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意識高い系会社に低い系が入社したはなし⑧

ストレス朝会

前回遅刻をしたら朝会で晒される話をしたが、
そもそもこの朝会そのものが非常にストレスフルなものだった。

毎朝10時になるとみんなで円になり、
営業成績の現状の報告や必要事項の共有をする。
それだけならまだしも、まず司会というものが存在する。(ちなみに司会は前月で目立って成績の良かった人から選出されるので、わたしは代役しか務めたことがない。)
そして司会は、この会社が大好きなラポールをしなければならない。 

説明しよう。
ラポールとは、フランス語で「橋を架ける」という意味であり、主として2人の人の間にある相互信頼の関係。すなわち,「心が通い合っている」「どんなことでも打明けられる」「言ったことが十分に理解される」と感じられる関係のことである。
つまり“ラポールをする”を簡単に言うと、“場が和むようなトークをする”ということだ。

そしてこれは、得てしてただの雑談になる。

つまり司会者の雑談を聞く時間が必ず朝会の冒頭に存在する。

そして圧倒的につまらないことが多い。

苦行の時間というわけだ。

ただし強制ではないので、
たまにラポールを省く優秀な司会者も存在した。

しかし決まって、ラポール大好きマン達から
ラポールをサボるなんて…と冷たい視線を向けられることになる。

彼らに言いたい。
つまらない話を立ったまま聞かされる身にもなってほしい。
愛想笑いによる頬の筋肉痛に労災を適用してほしい。


これだけではない。
ラポールは圧倒的聞き手だったので無駄な時間に腹を立てるだけで済んだが、
恐怖の“掛け声”というものが存在する。

これは毎日ローテーションなので、大体2週間に1回は回ってくる。

そして掛け声にもオリジナリティが求められる。
ほとんどラポールみたいなものだ。

何かしらエピソードトークをし、
そこから得られた教訓を無理やり引き出し、
「掛け声としましては、『(例)最後まで駆け抜けるぞ』と言いますので『オー!』でお願いします!」と言う。
そして『(例)最後まで駆け抜けるぞ!』と大きな声で唱えると、全社員が『オー!』と拳を突き上げる。

朝からなんとも暑苦しい光景である。
果たしてこれで士気は高まっていたのだろうか?

ここぞという時ならまだしも、
毎朝の掛け声は麦わらの一味ですらしていない。

入社当初は笑顔を保っていたわたしだが、途中からはキラキラした顔で掛け声を唱えている先輩を前に無表情で拳を突き上げていた。

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