語彙力が少ない子供の頃は、同音異義語や似通った言葉の違いが良くわかりませんでした。例えば、”乾布(かんぷ)摩擦”は、長い間”寒風(かんぷう)摩擦”だと思っていました。寒空の下での寒風摩擦は、イメージピッタリの気がするのですが・・・。それから、「電車がフツウ(不通)になりました」と言うニュースでは、フツウ(普通)がどうしてダメなの?と思っていました。今でも聞き違いや勘違いも多いのですが、これは小学校低学年の時の話です。
たぶん、冬休みの時だったと思います。夕方、祖母の家に家族で行きました。例年、祖母の家でお正月の餅をついてくれていたので、お餅を取りに行ったのかもしれません。祖母は私の伯父・伯母にあたる長男夫婦と同居していました。その日は、泊まることになりました。夜、布団を敷いてくれている伯母が私に言いました。「明日の朝、子供たちによるカンゲイコがあるから、早起きして行くといいわ」と言いました。「カンゲイコ?。歓迎子?。そうか、他所から来た子供を近所の子供たちが歓迎してくれるのだな!!」と、都合の良い勘違いをしました。
伯母さんに朝早く起こされ、従兄弟に連れられて、近所のお宮(小さな神社)に行きました。お宮につくと、既に何人かの子供たちが来ていました。「なるほど、この子たちが僕を歓迎してくれるのか!!」と思いました。10数人ぐらいが集まると、ラジオ体操が始まりました。「よしよし、歓迎するにしても、まずは体をほぐさないと」とまだ勝手な思い込みをしていました。ラジオ体操が終わると、さあ行こうと誰かが言って、ランニングが始まりました。歓迎はいつから始まるの?、と思いながらも、先行する集団から離されないようについて行きました。寒空の中、結構な距離を走った後、元のお宮に帰ってきました。そこで、カンゲイコは解散となりました。「あれ、僕の歓迎は・・・?」。
この謎の行事が、子供たちの体を鍛える『寒稽古』だと知ったのは、ずーっと後のことでした。
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