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結局 iPad Pro(M4)を買った

前回 こんなこと を書いたのに結局 iPad Pro(M4) 11インチ を買った。しかも Magic KeyboardApple Pencil Pro も追加して買った。フルセット……

発表当初は全然惹かれていなかったのだが、考えているうちにほしくなってきて結局小躍りしながら買いに行くという顛末になった。買い物は購入動機に占める衝動の割合に比例して満足度も高くなる。どうしても必要だから買うものよりも、説明不能だが欲しいものを無計画に買ってくる方が得られる快感が大きい。困った習性ではある。

というわけで 11 インチの iPad Air(第4世代)から 11 インチの iPad Pro(M4)への買い替えとなった。キーボードを装着した状態での iPad の使用は今回が初めて。

考えの変化

発表時の印象から変化し、購入検討する要因となったのは大きく以下2点。いずれもアクセサリ関係だ。

Apple Pencil Pro 便利そう(特にスクイーズ)

(製品発表時の考え)
正直絵をかかないので必要ないと思ってはいる。ただメモをしながら消しゴムに切り替えるときの操作はするので、触覚フィードバックは欲しいと思っていた。握ってペンを選ぶやつ、使ってみると手放せないという評価になるような気はする

https://note.com/deneeeeeeb/n/n17594bd5561b

その後あらためて自分の Apple Pencil を使った筆記動作を確認して気づいたのだが、知らず知らずのうちにペンを切り替える動作を回避するスタイルになっていた。というのは、ペンを切り替えるたびに画面端のパレットまでいちいち腕を動かす必要があり、これが面倒だからだ。そうなると「本当はここにちょっと蛍光ペンで色を入れたいんだけどな」と思っても面倒さが勝り「最後にまとめてやるか」と保留して結局そのまま、というケースが多発することになる。

Apple Pencil Pro の動画を見て、スクイーズでペン先からパレットを表示する機能がこの問題をうまく解決するように思えた。消しゴムであればダブルタップで切り替えられるのだが、巷でも言われているようにダブルタップは入力漏れが発生することがある。これも触覚フィードバックで解消するだろう。

ホバーは使ったことはないが、ペン先の場所が目視確認できるのは明らかにストレスが減るだろうと想像でき、これらのアップデートは気を衒うことなく素直に作業時のストレス軽減に貢献するという発想になった。機能追加や変更でなく、単純な機能改善というのは満足度を得やすい。

また、そのように Apple Pencil Pro の効果を十全に体感したいと願うのであれば、このタイミングで iPad Pro を試してみて Promotion テクノロジーも一緒に体験した方が購入コンセプトに合うだろう、という考えに発展した。 iPad Air は画面描画のリフレッシュレートが低いので、ペン先から少し遅れて線が描画されているように見える。もちろん使えないような致命的な欠点ではないが、やはり日常的に使う道具としては細かいストレスではある。

Magic Keyboard でワイヤレス給電ができそう

(製品発表時の考え)
Magic Keyboard は重そうだし、装着したままキーボードを裏に回してタブレット利用できないので微妙なんだよな。

https://note.com/deneeeeeeb/n/n17594bd5561b

Magic Keyboard は「そうかこれ iPad のワイヤレス給電の土台として使えるんだな」という発想が決定的な購入への転換ポイントとなった。というのも、iPad への給電は公式では USB ケーブルの抜差しかなく、どのようなアクセサリを買い揃えても iPhone のようなワイヤレス給電がないのだ。僕は USB Type-C の抜差が本当に嫌いで、あのすこしズレると金属がすれあう不快感を想像すると萎えて使用頻度が減っていってしまう。それで iPad Air も室内で持ち歩かなくなり、手元でホワイトボードとして活用することもなくなり、結線したまま位置固定のタッチモニタデバイスとして限定的な使用しかしなくなってしまう、という構造的な問題を抱えていた。

