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九州大学大学院でDeNAデザイン本部が「UI/UXデザインクラス」を開講!

みなさん、こんにちは🙋‍♀️
DeNAデザイン本部です。

2022年10月、九州大学 大学院芸術工学府 ストラテジックデザインコースにおいて、DeNAデザイン本部による「UI/UXデザインクラス」が開講しました!デザイン本部エクスぺリエンス戦略室長の眞﨑達也がカリキュラム監修、同副室長の小原大貴が講師として現地に赴き、全8回の対面講義を行います。

デザイン本部は以前より全国の大学や高校に出向いて、サービスデザインのワークショップや授業を実施。UI/UXデザインの魅力を伝える活動を行ってきました。九州大学大学院とも、このワークショップ開催が発端となり、帯での講義という形で結実しました。

そこで、先日1回目の講義を終えた眞﨑、小原の2名に加え、開講の立役者である九州大学の杉本美貴准教授にインタビューを実施。本講義の概要やその目的、初回の感想などを聞きました。


4度の「1dayワークショップ」を経て、全8回の講義へ

――まず、九州大学 大学院芸術工学府とDeNAデザイン本部のこれまでの関係性や一緒に取り組んできたことについてお聞かせください。

眞﨑: 最初は2017年です。デザイン本部の会社説明会兼座談会を九州大学で行った際に、九州大学芸術工学部・大学院芸術工学府の杉本先生とご縁ができまして。それをきっかけに、2018年から先生の講義の一環として毎年「1dayワークショップ」を開催させていただけることになりました。

当時、UI/UXデザイナーの需要が高まっているのにも関わらず学生の認知が低いことに危機感があって、この仕事の魅力を知ってもらうために全国の美術系大学や高校を回っていたんです。特に芸術工学分野はUI/UXと親和性が高いと考えていたので、九州大学には積極的にアプローチしました。

小原:福岡という土地柄もアプローチした理由の1つでしたよね。福岡市はスタートアップのサポートに熱心で、学生を対象とした起業支援プログラムなどもあるんです。福岡に事務所を置く大手IT企業も少なからず存在します。テストマーケティングの地域に選ばれることも多い。なので、新しい物事を受け入れやすい気質があるのかな、と。

カリキュラム監修担当の眞﨑(左)、講師担当の小原(右)

――杉本先生がDeNAによるワークショップをご自身の講義に導入しようとお考えになったのはなぜですか?

杉本:私はもともとプロダクトデザイナーとして大手家電メーカーに籍を置き、製品やサービス、ブランドなどのデザインを行ってきました。昨今はUI/UXを持たないプロダクトはほぼ存在しないのにも関わらず、肝心のデザイナーが全く足りていないんですよね。私のようなプロダクトデザイナーが従来の操作パネルや液晶画面デザインの延長線上でUI/UXまでやっているという例もあります。

そこをなんとかしたいな、という思いがずっとありました。でも、学問としてまだ体系化されていないのもあって、この分野を専門に教えている大学教員は九州大学には現状おりません。そんな時にDeNAさんからワークショップ開催のご提案をいただいたので、ありがたいお話だなと。

授業を見守る杉本美貴 准教授(左)

――「渡りに船」だったのですね(笑)。去年まで1dayでやっていたものが今年は全8回の帯の講義という形になりましたが、これもDeNAからの提案ですか?

眞﨑:そうですね。4度の「1dayワークショップ」を経て、より密度の濃い講義をできればという思いに至り、帯でやらせてもらえませんかとご提案しました。

学問として体系化はされていないけど、現場では手探りではあるもののスタイルが出来上がりつつあります。実務でやっている我々だから提供できるものがあるだろう、と。

杉本:それまでのワークショップもうまく進めることができていたという実績があったので、さらに充実した授業になるだろうと感じました。あと、今年に入って大学院の改組があり、カリキュラムも大幅に変わったんです。

