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何だか「活」が偉そうだ。

「就活」「婚活」「妊活」「終活」「推し活」近頃の世の中は「活」が闊歩している。「人生には四つの活があります。それは」などと結婚式で赤ら顔のオヤジがスピーチしていそうだ。そのうち「独活」もおひとり様の生き方なんてされて本家のウドの立場がなくなってしまうかも知れない。がんばれ、ウド。

とはいえ、この「活」という字の当て方はなかなか便利だ。多くの人が直面する節目節目の難題に、「ひとりじゃないよ」とやさしく伴走してくれそうな気がする。何よりライフサイクル方面のビジネスの方々には使い勝手がとりわけ良さそうだ。

あらかたお世話になることはもうないと思いきや「終活」というものがどうやら該当している。「人生の終わりのための活動」として生前になすべき事としてあげられるあれこれは、ことほど左様に考えかつ用意しておかなければならないものと納得させられ、避けてばかりもいられまいと思う。それでももしその姿を見られて「お、終活か」などと言われれば「いや、別に終活でやってないから」と嘯くに違いない。

それぞれの「活」で誰彼がより良く生きる道標になれば、それを否定するものは何もない。むしろ讃え、応援したくなる事も多いだろう。ただ、乱立する「活」は、遠目でそのビル群を見た時、自噴自発を殊更に促す社会のいびつな姿を表している気がしないでもない。きっとビルの狭間で、生きづらくなっている人がいるはずだ。もてはやしすぎた言葉は、いつかつけあがる。

まあ「生活」以上に難儀な「活」はない。


見出しのイラストは「ノウチ」さんの作品です。ビジョンは「展望」で、かつ「まぼろし」ですね。


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