Magic Keyboard は重いのは重いのだが、であればこいつは原則位置固定のスタンドとして扱い、磁力で iPad を着脱する充電台にすれば上記の問題を解決するだろうと考えた。この機能は唯一性があり代替が効かない。結局これが決め手で購入を検討し始めた。

そうなると黒い金属の質感、重さがありガッチリ固定してくれる安定感、トラックパッド装備のオールインワン感なども魅力的に感じ始めた。で、せっかく買うなら値段も変わらないし新しい方の Magic Keyboard の方がいいよなぁという考えに繋がり、これも iPad Pro の購入を後押しすることになった。

買ってみた

購入して1週間使った感想が以下。

iPad Pro

  • Promotion テクノロジー:めちゃくちゃ使用感が改善した。絵を描いたりゲームをしたりしてるわけではないが、画面面積が大きいので単にページめくりなどがヌルヌル動くことによる改善効果が大きい。もちろん Apple Pencil の筆記体験も大きく改善された

  • 薄さ:めちゃ薄い。前のiPad Air からだとマイナス 0.8 mm で数値的にもけっこう薄型化してるのだが、それにしても薄く感じる。感覚的には箔押しとかの表面加工でちょっと膨らんだ紙、ぐらいの厚みに感じる。鉄板 → 厚紙ぐらいの変化。

  • 軽さ:めちゃ軽い。数値上は 18 g の差しかないが、めちゃめちゃ軽く感じる。なんで? 薄いから? 液晶モデルよりモニタパネルがちょっと柔らかいような感じもあるけど……そのせい? わかんない

  • 質感:黒い金属ゆえの重厚さ、高級感がある。人間社会に溶け込むタイプのヴィランが組織からの支給品として使用しているデバイス、といった趣がある。

  • マルチタスク: Split View が実用に耐える軽快さになった。ちょっと2画面にするか、というのが完全に自然にできる。ステマネはまだあまり触っていない(今のところ2つ以上の窓を開き続けたい欲求が生じていない)

  • タンデム OLED : 黒が本当に黒いというありふれた表現しかできないが、その通りだ。なんかナマモノっぽいんだよね OLED って。デジタルなトゲトゲしさがない。有機ELという名前に引っ張られてる感もあるが、生き物に触れているようなアナログさがある。ナノテクスチャーは手入れが面倒そうなのと高いので選ばなかった。なので、反射はそれなりにある。

  • データ移行:相変わらず旧 iPad に近づけて置いておくだけですべて移行される。魔法だよ

ひさしぶりの黒い Apple 製品だ

Magic Keyboard

  • Magic Keyboard 経由で iPad にワイヤレス給電できるのが素晴らしい(購入した主な理由)

  • iPad をトラックパッドで初めて操作したがとても使いやすい。僕の使用範囲ではすべての操作が自然にこなせている。クリック対象のボタンにカーソルが吸い込まれるエフェクトなど、芸が細かく操作感がいい。

  • 薄くてしっかりした金属の質感がいい。ちょっとしたカードぐらいの厚みだ。本体と同じ黒なのも高級感がある。

  • 4本指や3本指の操作も十分実用的。追従性もすばらしい。

  • 閉じた状態での一体感がすごい。2枚の金属が精度良くぴったりと噛み合っている。まったくずれない。

Apple Pencil Pro

  • スクイーズ(グッてペンに力入れて握るとペン先からメニューが出る)は一度使うとやめられない。期待通りペン先変更がスムーズで、蛍光ペンや赤ペンをちょっと使おうという気分になる。そうすると書いたものが綺麗になるのでさらにもうちょっと書こうか、という好循環が生まれる

  • ホバーを初めて使ったがペン先の位置がわかるのは快適だ。スクイーズで表示するパレットの位置の特定も目視確認できる

ちょっと気になったところ

  • Apple Pencil で画面に文字を書くと画面が少しへこむ? たわむ? ような気がする。比較対象にしている iPad Air(第4世代)はガチガチの鉄板に書き付けている感があったのだが、ちょっと「せんせい」っぽさがあるというか、極端に言うとトランポリン感がある。フィルム有無のせいか? OLEDってそういうもの? 画面中央あたりが特に裏支えがないような気がする。まあ問題というほどではないが、差異を感じた。

