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【ベトナム】 IT系スタートアップ・ベンチャー企業視察レポート

みなさん、こんにちは🙋‍♀️
DeNAデザイン本部です。

2022年12月、ベトナム国内に拠点を置くIT系スタートアップやベンチャー企業へ視察に行ってきました。本記事では、視察の様子と各社のサービスについてご紹介します。

ベトナムは近年の著しい経済成長と共に、IT分野におけるプロダクト開発も国内のみならずグローバル市場に向けて展開しており、とても躍動的な印象を伺えます。

視察はデザイン本部 本部長の上田、サービスデザイン部 部長の眞崎、マーケティングデザイン部 部長の渡辺、サービスデザイン部 第一グループ所属のラタンと、デザイン本部のオフショア開発チームであるGIANTY社のみなさんと共に訪れました。

GIANTY社とは、ベトナムと日本に拠点を持つオフショア開発向けのスタジオです。WEBシステム・ゲーム/アプリ開発・メタバース・NFT・ECシステム・業務システム・XR(AR/VR/MR)・ゲームやアニメの2D/3Dモデリング・グラフィック製作に至るまで、システム開発とデザイン制作を行い、DeNAの公式コーポレートサイトや、外部パートナー向けのお年賀Webサイト開発などを行っていただいております。

DeNAのコーポレートサイト
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今回の視察では、ベトナムに拠点を置く「ELSA」、「Huuk」、「eDoctor」の3社を訪問させていただきました。


ELSA Speak

まず最初に、教育分野のプロダクトからご紹介するのは、英語の発音矯正アプリ「ELSA Speak」です。

(画像出典:App Store)

「ELSA Speak」を開発しているELSA社は2016年に設立され、プロダクトローンチしてから6年で少しずつ機能アップデートや事業展開を行っています。

AI技術を使い、ユーザーの発音に対して瞬時に判定・スコアリングを行い、またユーザーが現状持っているスキルや学ぶ目標に合わせて、イントレーション、語彙、文法、会話文章、リスニングなどのプログラムをAIがカスタマイズしてくれます。

「ELSA Speak」による英語学習と発音矯正教育の効果として、3ヶ月利用を継続したユーザーの90%は、ユーザー自身が英語学習や自分自身に自信を持てるようになったという調査結果があります。

実際に世界100カ国、海外ユーザー数40億人、ベトナム国内では1,000万ダウンロードされており、その高い品質とAI技術が評価され、世界中でさまざまな賞や実績を獲得しています。

最初に、上田からDeNAが展開している事業とデザイン本部の組織について紹介しました。幅広く事業を展開するDeNAの特長を伝えるためのショートリール映像には、みなさん特に興味を持ってご覧になっていました。

次に、ELSA社から「ELSA Speak」のデモンストレーションを実際に行っていただきながら、アプリケーションの利用方法やその開発背景等についてお話を伺いました。

アプリケーションのUIは多言語対応されており、直感的にとてもわかりやすく設計されています。また、とてもグラフィカルで、利用していてワクワクします。

また、日本語にも対応しており、ベトナムに次いで日本における利用ユーザー数は2番目と多く、BtoBへの展開として企業や教育機関などでも利用できる大人数向けのプログラムを提供しています。

このような教育系サービスの課題として、ユーザーの学習モチベーションを維持させることの難しさが挙げられますが、ELSA社では定期的なアプリ内コンテストやテスト、オンラインイベントやオフラインイベントなどを開催して、ユーザーに飽きさせないためのさまざまな体験の提供を行っています。

プロダクト開発は、ベトナムとアメリカの2拠点でグローバルに行われています。2018年にGoogleのAIファンドであるGradient Venturesが700万ドルを出資するなど、今後もさらなる展開が期待される素晴らしい会社とプロダクトでした。

ELSA社のみなさんと記念撮影

Huuk

続いて、エンタメ分野から、Z世代向けのローカルなエンタメ・グルメ情報プラットフォーム「Huuk」です。

(画像出典:App Store)

「Huuk」は「信頼性のあるローカルな情報」をシェア、レビュー、予約・購買することができる利便性の高い情報プラットフォームを目指し、「いいね」やフォローなどのソーシャルネットワークとしての機能だけでなく、Web3.0のブロックチェーン技術であるNFTの特性を活かしたゲーミフィケーション的な体験を提供しています。

