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PM4:45

八月某日。
摂氏38℃と示された電光掲示板を横目に京都のとあるバイパスを走る。
10年ほど前までであれば全国のトップニュースになるレベルの暑さだっただろう。どこかのシンクタンクによると全世界の平均気温はここ100年で0.74℃上昇しているらしいが個人的にはさようではないと感じる。鼻をぐずるほど冷房を浴びているものが言うには説得力に欠けるが。

ちょうど10年ほど前の夏。
あの夏は私にとって最悪の決断だった。

プラットフォームに発車のベルが鳴り響く。遅れたらいいのにと願う私の気持ちとは裏腹に市営地下鉄はいつも定刻通りに発車する。始発駅で人混みの少ない車内を見渡し先頭車両の座席の端に座る。
学校が終わり片道2時間。サッカーの練習をするため毎日大阪へ向かっていた。
大好きだったサッカーを楽しむことは忘れ、多忙な日々からくる身体的疲労、精神的ストレスに耐えられず14歳の私は逃げた。以降、私が立ち上がることはなかった。
辛い選択だったが何よりも辛かったのは自分を偽ることだった。
周りの人に偽ることで面子を保ち、白い目で見られたくないと必死だった。

後悔と挫折。この言葉が一番よく似合う選択だったと思う。
逃げることを選択し、たくさん失った。たくさん偽った。そして、一生の後悔をした。
人生において私史上一番の間違いといっても過言ではないだろう。
けれど、これで良かったと思っている。
それ以降、絶対に逃げることがなくなったから。

間違った選択を正解に変えていくことはできると思う。





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