『古池や 蛙(カワズ)飛び込む 水の音』は、松尾芭蕉の俳句で、彼が蕉風俳諧を確立した句とされている、多くの人が知っている有名な俳句です。
このように、蛙は”カエル”や”カワズ”とも読まれます。”カエル”の語源はズバリ”帰る”で、昔の子供の帰宅時間の夕方が、”カエル”の大合唱を始める時間と重なることから名付けられたと考えられています。また、”カエル”の習性として、必ず自分の産まれた池に戻ってくる(帰る)事から、そう呼ばれるようになったという説もあります。このカエルと言う呼び方は、『枕草子』の時代にすでに完成されています。
もう一つの呼び名である”カワズ”は、”川津”が元になっている説と、”カワ+ズ”で”川に+棲むもの”を指すという説があります。”カエル”は日常語として、”カワズ”は歌語として、使い分けられていたそうです。そのため、カワズは現在ではあまり一般的ではありません。
『万葉集』には、二十首ほどの”かわず”の歌が収録されていて、それらは「河津、川津、川豆、河蝦」などと表記されています。そのため、この”かわづ”は特定のカエルである”河鹿(かじか)”、すなわちカジカガエルを指していると考えられています。辞書でカワズを調べてみると、2番目の意味で”カジカガエル”が出てきます。
田舎に住んでいた頃は、アマガエルにトノサマガエル、ヒキガエルにウシガエルと多くのカエルが身近にいましたが、今住んでいる場所では殆んど目にすることはありません。ただし夜になると、姿は見えませんが鳴き声だけは聞こえてきます。
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