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01_Interview:染谷昌利さん

会社員だけで大丈夫?
【一人十色】
~複業で生き抜く時代がやって来る~

『複業のトリセツ』の筆者
染谷昌利さんにインタビュー


今までの日本社会では、ほとんどの会社は副業を始めると本職の仕事がおろそかになってしまうという理由で禁止していました。

しかし政府が2017年3月28日に「働き方改革実行計画」を発表、多くの企業は副業や兼業を認める方針に移行しつつあります。

そんな中、2018年9月28日にDMM PUBLISHINGから『複業のトリセツ』(染谷昌利 著)が出版されました。

少子化問題による労働人口減少、ITテクノロジーの発達・進歩により私たちの雇用は奪われていくことが考えられる今、自分の能力を上げること、自己発信力をつけることが重要だと染谷氏は語ります。

これからの日本でどう生きていけばいいのか。

『月刊 出目マガ』インタビュー班が突撃インタビューをしてきました!


染谷昌利(そめや まさとし)
1975年生まれ。株式会社MASH 代表取締役。
12年間の会社員時代からさまざまな副業に取り組み、2009年にインターネット集客や収益化の専門家として独立。
現在はブログメディアの運営とともに、コミュニティ運営、書籍の執筆・プロデュース、企業や地方自治体のアドバイザー、講演活動など、複数の業務に取り組むパラレルワーカー。
著書に『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』『世界一やさしい アフィリエイトの教科書 1年生』『クリエイターのための権利の本』、『複業のトリセツ』など多数。


世の中にブロガーを広めるきっかけとなった
『ブログ飯』

――いまだAmazonへランクインし続けている『ブログ飯』。本当にすごい人気ですね。どうしてこんなに人気が出たのでしょうか。今、染谷さんが感じている本作人気の秘密を教えてください。

染谷:当時ブログ本はツール紹介やテクニック重視の本が多かったんですね。いわゆるプロブロガー本と呼ばれた、ネタフルのコグレさんが書いた『ブログ運営テクニック100』などです。



ネタフル



執筆が決まったとき、目の前のテクニックではなく、考え方や強みの見つけ方を重要視したマインドセットの本にしたのが『ブログ飯』です。

退職時の体験談に加えて、当時一番身近にいた妻側の考えも含めた共感しやすい内容に仕上げるという戦略もありました。

また、ネット上だけでは本が売れると思っていなかったので書店まわりを徹底的に行い、書店員さんと仲良くなるということを心がけましたね。

書籍の陳列に関しては書店員に権限がありますから、店員さんと仲良くなれば、ずっと置いてくれるんです。

この経験から、今でも自分の本が出版されたら関東圏の大きな書店はほぼご挨拶にまわります。

書店に並ぶことで色々な人の目につき、手にとって読んでもらいやすいという循環ができるんです。

そのかいもあって、池袋のジュンク堂に行くと「また新書が出ましたね」と言って店員さんから声をかけてくれるようになりました。


――『ブログ飯』を出版された後は人生変わりましたか?

染谷:変わったといえば変わったかもしれませんが、実感はないですね。
人生のカメラを止めずに回し続けてみると大きな流れに乗っているだけなのかもしれません。

僕の場合でいえばブログで書いていたのが紙の本に変わっただけです。

僕はもともと会社員として12年間働いていて、同時に趣味としてブログを運営していました。

2009年、リーマンショックの影響で当時勤務していた会社の経営が傾きました。

その際に、早期退職すると前払い退職金が1年分もらえるという制度が告知されたんです。

これは1つのチャンスだと思い、早期退職を決断しました。

決意した背後には生活費1年間分の退職金、加えてブログの収益が数万円あったので、新たに数万円の収益になるブログを10個から20個作れば何とかなるだろうと……。

もしうまくいかなかったから1年後に就職活動すればいいという楽観的な考えもありました。

自分ではチャンスが目の前に来たとき、逃さず掴んだとは思っています。

しかし、通算20作以上もの著書を出版することができたのは自分だけの力ではありません。


――どうやったらチャンスに気づくことができ、掴めるのでしょうか?

染谷:目の前にあることをしっかりやれば必ず次のチャンスに繋がっています。

書籍の場合ですと、書く、そして売るということですね。

紙の本になるのは夢みたいだ! なんておっしゃる人がいますが、手順さえちゃんと踏めば現実的なことなんですよ。

チャンスは誰の前にだって転がっています。

ただ自分がそのステージにいなければ「今がチャンスだ!」と残念ながら気付くことができません。

人によっては逆に「ピンチだ」なんて感じてしまうかもしれないですし。

しかし、自分の能力を伸ばしていけば、提案やきっかけがあったときにちゃんと気付くことができるようになります。

そうなれれば、チャンスが転がっているのに何で誰も気づかないんだろうと思うようにさえなりますよ。


――『ブログ飯』刊行後、読者からどんな反響がありましたか?

染谷:ここ数年は『ブログ飯』を読んでブログを始めましたとか、稼げるようになりましたという声も聞くようになり、何かしらの影響を与えていたんだなぁと実感しています。

他には、知識や人生経験が多い人にしか分からない隠しワードを『ブログ飯』の本文に入れたのですが、それに気づいた読者もいたのは驚きでした。

例えば、『ブログ飯』の第一章は僕の苦労話から始まっているんですね。

それはヒーローズジャーニーというテクニックを使っています。

神話や物語には法則があって、人間が共感するポイントっていうのは決まっているんです。

その法則を利用して読者の心をくすぐる構成にしています。

あとは何度も読み返してもらえるような仕掛け、最後まで興味をもって読んでもらえる工夫を随所に散りばめています。

そういった仕掛けに気づいてくれた読者がいたのは嬉しかったですね。

本を書くときは最後の最後まで手を抜くことはできなくて、全部書き終わったあとに分かりづらくて全部書き直したりすることもあります。


未来の選択肢を広げる『複業のトリセツ』

――引き続き、新刊『複業のトリセツ』についてお話を聞かせてください。『複業のトリセツ』で読者に一番伝たいメッセージはどんなことですか?

染谷:人生の選択肢を増やして「自分の人生を生きていこう!」ということですね。

人生の選択肢は

・仕事
・時間
・経済

など人によってさまざまです。

しかし、選択というものは自分の知識や観測範囲内でしかできません。
ですから、選択の幅を広げる努力をすることはとても大事です。


――『複業のトリセツ』に出てくる【一人十色】という表現がとても印象的ですね。
今までの日本の固定概念とは真逆の考えだと感じました。
この言葉を思いついたきっかけ、言葉を通して読者に伝えたいメッセージを教えてください。

染谷:これからの時代は一人で色々なことをやらなくてはいけないマルチプレイヤー、あるいは独自の人脈を構築していかないと厳しい時代になると考えています。

人生の選択肢を広げるために、自分のできることを増やしていきましょうという思いを込めています。


――日本の将来について染谷さんが心配していることはありますか?

染谷:現状維持をよしとしている人や変化を好まない層が多いと思います。

しかしこれからは自分のスキルや能力を組み合わせてリスクを分散していく必要があるというのが僕の考えです。

実は『ブログ飯』の時代から、1つの収益は20%にしておこうという主張はしているんですよ。

その道一本で勝負できる天才は良いのですが、多くの人はそういうわけにはいきませんからね。

また、これからの日本は人口が減少していくことが確実なので労働力は減っていくんです。

かといって会社は能力を低い人を雇うようになるわけでもなく、優秀な留学生などに頼っていくようになるかもしれません。


――今後の女性の働き方については、どのようなお考えをお持ちですか?

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