見出し画像

意識高い系会社に低い系が入社したはなし③

ノンストップサボタージュ


約2年勤めたうち、全て換算すると約1年はサボっていたと思う。
給料泥棒とは私のことだ。

入社早々飛び込みが始まり、
開始早々わたしはサボった。

意気揚々と「行ってきます!」とオフィスを出た後
気づけば美味しい抹茶パンケーキを食べていたし、
色んなカフェでコーヒーを飲みながらさぼり仲間と談笑した。
1人でカラオケにも行った。
映画も見た。
ネカフェも行った。
買い物もした。
一旦家に帰って晩御飯も食べた。

そして春になると、気づけばほとんど毎日
大きな公園で観光客に交じって花見をしていた。



そして花見をしながらふと思った。

こんなにやる気がでないなんておかしい。
これは鬱かもしれない、と。

咲き誇る桜の下すぐ母にその旨をLINEで伝えた。

返事はたった一言


「鬱の人にあやまれ」


だった。
本当にその通りだ。

私はただ健やかにさぼっていただけである。

あぁなんて無意味な時間なんだろうと自分に嫌気が差しながらも、
私は真面目に取り組むことができなかった。

なぜならこんなにサボりながらも
やるべきことは最低限やっていたし、
営業成績も悪目立ちしない程度の成果は出せていたので、
給料が変わらないのに真面目にやるだけ損だったのだ。(損ではない)

しかも無駄に大学受験を頑張ったおかげで、
大したことをしていなくてもなんとなく“出来るやつ”だと思ってくれた。
学歴社会の根深さを実感した。

だが上司はわたしが本気を出していないことに
もちろん気づいていた。

「まだやれるよね?」
「無難なところで落ち着いてない?」

と何度も言われ、
その度に「私は本気なんですけどねぇ…」
と返していた。

そして元弊社お得意の面談では
「お前のそういう心を閉ざしてるとこがダメなんだよ!」
と言われ、より一層心を閉ざした。

さらに追い討ちで
「〇〇(本名)スイッチはどこにあるんだろうね?」
と言われ完全に貝になった。

上司も扱いにくくて大変だったと思う。
今では本当に申し訳なかったと思っている。

そしてこんなさぼりに給料を払ってもらったこと、
心から感謝している。


定時で帰ります

わたしは定時で帰る女として定評があった。

定時は18:00で残業代は20:00以降しか出ないので、
18:00〜20:00はいわゆるみなし残業になる。
つまり会社にいるだけ損をする。

帰れない時ももちろんあったが、
大体7割はオフィス内で誰よりも早く帰っていた。

もちろん仕事を終わらせずに帰宅はしない。
きちんと終わらせてから帰っていた。

どうやったらそんなに早く帰れるのかをなぜかみんなの前で発表させられたりもした。

これが仕事ができると錯覚してもらえた最たる所以である。

たしかに営業は顧客のためにやろうと思えばとことんやり込めるし、
仕事に終わりはないと言ってもいい。
だがこっちもイチ労働者だ。
そんな深夜まで働いてまで顧客のために仕事をしようと私は思えなかったし、
帰宅後の自分の時間の方が1億倍大切だった。
不向きof不向き。

そしてほぼ毎日仕事終わり誰かが飲みに行っているような会社だったので、
よく誘ってもらったりもした。
先輩の誕生日飲み会に声をかけられた時は、
「もういちいち祝うような歳じゃないでしょう」
ととんでもないセリフを吐いた。

こんな生意気極まりない奴を許してくれた先輩の懐の深さには心から感謝している。



とにかくただ早く帰ることだけがわたしが唯一見出したこの仕事のやり甲斐だった。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?