写真家の私がAIを使ってリアルな女性の写真を作るとどうなるのか?
AIは電気羊の夢を見るか
MidjourneyなどのAI画像生成システムは、写真という概念を大きく変える存在となりつつあります。このような中で、AIによる人物画像生成の可能性について考えてみましょう。
Generative.A.Iの登場は制作者にとって非常にインパクトのある出来事でした。以前は、創造性という精神活動は人間だけのものだと思われていましたが、人工知能はそのような領域にも軽々と踏み込んできました。
基本的には情報の関連性などを蓄積しただけのシステム(すみません乱暴に書きます)が、予想する機能を獲得し、人間にとって利益となる現象を生成することが出来るようになったのがAIです。
これは、人間が重視してきた理性や思想、創造性、倫理性などの概念自体をシミュレートできる可能性も示唆しています。
こうした状況の中で、私たちクリエイターは何をすべきなのか?写真やデザインとは何か?という問いに直面しています。
2.人物生成の難しさ
人間にとって最も興味深いのは人間自身であり、そのため、人間の脳は顔のパターン認識率が最も高いと言われています。つまり、顔の違いを認識することで、「これは誰か」ということがわかるわけですが、その精度が非常に高いのです。
そのため、人間は顔に対して違和感を感じやすく、これまでに主にMidjourneyを利用して日本人女性の顔を作り続けてきました。これにより、AIの実力を概ね推測することができます。
3.生成された画像
年を追って作った画層のサンプルを提示していきましょう。これらは同じ生成文(プロンプト)というわけではないので純粋にその進化をたどることはできませんが概ねレベルはわかるものと思います。
2022年8月
この頃はまだ写真的表現は苦手な時期です。
2022年9月
2022年11月
Midjourney v4がローンチされます。この時期から使える人物写真になってきたと言えるでしょう。
2022年12月
この時期になるとそれなりに写真的になってきますが、絵画と写真の中間的質感での出力になることが多かったです。
2023年1月
2023年2月
突然、男性ですが、そろそろ仕事にも使えるかもと思って、ウェブサイト上で使うカスタマーの人物写真を作ってみました。
小さなサイズで使うために、あまり精度は必要ではなかったのでこれでも十分利用価値がありました。
2023年3月
この辺から Midjourney のバージョンも上がってV5になり、写真もリアルになります。まだCG臭さというか綺麗すぎる肌の質感などはありますが、それでも言わなければ写真との区別が付きません。
CGというより写真データをアフターエディットで綺麗に仕上げた雰囲気と言っていいでしょう。
更に演出などのレベルも上がってきます。
2023年4月
ちょっと・・これやばくねぇ・・拡大してノイズの出方でやっとAIかもと判別出来ますが、普通に見たら単なるスナップ写真ですね。
2023年7月
2023年8月
まだちょっと肌の質感が綺麗すぎてつるっとした感じになりやすいけどそれ以外はほぼ合格。
2023年9月
ほぼ完璧
2023年12月
ここで、MidjourneyのバージョンがV6にアップします。それによって写真的表現力が格段に向上しました。もう、この時点でリアリティーのある人物写真生成システムは完成したと言えるでしょう。
2024年以降
今年に入ってもその進化は続き、写真なのかAIなのかの判断は非常に難しくなりました。
まとめ
デジタルカメラが写真産業の構造改革を促進し、その結果、写真業という一つの業種が消滅しました。私の実家はカメラ店と現像ショップを営んでいたため、その変化を密にみていましたが、テクノロジーによって、業種自体が消滅する現実を体験する事となったのです。
それでは今回のAIの進化は何をもたらすのでしょう?
それは産業構造よりも「写真」そのものの概念の進化です。デジタル化された事でおきた変化とは比べ物にならない変化になるでしょう。
最初からAIによる画像編集などを体験する人が増え、写真とはなにかといった基本認識に於いても、世代間で格差が生まれます。
そしてそれは、いつでも若い人たちの勝利で終わるのです。
最後にMidjourneyから書き出した最高画質の画像に直リンクしますのでこちらも参考にしてください。
https://kipha.net/images/japanese_wo.png
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?