議員辞職勧告決議

「戦争」発言の丸山穂高衆院議員に対して、野党連名で議員辞職勧告決議案が提出された。
これに対し丸山議員は「前例を作ってしまいかねず、絶対に辞めるわけにはいかない」と応じたという。

各議員や政党がそれぞれの立場から「辞任すべし」と主張するのは勝手なのだろうが、議会の総意として決議をするとなると重みがだいぶ変わってくる。
各種制度との整合性や、他の議員との平等性・公平性についてもしっかり検討が必要になるだろう。

議員辞職勧告決議」について改めて調べてみると、明確な法的根拠がない上に、憲法的にグレーな状態のようだ。
となると、運用は慎重にならざるを得ず、明確かつ重篤な問題がない限りは出しにくい決議となるはずだ。
現に、過去の国会議員に対する辞職勧告決議は、すべて違法行為により逮捕または起訴された議員に限られている。

件の発言がいかに過激かつ不愉快なものであったとしても、発言のみでこれを適用するのは、平等性に欠けると言わざるを得ない。
なにより、言説を理由として明確な法的根拠もなしに国会議員を議会から追放する、というのは、文明国として恥ずかしい行為ではなかろうか?

議員辞職勧告決議は自民党の反対で否決される見通しということで、少しほっとしている。
代案として「けん責決議案」により猛省を促すということになりそうだ。

ただ、否決されたとしても、決議案が出された後での辞職とあっては、国会が追放したかのような印象を与えかねず、国として体裁が悪くなる。
針のムシロかもしれないが、丸山氏には任期満了までいてもらったほうがよいのだろう。


さて、彼の発言の意図について、ネットでもいろいろな意見があるようだ。
「戦争しないとどうしようもなくないか」にどのような言葉を続けるつもりだったのだろうか?

全島返還をロシア側が明白に拒絶している状況で、話し合いで全島返還を実現するのはかなり困難なことだろう。
全島返還にこだわるなら、確かに戦争くらいしかないのかもしれない。

「だから戦争を始めよう」なのか、「だから全島返還は諦めて、2島返還などの妥協案を探ろう」なのか。
当然後者なのだろうが、酒が入っていたせいか言葉足らずになってしまったのだろう。


丸山氏はどうか知らないが、国会議員に過激な思想の持ち主が紛れ込んでいる可能性、今後入ってくる可能性はあるだろう。
ただ、与党がしっかりと平和主義を堅持していれば、日本が戦争に突入なんてことは基本的にはないはずだ。

一議員の発言にいちいちナーバスにならずに、「平和主義」と「言論の自由」の重要性を胸に刻み、それらを堅持できる政党を見極めて票を投じることを心がけたいと思う。

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