見出し画像

書評「Science of Running」

Chris Napier博士のScience fo Runningのインプレッション(2020年,DK出版,英語版,Amazonで購入可).Napier博士は臨床医,ランニングの怪我予防の専門家で,本人もシリアスランナーである.

この本は表紙のイラストのような普段見えない筋肉の部位を見ることができるので筋肉の動かし方のイマジネーションが湧く.上質紙フルカラー印刷で眺めているだけで楽しい本.ランナーのための絵本といったところか.英語版であるが平易な英語なので比較的読みやすいと思う.

内容的には,ランニングに関連する人体の仕組み(解剖学と生理学),怪我を防ぐ方法,筋トレ,ランニングのトレーニングと5km,10km,ハーフ,フルマラソンまでの具体的なメニューなどを科学的なエビデンスに基づき説明している(参考文献を巻末で挙げている).これ一冊でランニングについて基本的なことがわかる.レベル的にはランニングビギナーから初中級ぐらいだと思う.

この本を読んで新たに知ったことを列挙する.

・ランニング中にテンポの速い音楽を聴くとパフォーマンスが向上する.
・ランナーの多くはレース前に水分の摂りすぎ.喉の渇きを覚えても脱水症状ではない.脱水症状より水分の摂り過ぎによる水分過剰に注意すること.
・レース中の補給.カフェインと硝酸塩がおススメ.硝酸塩はビートルート・ジュース(赤カブ)に含まれている.本書には書かれていないが,キプチョゲ選手はオリンピックやメジャー大会の前にジュースを飲んで勝利してきたという.理由は硝酸塩を飲むと血液中に一酸化窒素が生じ,血管が広がり,血流が増加することによる効果のようだ.
・マラソンのトレーニングには,インターバルより強度100%のヒル(丘)トレーニングの方がメリットが大きい.ただ,これはインターバルを丘で実施するのと同じだと思うが,筋肉への負荷やフォームの矯正には平地よりメリットが大きいことは確かだと思う.

大阪マラソンに取り入れたいと思う.この中で簡単にできるビートルート・ジュースを飲むことと,ウォーターローディングをしないことは試してみたい.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?