見出し画像

「自傷的自動思考」の止め方

最近、ちょっと外に出て、他人と喋ったことがきっかけとなり、あいかわらず自分がどうしようもない人間であることに気づかされて、精神的自傷癖が発動し、自分の精神をズタズタにしてしまう出来事があった。

落ち込みのきっかけとなった事象はたいへんにくだらなく、しかも些末なモノであるから、ここで詳しくは語らない。過去に自分が負った傷のせいで他人にとっては至極どうでもいいくだらん出来事が塩粒のように感じられ、それをまだジュクジュクする傷にねじ込まれたような気がして一時気が狂いそうになった。

追い込まれた(追い込んだ)メンタルを回復させるためにわたしはいくらか薬の力を借りたが、それだけでは事足りなかった。薬を飲むことは対症療法にはなるが、それは一時凌ぎにすぎない。対して自分を責める自分は極めて執念深く、毎日・毎日暇さえあれば(いや暇なんてなくとも)、自分を傷つけることばを投げかけてくる。精神医学の用語でいえば、「自動思考」というやつだ。長期的にみて、メンタルを回復にもっていくためには、この自傷的な自動思考を止めることが必須になる。(でないと薬をいくら飲んでも苦しみからは逃れられない)

今回は「自傷的自動思考」の止め方について、どんな方法があるか、自分なりに考えたポイントをいくつか絞ってここに書こうと思う。


①内なる自責する「自分」を論破・説得せよ

人間の精神は多かれ少なかれ自己分裂している。われわれの脳内には、複数人の自分がいる。臨床心理士から聞いた話だと、5〜10人くらいの「自分」は誰にでもいるようだ。その中で自分に否定的な「自分」と徹底的に討論する。相手のいうことばをひとつひとつ受け止めて丁寧に反論していく。「おまえはわたしに随分と否定的だが、ほんとうにそうなのか?おまえのいうことに根拠があるのか?あるとしてなぜそれが正しいといえるのか?」。一つ残らず、反論し切ったときには、自分の中に居座る「悪魔」はひとつ消えているはずだ。また、顔を出しそうになったら、同じように反論してつぶせばいい。

②別の思考のスパイラルに嵌る(負の思考のスパイラルから抜け出す)

いま嵌ってる思考のスパイラルから一度はずれて別のことを考える。これは自力でやるよりも環境を変えてしまうほうが早い。とくに場所を変えると思考が変わりやすいので、手っ取り早い。家の中に籠もってるなら、外に出て自然や人工の造形物、街を歩く人でもなんでもよい。他のモノに徹底的に意識を向けること。それに夢中になること。その際、他人の境遇と自分の境遇を比較してはならない。

③小さな成功体験を積む

これはほんとうに小さなことでよい。具体的に手近なところでいうと、なにか手伝いをする。他人に感謝されることは健康によい。相手がよろこぶ姿を見るだけでたいていの人間は清々しい気分になるようにできている。もし、感謝されなくとも「情けは人の為ならず」と思って利他的な行動を積む。最初は意図していなくてもだいたい自分に返ってくる。周りが助けてくれるようになる。利他的な行いには環境を変えてしまう力がある。そして、自分で自分に恥ずかしくない生き方をすることは、精神的自傷癖から自分の身を守ってくれる。

④自分の能力を高める

失敗して嫌な思いをしたら、その失敗が生じた原因を特定する。特定したら直す。上手くいかないなら直し方を考える。できるだけかんたんな(自分に実践しやすいような)やり方を見つけられればよりよい。「困難は分割せよ」(by デカルト)。同じ失敗をしないよう。もし仮に失敗しても次は負のスパイラルから抜け出す方法を用意しておく。原因が即座に解決できないトラウマに基づく場合は、プロの精神科医や臨床心理士に壁打ち相手になってもらい、自分の思考を吐きだす。解決方法を一緒になって考えてもらう。なにも一人で解決しなければならないわけではない。使える他者の手は使う。

⑤物語のストックをつくる

いろんな人の人生を追体験する。ロールモデルを複数もつ。これは①の自己論破(自己説得)にも役立つ。小説・ノンフィクションetc., 媒体問わず貪るように観る。たくさんの物語の蓄積があると、人生の困りごとを解決する際の参考となる。他者が似たような問題に当たったとき、どのように解決したのかを参照することは、他者の助けを借りて問題を解決するのと同じことである。助けの手は多ければ多いほど良いに決まってる。あなたが摂取した物語の数だけ、あなたを支える力は大きくなる。特に、自分をメタ視する力が弱い人ほど、物語のストックを増やすべきだ。自分の想像力だけで補いきれない部分を他者の経験や想像で補うことができるから。

⑥傷つくことに慣れる

また、これかー……という余裕が生まれれば勝ち。最初の一歩がいちばん苦しい。そのあと、それ以上苦しむことはない。自分が苦しいと思っていることが体験してしまえば(視点が変わる等して)意外と大したことはなかったと気づくことは儘ある。旅に出たとき、往路と復路で復路の方が移動時間が短く感じるのは、道のりを知っているからだ。どんな道かを知っていれば不安は減る。あと、人間の性質上、実体験したことというのは脳内に強固な「自分」のひとつを形成する。これをポジティブな「自分」に塗り替えることができれば、①の自己論破(自己説得)の際にネガティブな自分に反論する際の強い味方になってくれる。これがいちばんハードル高いと思うががんばろう。

⑦世間の価値観とはちがう己だけの価値観・世界観を構築する

だいたいの苦しみは世間の価値観に呑まれる(呑まれすぎる)から起こる。世間でただしいと思われていることを自分にも当てはめようとするから苦しむ。人間、十人十色というようにそんなに簡単に万物に対しての価値観が己にフィットするはずがない。世間の価値観というのは一般論にすぎない。それに適合できる人間が生きやすいのは間違いないが、適合できなくとて死ぬわけではない。世間に合わせて無理やり自分の形を変えることの方が、世間とズレた世界に住むより苦しいことだってある。世間にあんまり馴染めんな…という人は、世間のただしいと思うことは念頭に置きつつも、それはそれ、自分の世界観を構築してみることにチャレンジするのが良いと思う。自分の好きなこと自分のただしいと思うことにしたがって生きる、自分に嘘をつかないで生きることが人生をラクにしてくれると思う。しかし、そのためには途方もない時間をかけて内省し、己の価値観(自分のやり方)を建築する必要がある。そのときに⑤でつくった物語のストックや⑥でつくった経験のストックが効いてくる。自分にとって生きやすい世界を自分で構築するのだ。何人ただしいと言おうが自分にとっては自分の考えるやり方の方が合っていると思えるくらいになれば、精神的自傷はほぼ完全に克服したといえそうだ。

最後

あと、ここに書かれたことを実行するにあたって、健全な生活をするというのはすごくだいじなことだ。規則正しい時間に寝て起きる。朝起きたら歯を磨いて顔を洗う。ちゃんと飯を食う。たまには運動して風呂に入る。そしてまた寝る。健全な精神は健全な肉体に宿る。これがすべての基本。

※ここに書かれていることだって、自分ですべて実践できているかと聞かれればそうではない。だから、わたしも苦しんでいる途中。みんなで元気になりましょう。

この記事が参加している募集

私のストレス解消法

ご支援ありがとうございます。また見にきてくださるとうれしいです。頂戴したお金は大切に使わせていただきます。