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ミシュランの星が世界一なまち(スペインバスク州サン・セバスティアン市)

【まちnote #21】スペインバスク州サン・セバスティアン市

「料理のパリコレ」国際的料理学会が毎年開催される「食の聖地」サン・セバスティアン。

昨年は、オンラインかつ視聴無料という21回目にして初の試みを実施し、100カ国から27,000人の聴講者を集め、例年以上の拡散力を発揮したそうです。また、録画視聴を可能にすることで、ガストロノミー界の新しい潮流を世界に共有しています。

サン・セバスティアンは人口18万人、面積60km²の小さなまちですが、世界中から「美食の聖地」と知られており、ミシュランの星の数も世界一だそうです。

このまちが「美食の聖地」に成長した軌跡は、日本の地域でも参考にできそうですが、一方で、まちづくりが成功した大きな要因は、一筋縄ではいかないシェフたちの覚悟にありました。それは、料理業界の伝統的な弟子制度を廃止し、手法やレシピを店ごとに独占せずに共有するという「料理のオープンソース化」だそうです。

また、20年間以上開催が継続している国際的料理学会において、最初は料理人のための料理人による学会という要素が強かったものを、飲食業界が経済や環境に与える影響を十分に意識したガストロノミーをテーマとして開かれたカンファレンスとなっています。ここもとてもオープンですね。

良くも悪くも、伝統的な食・料理は職人技。その食・料理をオープン化し、まち全体として食の発信地になるというシェフや、それをサポートするステークホルダーの覚悟が、サン・セバスティアンを「美食の聖地」に育てました。

上記記事の中にある、市観光局局長マヌ ・ナルバエス氏の発言には、この成長をサステイナブルなものにする意識も色濃く表れています。

質の高い観光客=富裕層というわけではありません。お金を持っている観光客が増えると地元は変化を強要されます。サンセバスチャンが目指しているのは、土地の商品を本当に評価できる層。ブランドだからくる、買うという感覚ではなく、そこにいて、その時間とモノを大事にでき、旅の真の価値を評価できる方々を呼ぶのが目的です。それはある程度成熟した文化がある国の人々ということになります。

媚びることなく、まちの文化を磨き、その文化を愛してくれる人を大切にする。そんな覚悟を感じます。

そんな「美食の聖地」の町並みはこちらのブログで垣間見ることができます。

また、サン・セバスティアンでは、食のイノベーションに挑戦する動きもあります。それば、食のイノベーションを推し進める世界屈指のアカデミア「バスク・カリナリー・センター」。そこでは、2019年に「デジタルガストロノミー・ラボ」を開設し、27のスタートアップ企業が入居し、IoTや室内農業、スマートレストラン、3Dフードプリンターなど幅広い分野に取り組んでいるようです。

世界の環境問題への危機意識の高まりとともに、食のイノベーションが強く求められている中で、「美食の聖地」であるだけでなく、「食のスタートアップの集積地」にもなろうとしているサン・セバスティアン。

今後のまちづくりにも注目です。

はー、いってみたい。

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