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-[”サードレイヤー”を握れ]京都サンガ戦- The press of EHIME NO.11(投げ銭式)

お疲れ様です。De:Lです。

強敵続きの連戦。その2戦目。新潟に続いての戦いでした。

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またこちらでスペース機能を利用して、いろんな方とラジオ式でお話ししながら試合を見ていたのですが、

結構な人数が集まっていただいて、楽しく観戦できました。

前回の記事からも紹介していますが、

また愛媛FCを学ぶオンライン勉強会やオープンチャットなど、ファンが交流できる場所には積極的に参加していくので、よろしくお願いします!!

いずみさんの運営するオンライン勉強会詳細に関するページへのリンク↓

加えてお知らせというか、「eJリーグ」が開幕するということで私も本戦出場目指して頑張りますので、よろしくお願いします!

本記事では、”5レーン”や”4(5)レイヤー”などの戦術用語やシステム略称を用います。知らない単語がでてきますと、読みにくい部分もありますので、ぜひ下の戦術解説記事をご一読ください。

また前回の記事は以下になっています。

DAZNでは見逃し配信も可能です。現地にいった人もぜひ試合を見ながら振り返ってみてください。

このthe press of EHIME2021は2021シーズンの愛媛FCの一戦一戦に注目し、よかったこと(Gpoint)と悪かったこと(Bpoint)をまとめ、その試合から愛媛が学ぶことを整理したうえで、特定の選手(FeturePlayer)や、戦術を取り上げ、愛媛の進化を読み解いていこうという完全個人運営のnoteとなっています。ここでの文章、画像、考え方は完全に私個人のもので、愛媛FCとの関連はないもとし、DAZN映像からの引用も含め、一切の商標利用はないことを宣言しておきます。また、4節以降の投稿されたものは投げ銭式となっており、すべて無料で読むことが可能です。

では参りましょう!


1.振り返り

まずはスタメンから。

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今回は田中DMFモード。つまり、試合終盤まで5バックシステムは行わないということの現れ。

森谷と川村がコンビを組んで中盤3人を形成。

いつもであれば、画像のフォーメーションではなく、4141と考える並びを愛媛は展開していましたが、今回は4123と明確に言えるシステムとなりました。

その理由の大きな部分として、のちに紹介する可変システムを行うために藤本と吉田を同時起用した点が挙げられます。

DF陣はいつもと変わらぬ顔ぶれ。

交代を反映すると以下のようになります。

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短い時間ではありましたが、唐山が愛媛のユニフォームを着て、前線を駆ける姿を見れたことはうれしかったですね。。。。

小暮と交代で入った岩井は途中までWGの位置でプレー。試合になかなか絡むことはできませんでしたが、途中から川村とコンビで2シャドーボランチ。チームに貢献しました。

では以下DAZN発表のスタッツです。

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気になるのは愛媛のアタッキングサイドでしょうか。

藤本が今試合で主戦場とした右サイドに大きく偏った印象です。

森谷と川村もこちらのサイドに寄って、数的有利をつくるシーンもこのアタッキングサイドを象徴していますし、

さらに加筆すれば、岩井と茂木が長時間嚙み合わなかったというのも大きな要因かと思います。

もう一つ見るとすると、プレーエリアでしょうか。

前半から京都のハイプレスに加えて、高い位置で持たれるシーンが多かったですから、また新潟とは違ったタイプの強さを見せられた印象です。

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これが新潟戦のプレーエリア。明確な違いですね。


2.スタメン考察

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論点はこちら。

・田中のワンボランチ
・藤本のWG起用
・前野と藤本の相性
・吉田と藤本の同時起用


2.1.田中のワンボランチ

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前田と田中、川村や森谷と今の愛媛のチームの色をシステム面から司る”ボランチ”というポジションを担当する選手たちの一人ですね。

