見出し画像

(010) 島崎藤村「初恋」とVTuber

平田オリザ『名著入門』(朝日新書)を読んでいて気になったことです。『名著入門』は明治以降の日本の近代文学について概観した本です。あまり本書に関係しませんが、備忘的な感じで記します。


島崎藤村の『破壊』についての章。
日本文学は言文一致というツールは手にしたものの、そのツールを用いて何を表現するのかが問題でした。

その問題にひとつの解を与えた作品のひとつが島崎藤村の『若菜集』であり『破壊』でした。

本書では島崎藤村『若菜集』の中の「初恋」を引いた上で下のように書かれています。

文学青年たちは、なるほど、これが自分の心に宿る不安やときめきの正体だと感じた。透谷が提唱した「観念」が、見事に具体的な言葉として眼前に現れた。ちなみにこの「初恋」は今、V-TUBER(Virtual YouTuber)が歌にしてヒットしているらしい。

平田オリザ『名著入門』(P.72-73)

私が気になったのは最後の文章なんです。

ちなみにこの「初恋」は今、V-TUBER(Virtual YouTuber)が歌にしてヒットしているらしい。

ちなみ文だからあまり重要ではない情報なのですが、ここでVTuberが出てきたことに違和感がありました。

オリザさん、なぜ?

考えてもわからないことでどうでも良いと言えばどうでも良い。本書の元が新聞連載ということでオリザさんのアンテナに引っかかったことを単に書いただけだと思いますが。


では、そのVTuberは誰なのか?

“初恋 VTuber”で検索すればすぐわかります。
にじさんじ所属ライバーの戌亥とこでした。
長野県小諸市のこもろ観光局とのタイアップで2021年10月発表の楽曲。

小諸は島崎藤村ゆかりの地です。

2021年10月は私がVTuberを視聴しはじめたかどうかというところで、しかもVTuberのメインコンテンツのひとつ「歌ってみた」に興味がないんだよな。

楽曲の良さとかは、私、わかりませんのでここでは触れません。

2023年1月で約180万回再生。すごい。

次は公式のページ。

2021年というちょい前の今更な話でしたが、意外なものがリンクするのはおもしろいなと思った、ただそれだけでございます。


0109-1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?