【気まぐれ日記】#15「Lazy Susan」

20代のころ、百貨店の宣伝課でコピーライターをしていた。
中途採用で入った、ちょうどそのころ、
店の2階か3階のエスカレーターをあがった目の前に、
Lazy Susan」のショップがあった。

ちょっとエッジのきいた洒落た雑貨が並んでいた。

「店内、視察に行ってきます」
といって、よくLazy Susanのショップを物色していた。

ステンレスのシャープな名刺入れとか。
シンプルなブラスのペンとか。
スタイリッシュな腕時計とか。
そんな雑貨がディスプレイされていた。

服でも、ジュエリーでも。
たいていのブランド名は、
デザイナーやクリエイターの名前だから
Lazy Susanも、そうだろうと思っていた。

あれから30年近く経った今になって、
Lazy Susanは人名ではなく、
「回転盆」を意味するのだと知った。

もう、まさに青天の霹靂である。

https://www.lazysusan.co.jp/concept/

ブランドの公式ホームページにも
「店内をぐるっと一周すると、欲しいものが見つかる」
というコンセプトから名づけられたとある。

レイジー・スーザンさんではなかったとして、
なぜ「怠けもののスーザンちゃん」が
「回転盆」になるのだろう?

Lazy Susanのもとになったのは、
18世紀にイギリスにあったDumbwaiterと呼ばれた小さな回転テーブル。

画像1

こんなのらしい。

Dumbは「口のきけない」という意味。
つまり、「しゃべらないウエイター」ということ。
18世紀のイギリスでは、貴族の館でも使用人が減ったため
食事中にワインを注ぎたしたり、
香辛料を欲しいな、となると。
テーブルを立って取りに行ったり、
食事と会話を楽しんでいる向かいの席の誰かに、
「ちょっと、そのコショウをちょうだい」
なんて言わなければならない。

そのわずらわしさを解決してくれたのが、Dumbwaiter。
しゃべらずに、ワインのデキャンタ―や香辛料をのせて
くるくる回ってサーブしてくれる
便利なウエイターとして、もてはやされたようだ。

この回転盆が一般家庭でも使われるようになったとき、
自分で動かなくてもモノが取れることから Lazy、
それに当時一般的だった女性の名前の Susan が
合わさってLazy Susanとなったのだとか。

回転テーブルで、まず思い浮かぶのは
中華料理店でポピュラーな中央が回るテーブルだろう。
もちろん、あれも英語では、Lazy Susan という。

ところで、中華料理店の回転テーブルは
中国で生まれたものではなく、
目黒雅叙園の創業者が考案したものなのだとか。
これも、知らなかった!

今度、中華料理を食べにいったら、
「ちょっとレイジースーザンを回してちょうだい」
なんて、言ってみようかな。


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