今回はベンチに前田の姿はなく、田中が先発しました。

新潟戦では前田が担当したわけですが、今回の田中先発の意図というのも考えていきましょう。

まず、前田なのか、田中なのか、で何が変わるか振り返ります。

成功例でいいますと、

前田ボランチ時

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これはホーム松本戦。4141におけるSHの一人がDFのラインまで落ちて5バックを作るディフェンスが呼称”前田型可変システム”

田中ボランチ時

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これはアウェー大宮戦。4141におけるMFが5人一列に並んで、後ろは4バック。これが呼称”田中型可変システム”

つまり、何が変わるかというとDFの仕方が変わるということです。

では、それを踏まえて今試合のディフェンスを見てみましょう。

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442になっています。

それから時間帯やタイミングによっては

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このような感じで森谷と田中が縦関係になっていることもありました。

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ここからは基本的にこの4312とディフェンス時に変化しているものとして話を進めていきます。

とにかく、従来の”田中型可変システム”とは違ったフォーメーションをしていたわけです。

これは後述する藤本と吉田の2枚を前線においていることと関係してくると思われるのですが、これも含めて3項目目で詳しく言及していこうと思います。


2.2.吉田と藤本の同時起用

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ここ最近は調子がうなぎ上りの藤本。加えてシーズン序盤からワントップとして体を張り、得点としても結果を残す吉田

二人の活躍は有田や丹羽といった強力なFWを今季失った愛媛からしても大きな部分でしょう。

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二人を同時に起用することは今までもありましたが、今回は先発で起用。これにも意図があったことが考えられます。

大きく二つの意図が予想されます。

一つ目は”ターゲットを増やす”です。

京都はハイプレスサッカーを基本とするスタイルです。

高い位置でも積極的に走り、DFへのプレッシャーをかけてきます。

そうなると、DF陣からすると長いボールを使いたくなるのは予想できます。近くでつないでいても、すぐにプレッシャーをかけられるわけですから、当然と言えば当然。

それを象徴するシーンが

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2列目まで下がってボールを受けて、チャンスメイクしようとするウタカ。

前線にボールを入れますが、直後に愛媛にカットされます。

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しかし、自分も上がって(攻撃人数を増やす&すぐプレスできる)田中へプレッシャーを掛けます。

よって田中はロングボールを使わざるを得ません。

したがって前でロングボール受けられる人数がたくさんいたほうが嬉しいわけです。

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もう一つは”ヨルディバイスを止める”です。

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2020年から京都でプレイするオランダ出身のCBですね。彼のディフェンス能力の高さは非常に大きいですが、それ以上に厄介なのが、驚異的な攻撃能力です。

CBでありながら、チャンスがあれば積極的にオーバーラップします。同時に連携し、リスクマネジメントまで行ってしまう京都のストロングポイントの一つとなっています。

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しかし、藤本と吉田の2枚にマークが必要ですから、必然的に両CBが残っていなくてはいけません。

このオーバーラップの得意なCBについては石本さんの記事で詳しく言及されています。


3.偽ウイング(サードレイヤーの掌握)

偽ウイング。聞いたことありますかね。

サッカーには偽〇〇というのがたくさんあります。(偽SB、偽No.9など)そのうちの一つに偽ウイングというのがあります。

発祥自体はバルセロナでした。4213や4123などの基本的にはSBとWGが両方あるフォーメーションに対して定義されています。

詳しく見ましょう。


3.1.偽ウイング解説

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フォーメーションの変化自体はこんな感じ。

つまるところ、”本来ウイングの選手がシャドーの位置に絞る”というのが偽ウイングの基本です。一時的に2521という攻撃的なフォーメーションへと変化します。

ただ、2枚のWGが同時に絞ることはまずなく、どちらかのWG一方が一時的に絞るのが基本です。

メリットとしては、

・中央の人数が増えるので、マークズレや数的有利を起こしやすくなる。
・ハーフレーンを活用しやすい
・サードレイヤーを活用しやすい
・SBの攻撃力を生かせる
・ワンボランチに対して非常に強い

