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平賀源内に憧れた。

小学生の時、平賀源内に憧れた。きっかけは伝説のNHK時代劇「天下御免」。山口崇演じる源内を中心にした面々が、公害問題や受験戦争などの現代社会を痛快に風刺していく。歩行者天国は出てくる、美濃部都知事は登場する、よくあの時代に(あの時代だからか)こんなアバンギャルドなドラマが作れたなと今でもつくづく思う。かえすがえすもフィルムがないのが惜しい。主題歌のレコードを買い、放映中は「グラフNHK」という広報誌までとっていた。小学6年生の好奇心は、この平賀源内なる人物はどういう人だったのかと、早速本屋に行って評伝を購入。するとかの有名なエレキテルの発明はもとより、秩父に鉱山開発には行く、蘭学者として杉田玄白と交流はある、土用のウナギを定着させた名コピーライター、浄瑠璃作者にして蘭画家と、いくつの顔を持っているんだこのオッサンは!と驚き、こんな人になりたいと憧れた。その非業の死を除いては。大人はみな、自分の親を含め友人の親も、勤め人であろうが商店であろうが職業はとにかく一つ。そんなマルチタスクに仕事を掛け持ちしている人など周囲にはいなかった(いや多くの女性は家事全般というマルチタスクを背負わされていたんだ)。

もとより、子供の興味は摘まないという考え方の親だったので、成長ごとに移る関心事を否定されることはなかった。「天下御免」はそんな下地をさらに確固たるものにしたというのが正しいかも知れない。思春期から今に至るまで、ある時は映画にはまり、小劇場ブームのときは演劇にはまり、本は相変わらず乱読で、聴く音楽は節操がない。決定的な違いは、源内はすべてにおいて一流だったのに対し、己が興味は「下手の横好き」の域を全てにおいて越えていないこと。ひとかどの見識どころか、見識自体が怪しい。しかも理系はとことん不得手。こうなったら「つまみ食い」の極意でも体得しようかしらんと思う。幸い胃腸だけは丈夫だ。目指せ!?みうらじゅん(実は憧れている)。

写真は、アーティスト高橋信雅氏の、河口湖・北原ミュージアムの壁画の一部。一見の価値ありの森羅万象(?)であります。






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