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 最近よく使われる”マウント”という言葉があります。このマウントとは相手よりも”優位に立とうとする”行為を指し、動詞としては”マウントを取る”というように使われます。具体的には、収入・学歴・経歴・知識など様々な点において”自分の方が恵まれている(優れている)”ということをアピールします。このようなアピールをすることで、自尊心を満たしたり、会話の流れを優位に持ち込もうとすることがマウントの主目的になっています。

 マウントの語源は英語の mount で、”上に乗る”や”またがる”といった意味があります。類似な意味で”マウンティング”という言葉もあります。マウンティングというのは、生態学などで使われる専門用語で、サルなどの動物が他のサルの上に乗って自分が相手よりも優位であることを誇示する行為のことです。マウンティングは物理的な行為ですが、マウントは心理的な行為です。

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 このマウントという言葉が広まったきっかけと考えられるは、1990年代の総合格闘技ブームだそうです。このブームの中で広く知られるようになった言葉が”マウントポジション”です。マウントポジションは、タイトル図のように”仰向けの相手に馬乗りになった状態”を指します。このようなマウントポジションがとれれば、相手を一方的に殴ることができる”圧倒的に有利な状態”となります。

 人は意識的または無意識に、マウントを取りに行きがちです。私も「マウントなんて下らない」と思いながら、ついついやってしまいます。私がやりがちなのが、浅薄な知識をひけらかす所謂”知識マウント”です。簡単に言えば、”知ったかぶり”です。

 マウントを取りたがる人には、承認欲求が強いという特徴があります。また、自信がない人や自己否定感の強い人もマウントを取る傾向があります。これは、相手を相対的に下位に置くことで、自分は優秀だと思い込んだり、自己肯定感を高めたりできるからです。それから、マウントを取る人には傲慢で自己中心的な性格な人も多い気がします。本当に自分が周囲よりも優秀だと”信じている”ので、”自分が優先されるべきだ”と思い込んでいるようなのです。

 ちょっとした自慢レベルのマウントなら可愛いもんですが、露骨なマウントは勘弁してほしいと思います。でも、自分自身が無意識にマウントを取っている場合があるので、気を付けたいと思います。自戒を込めて。

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