去年までは私が持っているコマの中の4〜5回分ぐらいを使って集中講義という形で「1dayワークショップ」を開催していただいていたのですが、カリキュラム変更で新しい科目ができたので、これを使って全8回に拡大させることができました。ご提案いただいたタイミングもよかった(笑)。

ポートフォリオの作成とUI/UXを独学できる力をつけてもらうことが目標

――では、講義の概要を教えてください。

小原: UI/UXデザイナーを目指すための基礎を学びます。企画から1つのサービス体験(UX)とインターフェース(UI)を作っていく、というのが全体の流れです。

学生に課題を提示し、まずはこの課題に対してどんなUXを提供すればいいのか、その企画を練るのが前半。後半はそれを実現できるサービスとUIを考えつつ、デザイン制作に入ります。さらに単一のデザイン作品のみならず、デザイナーとして就職活動をするためのポートフォリオを作るのが最終目標です。

――カリキュラムは現場での制作過程に準じたものですか?

小原:そうですね。僕らが一番大切にしているのは、前半の企画部分です。手を動かす前にどういう体験をプランニングするか。想定されるユーザの課題を理解するためのインタビューを設計・実施し、得られた情報からモデル化を繰り返し、ファクトに向き合うことを重要視しています。なので、実施期間の半分は企画に割きました。

UI/UXデザインってひとことで言っても、その背景にはビジネス、テクノロジー、人類学などいろんな要素があるので、学生視点で見ると、どこから始めたらよいのか分かりづらく、とっつきづらい領域なのかなぁと個人的には思っていて。現場ではどのようなプロセスでデザインを進め、フェーズごとにどういう考え方やマインドセットを採用しているのか、今回の講義で伝えられるのはそういう部分なのかな、と考えています。

眞﨑:ポートフォリオに組み込める作品を作る、ということがアウトプットとしてのゴール。あと、初心者からカバーできるようにカリキュラムを組んだので、講義終了後は自走して学習できる、UI/UXを独学できるくらいの力を持てるようにする、というのも目標にしています。

実際、常にキャッチアップし続ける姿勢をキープしていないと、この業界のスピードについていけませんから。
なので、実務でやっている人間が現場の体系的なものをコンパクトに教える、という点に僕らが提供できる独自の価値があるのかなと考えています。

――カリキュラムは先生と相談しながら作成されたのですか?

小原:いえ、僕らにお任せいただきました。基本的に過去の「1dayワークショップ」で時間をかけられなかったポイント、例えば最初のリサーチの部分だったり、UIのブラッシュアップだったり、そのUIをさらにポートフォリオの中で魅力的に見せるとか、そういうそもそも時間がある程度必要なところに今回はしっかり時間を費やすことにしました。

大きな流れは1dayの時とそれほど変わっていません。クオリティアップができるようポイントポイントにきっちり時間をかけることができるので、最終発表で学生のみんなからどんなものが上がってくるのかすごく楽しみなんです。

初回の講義を終えて感じたこと。学生の反応

――先日1回目の講義を終えられたそうですね。率直な感想をお聞かせください。

小原:最初はちょっと緊張してるのかなと思いましたが、始まってみると、みんなとても素直でやる気にあふれていました!
僕的には、対面での講義が久し振りだったので、楽しかった反面、時間がちょっと足りなかったという反省があります。でも、対面はやっぱり打ち解けるのが早いですね。

受講者は7名です。大学院というのもあるのか、バックグラウンドは皆それぞれ。学部生から上がってきた学生だけではなく、東京の大学や高専からの編入など、バラエティに富んでますね。理系出身の学生もいるし、デザイン系の学生もいます。

眞﨑:過去の1dayでも感じていたことですが、九州大学の学生はめちゃくちゃ真面目なんですよね。出された課題に対して取り組む姿勢もすごくいい。なんとか課題を噛み砕こうとしているのがよくわかるんです。全体的に深掘りできる思考力を持ち合わせているのも、共通した特徴だと思います。