  • Apple Pencil Pro 、触覚フィードバックで判断しやすくなったものの、ダブルタップは相変わらず反応しづらい。スクイーズでの切り替えの方が確実で手間もないので、ダブルタップは使わなくなりそうな予感。

  • Magic Keyboard 、 11 インチだとキーが小さいのは小さい。端の方のキーは幅が半分ぐらいに省略されている(日本語配列)これはきっと嫌な人は嫌だと思う。僕の周りにもキーボード、画面は 13 インチサイズを好む人は一定数存在する。ただ僕の使い方だとブラインドタッチもすぐにストレスなくできたし、特に問題は感じない。これは好みだろう。

  • トラックパッドも小さい。ほとんど問題ないのだが、1つだけ、ピンチアウト、ピンチインの操作だけはすこし気を使わないと反応が抜ける。まあ頻度も多くはないし許容可能な範囲。

  • 総じて非常にいいものだが高すぎる。円安よ……

その他雑感

懸念事項であった重さは、「キーボードつきのモバイルデバイスとして考えると適度な重さは高級感として機能し、許容できるラインの中にうまく収まっている」という印象で、タブレット単体で持った時の印象は「大きいスマホではなく小さいノートパソコンと脳がとらえているせいか数値上の重さ以上に軽く感じる」という感想になった。

このサイズ感は 2011 年ごろの 11 インチ MacBook Air に似ている。サイズ感、薄さ、意外とズシっと身が詰まってる重さの密度、など。僕はこの 11 インチ MacBook Air を大層愛用していたのだが、そこからの正統進化(モニタ部分が独立してタブレット単体で利用もできるようになった)のように感じられる。はじめてバランスよく完成されたノートパソコンを触った時のような感動がある。イージーにここイヤだな、と感じてしまう部分がない。MacBook と比較しても、僕の用途ではシングルタスクのインターフェースが好ましいため、 iPad の方が向いている。

Apple Pencil Pro は邪剣っぽいパッケージだった

Apple Pencil のアップデートについては AirPods Pro の 1から2へのアップデートの時に近い感想をもった。あのときもノイズキャンセリングという大きな機能追加があった無印 → Pro と違って、 Pro1 → Pro2 は音量調整機能の追加、触覚フィードバックの追加、音質の向上、というこまかい機能追加だったのだが、体験してみると非常に効果的な改善に感じた。Apple 製品はブレイクスルーのあとにこういう機能改善を途中で入れてくれるので、書い直した場合も買い待ちした場合も損した感が薄い。期待値を最大化してくれる。

キーボード付きの iPad というのは使ってみると自分にとって新しいポジションのデバイスで、ノートパソコンほどあらたまった感がなく、いい意味でオモチャ感というか、お気に入りの超合金のロボットをずっといじっていたくなるような感じでちょっとした作業をこなすきっかけになってくれる。

いい買い物だった

総評として、ファインウーブンケースで失った啓蒙を補ってあまりある購入体験となった。

Magic Keyboard 、超高いのだが、この所有欲の満たされ方は「変形合体する超合金ロボを手に入れた」時に近い。しっかりした構造で iPad とキーボードの2つの金属がガッチリと合体していて、気が向いたらパッと外してスタンドアロンで遊べる。スペックだけでない製品としての美しさがある。充電ポートのついてるヒンジの一本の棒状の金属も、なんというか、いい。背骨のようで、合体のために便宜的にとりつけた機構のようでありつつ、調和している。

黒い Apple 製品は 2007 年ごろの黒 MacBook (マットブラックみたいな色だった)以来で、悪の秘密結社の幹部が使っている端末、みたいな気分になれて大層よい。使います。

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