このサービスを開発している背景には、情報が溢れている現代のインターネット社会において、ユーザーにとって信頼でき、かつベストな情報を探すことが困難になっているという問題があります。その中には、ユーザーの興味関心をひくために誇張されたレビュー情報が混在しているなど、求めている情報へリーチするためにユーザーのネットリテラシーに委ねられてしまっているという現状があります。

また、世界中のZ世代約10億人がショート動画形式の情報プラットフォームを長時間利用していることから、今後はより大きな市場となり得るポテンシャルを秘めていることが「Huuk」の開発背景です。

「Huuk」は、エンドユーザーと店舗側それぞれにアプリケーションを展開予定で、現在はベータ版をリリースしています。公式リリースは来年を予定していますが、すでに25,000人のユーザーが利用しており、毎日15万本のショートビデオがアップロードされています。

ショートビデオには、その店やその場所の位置情報が連携されており、ユーザーはすぐにマップアプリからルートを見ることができたり、ショートビデオの再生画面から直接商品の購入や施設、サービスの予約を行うことができます。

現在は、ベトナムを拠点に資金調達を行いながらプロダクト開発を進めており、将来的には日本や韓国といった東南アジアへの展開を目指しています。

今後の発展と、Z世代が利用するプロダクトにどのような変化を与えるのか、とても注目のサービスです。

Huuk社のオフィスでプレゼンテーションを聞いている様子

eDoctor

続いて、ヘルスケア領域から、さまざまな医療サービスや医療に関わるビジネスを展開する「eDoctor」です。

(画像出典:App Store)

「eDoctor」は「ヘルスケアのエコシステムを構築する」というミッションを掲げており、ベトナムにおける医療に関わる課題解決を目指しています。

アメリカ・MIT大学の調査レポートによると、ベトナムのヘルスケア事情に関して下記のような問題点が挙げられています。

  • 都市部と農村部における、医療サービスの需要と供給のアンバランスさ

  • ライフスタイルの変化による、心臓病やがん患者の増加

  • 高齢化

  • 農村部に住む65%のベトナム国民は、十分な医療サービスを受ける環境が整っていない

多くの人が都市部に集中してしまっているため、都市部の病院での待ち時間の長さも課題に挙げられます。また、新型コロナウイルスの流行により病院に訪れる患者が増加したことで、医療サービスへの需要がさらに高まりました。

これらの課題を解決するためには、ベトナムの医療機関に携わる多くのステークホルダーが持っている課題とニーズに応える必要があります。「eDoctor」は、ビッグデータ×テクノロジーを活用し、医療提供者と利用者をつなぎながら、ユーザー自身が病気の予防ケアを行うことができるように複数のプロダクトを開発しています。

その中の1つ、「eDoctor - Know Your Health」は、ヘルスケアに関連する信頼性の高い情報の提供、保険や医療サービスの購入、オンライン診療、自身のヘルスケアプロフィールの記録機能などがあり、ヘルスケアに関わる総合的なUX体験を通してユーザー自身の健康管理を促します。UIも洗練されていて、どうしても情報量が多くなってしまう医療情報をさまざまな写真を活用して、わかりやすく情報伝達している印象でした。

「eDoctor」のサービス利用者は35万人。また、100社以上のBtoBパートナーがおり、プロダクトを通してヘルスケアやメディカルサービスのみならず、医療機関におけるDXサポートなども行っています。

日本でも高齢化といった社会問題、新型コロナウイルスの影響でオンライン診療などといったインターネットを活用するケースや、さまざまなシーンでDX化を掲げることが増えてきました。ヘルスケア領域のみならず、医療機関や医療提供者を含む複雑なステークホルダーが存在する中、オペレーションだけでは解決することが難しい社会課題に対して、「eDoctor」のテクノロジーを活用したソリューション事例は大変参考になったのではないかと思います。

クリスマスツリーが飾られたエントランスでの集合写真

最後に

ベトナムを中心に展開するスタートアップの視察を行ってきましたが、特に驚かされたのは、プロダクト開発がグローバル基準になってきたことです。

ターゲットをベトナム国内だけに絞らず、グローバルに広げることで、サービス設計の段階から「どのように市場を国内から世界へ展開するのか」が考えられていました。開発チームや拠点もグローバルで、そのサービス開発とビジネス展開の勢いはこれからも加速していくでしょう。

これからも、経済発展を続けていくベトナムと、さまざまなIT企業によるサービス開発と技術発展から目が離せません。

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