小原:考える、ということに慣れていますよね。与えられた課題に対してどう向き合うかというところの受容性も高い。ワークショップを行ったとき、慣れてない人はアイデア出しでつまずくことが少なくないのですが、九州大学の学生はアイデアがどんどん出てくる。それで初回は想定より時間がかかっちゃった、というのもあるんです(笑)。でも嬉しい悲鳴ではありました。

眞﨑:あと、今回はアプリやWeb制作の経験がある学生が比較的多くて、そこは過去と比べて違うポイントだったかな。ただ、体系的に学んでいないから自分が作ったものに自信が持てていない学生が多いのかな、という感じはしました。

――杉本先生はどうお感じになりましたか?

杉本:すごく良かったです!学生数名にも感想を聞きましたが、めちゃくちゃ評判いいですよ、ほんとに(笑)!

資料も小原さんの説明もとても分かりやすくて。念入りに準備していただいているのが学生にもビシビシ伝わっていて、みんなテンション上がってます。「次からも楽しみです!」と口々に言ってました。

小原:嬉しいけど…ハードルが上がった(笑)。学生とはSlackでもやりとりしているのですが、締め切りまでまだ期間があるのに、もう宿題を提出してくれてて。

――では、この講義の開講は来年も決定してるんですね(笑)

杉本:やっていただけるならぜひお願いしたいです(笑)。

UI/UXに目覚める学生を1人でも多く増やしたい

――講義全体を終えた後にこういう変化があったらいいな、こういう姿勢を持ってもらえるといいな、など期待する学生の姿はありますか?

杉本:UI/UXの専門家と呼べるくらいになってほしい、という希望はあります。職業柄、メーカーの採用担当者やマネージャーの方とお話することがあり、プロダクトのポートフォリオなんかを見せてもらう機会もあるのですが、やはりものすごくレベルが高い。

でも、3~4年前だったかな、UI/UXのポートフォリを見せてもらったら「え、これでいいの…?」というレベルで。もちろん過去の話なので今は変わっていると思いますが。

講義を通じて、そういうのを遥かに凌ぐようなUI/UXのスキルや見識を身につけてくれると嬉しいです。

――卒業後の進路にUI/UXデザイナーを選ぶ学生が増えている印象はありますか?

杉本:あります。私の専門はプロダクトデザインですが、自分の研究室からもUI/UXデザイナーとして大手メーカーやIT関連企業に就職する学生は確実に増えています。

企業さんにもよりますが、採用段階でプロダクトデザイン、サービス系のUI/UXデザインなど、デザイナーとしての入り口が分かれているんです。最初からUI/UXデザイナーを志望する学生は、卒業研究や修士研究でもUI/UXを扱ってますね。

小原:サービスデザインのインターフェースとしてUIに取り組む学生さんは多い印象があります。

杉本:そうですね。UI/UXを専門に、というよりサービスや仕組みを考えてそれを表現するためにUIを使う、といった感じです。UIは必然的にやらざるを得ないですから。今回の講義を受講している学生に話を聞いた印象では、卒業後の進路として少なくとも半数以上はUI/UXデザインの道を希望しているようです。

小原:そうおっしゃっていただけると希望が持てる反面、相変わらずUI/UXデザイナーの数は圧倒的に不足していて、需要と供給のバランスが全く取れていない状況で…。

正直なところ、DeNAがこういった活動を続けているのは「仲間を増やしたい」というのもあるんです。「サービスデザインって面白いんだな、UI/UXデザインの方向に進みたいな」って思ってくれる学生を1人でも多く増やしたい。

眞﨑:まだ新しい分野なので、何かのきっかけがないと取っ付きづらいところはあると思うんです。学問として体系化されていないので、独学のハードルも高い。ですので、こういう活動を通して早い段階できっかけを提供し、いろんな選択肢があることを学生に示す、というのがこの活動のキモなのかもしれません。

その結果、DeNAを志望してくれると嬉しいですし、他の企業でもいい。今回の講義もサービス/プロダクトデザイナーの創出の一端になるといいな、と思っています。

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