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酒キチのちょい飲みチャレンジ

「ちょい飲み感覚で」
少し前の話になりますが、日比谷で映画鑑賞の後、小腹が空いたので何か軽くつまんでから帰ろうと思い、JRの高架下あたりでめぼしい飲み屋を探していました。
当てもなくフラフラと散策してたら、いかにもこの辺で働くサラリーマンが仕事終わりに一杯引っ掛けてそうな赤提灯を発見。
時間にして21時過ぎだったものの、多くのお客さんで賑わう店内。
客層は意外にも女性グループやカップル連れが大多数を占めており、1人で飲んでいるのはわたしだけでした。
彼女らにはインスタ映えしない味のある大衆酒場が物珍しいのでしょうか。
だけどこうして幅広い客層から愛されてるお店って安心できますよね。

ここはJRの高架下にある居酒屋 登運とん。これで「とんとん」と読みます。
まだ開業して間もない「日比谷OKUROJI」の少し手前、有楽町駅寄りの高架下に店を構えています。
銀座・有楽町界隈特有のあの敷居の高さや、一見さんが入りづらい雰囲気の全くない気軽に立ち寄れる焼き鳥居酒屋です。

「ちょい飲みのはずが…」
運良く席が空いていたのでここで飲むことに。
ホール担当の気さくな雰囲気の店員さんに奥のテーブル席へと案内されます。
席に着くや否やプレーンの酎ハイ、つくね、豚バラ、カシラを注文。
ほどなくして酎ハイがやってきました。


何の変哲もない酎ハイ。
至ってシンプルですが、スルメイカように干からびた喉を潤すにはピッタリ。
焼酎は濃くないものの、スッキリしてて飲みやすい。
気づいたら料理が届く前に3分の2も飲み干していました。
映画鑑賞中にでっかいコーラを飲んでたというのに。
あまりのペースの速さにドン引きしたわたしは、ペースを急激に落とします。
そして日本酒でもないのにチビチビと再び酎ハイを飲み始めたのです。
注文して10分ほど経ったころ、串焼きが続々とお皿にのってやってきました。
つくねはタレで、カシラは塩で、そして豚バラはからし味噌で食べます。

「バカ舌の食レポ」
つくねはカリッとした食感で大葉か山椒が練り込まれているため爽やかな後味だった。タレだがしつこくならない味わい。
カシラは塩だけで食べる。肉々しい歯ごたえと旨みが凝縮されており、素晴らしい。
豚バラは一串300円するだけあって、なかなかボリューミー。甘辛いからし味噌をつけて一口ずつ食べる。柔らかくてジューシー、からし味噌のおかげで単調な味にならないのが嬉しい。お酒がどんどん進んでいく。

「伝説の生ホッピー」
チビチビと飲んでいた酎ハイもついに飲み干してしまったので、次のドリンクは何にしようかとメニュー表を舐めるように読んでいると、ふと右下に「生ホッピー」を発見。
まさかここで巡り会うとはラッキー!宝くじで1万円当てた時と同じくらいの嬉しさが込み上げてきました。(知らんけど)


ホッピーはソトとナカといって、焼酎と氷が入ったグラスにホッピーを注ぎながら飲むのが主流ですが、生ホッピーはサーバーから注がれるので、濃さにムラがあることもなく、またビールのようなクリーミーな飲み口が特徴で、これが美味いんです。
サーバーがどういう構造になっているのか、焼酎の樽とホッピーの樽に別れているのか、はたまた焼酎とホッピーを混ぜた樽と炭酸の樽になっているのかは分かりませんが、とにかく美味いんです。
都内だと生ホッピーを提供しているお店はかなり限られているそうで、どうやら生ホッピー専用のサーバーの台数に限りがあるといるとのこと。

「日本酒に鞍替え」
ホッピーを飲み干し、次は日本酒を注文。
頼んだのは福井県の黒龍酒造から「黒龍 ひやおろし」


ひやおろし特有の柔らかな飲み口と穏やかな香りが特徴で、塩味の串焼きによく合います。
その飲みやすさゆえに日本酒のアルコール度数を一切無視して、わたしはカップいっぱいに注がれた日本酒を水のようにガブガブと飲んでしまいました。
串焼きも完食し、もう1品何か食べたいと思い、店内にふと目をやり、壁メニューに貼ってあった、おすすめと銘打ってあるおでんを注文。
大根、たまご、こんにゃく、昆布、練り物が7品入った、オーソドックスなものですが、東京のおでんにしては珍しく、あっさりとした味付けでした。
ボリュームもあるのでシメにも丁度いいんじゃないでしょうか。



さきほどの日本酒も飲み干したところで、追加で一杯日本酒を欲してしまいました。
今度はおでんに合いそうな「富貴 辛口」で。
おでんには、大吟醸のようなスルスルと水感覚で飲めたり、甘かったり、香り高かったりと、洗練された飲み口の日本酒より、普段使いの辛口で微かにアルコール感のある日本酒のほうがおでんとの相性が良くて美味く飲めるんじゃないかと個人的には思います。
それに加えて、高架下の渋い大衆酒場で飲むからより一層美味く感じるんです。
残ったおでんの汁を日本酒と割って、だし割りにしようと思ったが、ここは赤羽ではないのでやめておきました。
これから少しずつ少しずつ冷え込むこの時期、鍋ものや煮込み、おでんが酒場の看板メニューとなり、おつまみの主役として幅を利かせていく。
それに合わせるお酒もビールから日本酒に移り変わっていくんだろう、などとしょうもないことを考えついては酒を体内に流し込んでいく。
ひとりで飲んでるときの無駄でしょうもなく、ダラダラと過ごす時間がわたしにとって愛おしいので、こういう時間をこれからも大切にしていきたいなと思います。
ほろ酔い気分になったところで、翌日も仕事があるので1時間ちょっとで退散。
お会計はお酒4杯、おつまみ4品で3700円ほど。少し贅沢をしてしまいましたが美味い酒が飲めたので良しとしましょう。
ところで最初、サワー系を1~2杯程度飲んだら帰ろうと思っていたのに、気づいたら日本酒を2杯も頼んでしまい、満足気な笑みをマスクの中に浮かべて家路へと急ぐ自分がいました。
こうしてちょい飲みチャレンジには失敗したのです。


そうそう、SNSにこの店で1人で飲んでいる様子を載せたところ、友人がわたしの姿を目撃したと。
ひと声掛けてくれたら良かったのにと思いましたが、確信が持てなかったとのこと。シラフの友人にひとり酔っ払ってる姿を見られるのは、ふだん意識してないけど、何だか小っ恥ずかしいと思ったので、そっとしといといてくれて良かったかもしれません。
グッジョブ、友よ。
さて、次はどこで飲もうかな?

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