やー”と言うのがありますが、すこし昔なら”ふぃー、ふぅー・・・”だし、大昔なら”ぴー、ぷー・・・”です。昔読んだ大野晋さんの『日本語の起源』には、この数え方では、倍数の頭の音素が同じであるという、興味深いことが書かれていました。つまり、1(Fi)と2(Fu)、3(Mi)と6(Mu)、4(Yo)と8(Ya)といった具合です。

 魏志倭人伝にでてくる女王・卑弥呼は、いまではヒミコと呼ばれていますが、当時の日本語の発音なら、ピミコに近い発音のはずです。手塚治虫先生のブラックジャックにでてくるピノコみたいで、ちょっと可愛いですね。アッチョンブリケ。

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