大河ファンタジー小説『月獅』8 第1幕:第3章「森の民」(2)
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第2章「天卵」<全文>は、こちらから、どうぞ。
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第1幕「ルチル」第3章「森の民」(2)
「近づくんじゃないよ。病がうつっちまう」
引きつった声が飛んできた。
ルチルはその緊迫感に驚き、一歩を踏み出した体勢のまま固まった。そのときだ。
「ああ、動かないで。そのままでいてくれ」
不意にのんびりとした声がかかり、ルチルは首だけを動かして目をみはった。男がひとり小さな子の手を引いて