などが挙げられます。

特筆したいのは、
・サードレイヤーを生かしやすい
・SBの攻撃力を生かせる
・ワンボランチに対して非常に強い

ですね。


3.2.京都の両WGと両SB

なぜ偽ウイングの話をするかというと、とどのつまり京都がやっていたから。ですねw

となると、京都の両WGと両SBにはどんな特徴があったのか、見てみましょう。

まず両SBから。

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荻原

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飯田

この試合で先発したのはこの2選手。特に荻原選手は交代するまでも積極的に攻撃参加し、アウトサイドレーンでドリブルを仕掛けるシーンが象徴的でした。

偽ウイング理論の中でもこのSBというポジションは特筆されることが多いです。

WGが中に絞る以上、目の前に広大なスペースができますから、突破力の高いSBや、テクニックがあるSBには相性がいいです。

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アウトサイドレーンで突破力を生かす荻原(本職SB)ハーフレーンでウタカやMFとコンビネーションを狙う松田(本職WG)の二人は、この偽ウイングを象徴する二人でしたね。

では次に両WG

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宮吉

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松田

この試合でWGとして起用されたのがこの二人。前半はこの二人のためにあったかのような前半でしたね。偽ウイングに愛媛が全く対応できずにやられてしまいました。

象徴的だったのは、二人の得点シーン。

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まずは宮吉。

落ちてポストプレーをしたウタカが池田をつり出して、そのスペースに中央から入っていく宮吉。本来であれば、今飯田がいる辺り(アウトサイドレーン)にいるはずですが、偽ウイングで中央に入っており、その位置からの抜け出しでした。

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次に松田。

ここではダイアゴナルに中央に切り込み、中途半端なポジションになってしまっている田中の裏を狙って抜け出しています。

メリットの一つに”ワンボランチに対して非常に強力”と書きましたが、まさにこういうことで、田中にはおそらく松田もボールを受けた16番も、さらには池田が元のポジションに戻れていないこととも見えていたでしょう。したがって、どこをケアしていいか直感的にわからず、非常に中途半端なポジションになってしまっています。

二人とも、非常に偽ウイング理論に基づいて効果的な動きで愛媛を翻弄しました。


3.3.偽ウイングに対抗するために

後半、この偽ウイングに対応した指示を見せた實好監督。

田中、そしてディフェンス陣に指示し、見事にこの松田と宮吉に対応して見せます。

この偽ウイングに対応するためには、マークの受け渡しが非常に重要です。そもそも本来のポジションから別のポジションに動かれるわけですから、マーク担当が変わるのは当然です。

さらには、コンパクトな守備も有効です。ポジション間を移動されようが、パスを出せなければ意味がありません。

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うまく修正できたなと思ったのが、この54分のシーン。

サードレイヤーが非常に狭くコンパクトな守備を展開できている上に、WGが入れ替わっている(気づきましたでしょうか?w左右が入れ替わっています。)にも関わらず、マーク交換がしっかりと行われ、愛媛の茂木と前野の両SBが対応しました。

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ここでも少し下がった位置(シャドー辺り)で待ち構えていた宮吉に対してもしっかりと田中はコースに入れています。

前半までの田中であれば、池田やウタカのいる辺りまで下がっていてしまうかもしれません。

ポジション修正がうまくいった上に、田中のガッツも見せた、いいディフェンスシーンでしたね。


4.まとめ

いかがだったでしょうか。

強敵続きではありますが、勝利のほしい一戦だっただけに、さらには競り合った試合だっただけに、残念でしたね。。。

でも切り替えて、選手たちには頑張って乗り越えてほしいところです!!!

では来節は

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ホーム磐田戦。

残り2戦の上位対決、2勝で終わりたい!!!

今回もfootball.labさんのデータを参考に書かせていただきました。

https://www.football-lab.jp/ehim/report/

愛媛FCを中心とするサッカー関連記事を書いています。ぜひご一読どうぞ。

昨年の振り返りは以下の記事です。

今回はご一読ありがとうございました。

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