見出し画像

月食をネタにして

 昨晩は日本で広く月食が見られました。今回は、子供の頃の月食話をしたいと思います。

 高1の時、近々月食があることを耳にしました。月食のことは、知識としては知っていましたが、まだ15年ほどしか生きていなかったので、それまでに見たことはありませんでした。放課後、いつも仲良くしている友達と、月食の話になり、「そうだ、月食の観測をしよう!」となりまりました。丁度、月食は土曜日の夜で、次の日は学校もお休みです。トントン拍子に話がまとまりました。しかし、この話には裏がありました。

 田舎でしたから、夜は店がほとんど閉まっています。また、進学塾などはありませんので、高校生が夜に出歩く口実もありません。私たちは、夜に出歩く”それらしい”口実が欲しかったのでした。最近、一眼レフカメラの望遠レンズを買った写真が趣味の友人がいたので、「これで、月食の写真を撮る」テイで、私の実家近くの中学校に5人が集合しました。

 私は自分で言うのは恥ずかしいのですが、真面目な優等生でした。親にも信用がありました。「今日は月食なので天体観測をする」と言うと、何の疑問もなく「いってらっしゃい」と送り出してくれました。待ち合わせ時間に、集合場所に行くと既にメンバーが集まっていました。夜間外出にうるさく、厳しい躾の家庭の子もいましたが、「天体観測」にまんまと騙されて、何とか抜け出してこれました。

 最初は、寒空の中、月食の開始を5人で待ちました。月食が始まると、一応アリバイ工作のため、証拠の月食写真を撮りました。ひとしきり、アリバイ工作(月食観察)を終えると、これからが本番です。まずは、育ち盛りのお腹を満たす必要がありました。メンバーには実家がお菓子屋の子がいて、お団子を持って来てくれました。月見とくれば、やはりお団子です。まずは、お団子で小腹を満たしました。

 ここからが、クライマックスです。実はメンバーの一人が、赤ワインを用意していました。入手経路は不明ですが、とある店で秘かに購入したものでした。いまは、アルコール飲料の購入には年齢認証が必要なので、こっそりお酒を買うことはできませんが、昔はルールが緩かったし、田舎なので酒には寛容でした。

 ボトルの赤ワインはみんなで、回し飲みしました。私はそれまで、父親の飲み残しの日本酒やビールを舐めたことはありましたが、本格的に酒を飲むのはその時が初めてでした。私の順番が回ってきて、恐る恐る飲みました。口に含んだ赤ワインは、良い香りがしましたが、少し渋くて、あまり美味しくありませんでした。高校生の小遣いで買えるくらいの値段ですから、安物のワインだったのでしょう。ワインを呑み込むと、喉がヒリヒリして、胃の内部が燃えるような感覚でした。

 私は結局一口しか飲みませんでしたが、残りの4人でワイン一本を空けました。このメンバーは、大学生になってからその酒豪ぶりを遺憾なく発揮しますが、すでに高校生の時に片鱗を見せていました。ワインが空いた後は、目的完了なので、三々五々と帰宅しました。この時のことは、どこにもバレていません。月食と聞くと必ずこのエピソードが浮かんできます。あの時のメンバーも同じなのかなぁ。

 当時は一口しか飲めなかったワインでしたが、大人になった今なら何口でも飲めます^^。最近のお気に入りは、メルシャンの安いワインです。このワインが優れモノで、後口の悪さにつながる酸化防止剤が無添加です。お財布にも優しいし、クセの無い味なので、ワイン初心者にはお勧めです。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?