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双極性障害(Ⅱ型)とはなんぞや?(実体験をかんたんに語る)

*注意

私は精神科医(専門家)でもなんでもない一介の精神病患者だ。したがって、ここに書く話は医学的見地から見て正しいモノであるという保証は一切ない(なのでお手柔らかに🙏)。
あくまで私個人が精神科で治療を受けてきた経験を語った。「ふーん、双極性障害って、こういう人(一例)もいるんだあ」くらいに思いながら読んでみてください。

──本文

私は双極性障害という病に罹患してから(正確にいうと罹患していると発覚してから)今年でちょうど5年になる。その間、だいたい20種類くらいの薬を試し、3人の心理士から心理療法を受けてきた。それでも、未だにこれさえ服用しておけばOKという薬ないしは療法には巡り合えておらず、症状(心身の状態)の変化に合わせて、服用する薬の種類や量を調整するということを継続している。一応、オランザピンといういまの私の症状のだいたいをカバーしてくれる薬は存在するのだが、これも諸刃の剣で、長期服用は糖尿病のリスクがあるためできない。したがって、長期的に見たときの正解みたいな治療法は未だ見つけることができていない。
この春に新たな治療法を試してみよういう話になっていたところで主治医がいま通っている病院から去ることになり、今後どうなるか何もわからない状態である。

双極性障害というのは、何回も再発する。一度直った(寛解)したと思っていても、またすぐにつらくなったりする。私もこの5年の間に何度も再発を繰り返した。再発を繰り返すと、躁鬱の間隔が短くなったり(ラピッド・サイクラーと呼ぶ)、躁鬱が混じった状態(混合状態と呼ぶ)が出現する。これらが、端的に言って「地獄」である。1ヶ月の間に何度も躁鬱を繰り返すとアタマがおかしくなりそうになる。数日前まで、飲みの席でギャーギャー騒いでたヤツが、明後日・明明後日くらいには「ピストルで頭撃ち抜きたい……」とか言い出したり、「首吊るわ」とかいって物干し竿にロープ掛けだしたりするのである。これは、どちらも私自身の実話に基づいている。

混合状態も同じく死に近づく。「躁と鬱が混じった状態ってなんなん?」って皆さんは思われるだろうが、たとえば、頭はめちゃくちゃよく回る(アイデア等がポンポン出てくる)が、考える内容が全部悲観的(この年齢で失職したおれは社会のクズだ。どうやっても自分が望むものは手に入らない等)みたいな感じを想像していただければわかりやすいと思う。結構、これも危険な状態で、つまり悲観的なアイデアがポンポンと出てくるということだから、「死にたい」とか「死ぬにはどうしたらいいだろう」という考えもポンポン出てきやすいわけ。

以上のような、危険な状態を回避するために気分安定薬というのが使われる。双極性障害の治療のメインとしてよく使われる薬だ。炭酸リチウムとかバルプロ酸ナトリウムとかがそれにあたる。これらの薬は気分・情動の波の振幅を小さくする役割を担う。「振幅を小さくする」とは下(つまり鬱)は当然だが、上(つまり躁)の振幅も小さくすることを狙っている。

「下(の振幅を小さくするの)はともかくとして上は上げたままの方がいいじゃないですか?」

という疑問が生じると思う。
しかし、双極性障害の場合、上に上がり過ぎた状態も良くないとされている。弊害はさまざまあって、上がり過ぎると、①多動、②多弁、③易怒性、④浪費、⑤性的逸脱、⑥誇大妄想等々。
たとえば、「いきなり自分をすごく有能な人物だと勘違い(⑥)して巨額の投資をする(①、④)が大失敗して大きな借金を抱える」みたいな問題であったり、もっと身近なところでいうと、「すごく人と関わりたくなっていろんな人に連絡を取りまくって人を集める(①)が、そこで気に食わないことを言われる等して大激怒(③)し、人間関係が壊れる」みたいな問題が起こりやすい。
これらの問題が起こった場合、患者本人が傷つくのみならず、関わった人々や周囲の人間にたいへんな迷惑や損害を被らせることになる。
で、こういった問題を引き起こした後の躁鬱患者の情動は、(経験上)だいたいにおいて下がる(まずもって上がった状態が延々と続くということがあまりない)。それもかなり大きな幅で。その下がったときに何を考えるかというと、先ほど(行き過ぎた躁状態のときに)犯した失敗のことだったりするんですね。こういうのがトリガーになって鬱がさらに深まる。深まり過ぎると「希死念慮」や「自殺企図」のような状態を引き起こす。
したがって、双極性障害においては、躁(上)も鬱(下)も波の振幅を抑えましょう。というのが、治療の基本方針となっています。

私自身の話に戻しますと、現在気分安定薬として、炭酸リチウム800mg/dayとバルプロ酸ナトリウム800mg/dayを毎日飲んでいます。これは、メインドクター曰く、「かなり高い血中濃度になるように入れてるよ」とのことですが、いまのところ、この二剤の効果を明らかに感じたことはないです。
なぜかというと、私は毎月、心理士の指示に従って「情動グラフ」というモノをつくっています。これは、横軸に日付、縦軸に気分(情動)の躁鬱度合いをとって点をプロットしていき、1ヶ月間の情動の変遷をグラフ化してみましょう。という取り組みです。(下図)

情動グラフ22/12/11~23/01/10
情動グラフ23/01/15~23/02/14
情動グラフ23/02/19~23/03/18
情動グラフ23/03/18~23/04/11

いや、スキャンしてPDFにしろや!って思われるでしょうが、めんどくさいんでケータイで写真撮ってその場で貼り付けました笑。やたらと書き込みが多いですね。書き込みの内容は気分が上昇/下降したときのきっかけやそのとき考えていたことなどが書かれています。最初はシンプルですが、どんどん書き込みが増えていってますね笑。これをやることで、自分は何が原因で気分が上がり/下がりするのかがわかりやすくなります。
去年(2022年)12月11日から情動グラフがあるので、3枚(12月・1月・2月)試しに見てみると、もうグッチャグチャなのがわかりますね。グラフの合格点(安定といえる範囲)が、21/21(12月)、12/31(1月)、10/28(2月)、13/31(3月)。満点なのが12月のみです。これはなぜかというと、コロナに罹患して寝込んでいたからですね。身体に異常が出るとそっちに気を取られて精神にベクトルが向かないからなんですかね。身体はしんどい分、精神はラクというか気にならないみたいな状態になるきらいがあるようです。
他の月がまあひどいですね。1月が31日のうち12日、2月が28日のうち10日、3月が31日のうち13日。だいたい、月の2/3くらいは穏やかでない気分で暮らしていることになります。
これで気分安定薬が「効いている」と言えますかね?普通の人(精神的に健康な人)がこのグラフを書いたらどうなるのかは見てみたいですね。精神的に健康であってもやはり気分に波は付き物だと思いますし。
まあ、どちらかと言えば、こういったグラフよりも躁が出たときのエピソードや鬱が出たときのエピソードを重視しますよね、精神医学的には。私にもそういう「異常者エピソード」みたいなのはいろいろあるんですけど、ここでは割愛します。書いた方が、「おー、躁鬱ってこんななるんか……」って理解には繋がりそうな気はしますけどね。書くと詳細に渡るので話がどうしても長くなってしまう。ゆえに、この文章の趣旨である「双極性障害(Ⅱ型)とはなんぞや?をかんたんに知ってもらう」から少し外れてしまう。必要な情報をコンパクトに纏めたいので。あとは個人情報等が多分に含まれるエピソードなんかも存在するので、中途半端ですが。この辺で。

了.

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