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ホンネで語られる役所の仕事がつまっている――『公務員になりたいと思ったときに読む本』

ふだん私はめったにハウツー本のたぐいを読みません。
同じようにしても、同じ結果を生むと信じるには、(世の辛酸はろくすっぽ舐めてはいませんが)人生の曲がり角をいくつも曲がってきているから。

ですが。
『公務員になりたいと思ったときに読む本』には、心ひかれました。
著者があの福島太郎さんだから、だけではありません。
副題の「公務員とは職業ではなく生き方です」に、惹かれたからです。

はっきり言って(言っちゃっていいのかな?)、公務員には偏見がありました。血の気が今よりもずっと多く、気が短かった若いころは特に。
実家の田舎の市役所は、書類一つもらうのに延々待たされ、たらい回しにされるし。カウンターの向こうでは、職員がぼーっとしている(ように見えた)し。5時になったら音楽が流れてぴたっと業務を終えるし。
「アナナタチ、仕事シテルノ?」と怒りモードになってました。
でも。
すみません。福島さん。全国の地方公務員の皆さん。
本著を読了した今は、上っ面だけをみて偏見をふくらませていたことを、心から謝りたいです。

皆さんも(たぶん)ご存知のように福島太郎さんは、福島県で地方公務員をされるかたわら、『黒田製作所物語』をはじめ、福島を舞台としたさまざまな企業物語や人間賛歌を描きあげ、精力的にKindle出版をされています。

その福島さんが、2024年9月1日に『公務員になりたいと思ったときに読む本』(通称『公なり本』)をビジネス実用社より上梓されました。
まずは商業出版されたことに、心よりお喜び申し上げます。
福島さんの怒涛のごとき邁進が、出版社の目にとまったということですね。
その記念すべき一冊を9月初旬にお送りいただきました。
ありがとうございます。


名言がいっぱいで付箋だらけになりました!

公務員をめざす人を対象に書かれたそうですが、実にリアルにお役所の仕事や人事のあれこれが、わかりやすい文章で綴られています。
そして、なによりも「名言」だらけなんです。

副題の「公務員とは職業ではなく生き方です」を筆頭に、たとえば。
「法令は守るべきものではなく、使うものです」
「できない理由は聞いてないですか」
「やりすぎは駄目ですか」
「出した答えが正しい」
長い目でみて「損して得とれ」「損して尊」
「金もコネも使えばいい。それも本人の力の一つ」
「経験は追いつけないけど、知識は追いつける」
「『急ぎじゃない』は信用しない」
とか。
ネタバレになるので、このくらいで止めておきますね。
公務員でなくとも、社会人として仕事をしていくうえで参考にしたい、よりどころにしたい「名言」が、ほぼ全ページに散りばめられているのです。

そればかりではありません。
役所における人事や財源、税金、福祉、生活保護、農業などの施策に対する本音も満載です。

これから公務員をめざす人にも、もちろん読んで欲しい。
でも、それだけではもったいない。
これから社会人になる高校生や大学生にも、読んでもらいたい。
社会とは、仕事とは、こんなふうに回っていて、こういう覚悟で臨むべきなのだということを知るのに、うってつけの良書です。
また、私のような薹の立った社会人が行政のありようやリアルを知るにも、とてもわかりやすく描かれていて、市役所をはじめとする公務員の方をみる目が変わりました。

読了して納得したのは、
「公務員とは職業ではなく生き方」であり、
福島さんが伝えたかったのは、「公務員としての魂」なのだと。


興味をもたれた方は、ぜひ、お読みください。



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