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「にじさんじ」運営会社のANYCOLORがIPOでついに上場!

こんにちは、アニメ社畜系投資家のでこです。

GW前の4月28日(木)、Vtuber界に衝撃が走りました。

ANYCOLOR(通称:えにから)は、バーチャルライバーグループ「にじさんじ」を運営する会社で、Vtuber運営会社の中で上場第1号となりました。

なので、話題性は非常に高く、既に2022年最も注目のIPOとの呼び声も高いです。

そこで今回はANYCOLORの有価証券届出書を参考に、注目ポイントをピックアップしていければと思います。

会社概要

ANYCOLORの会社概要は以下の通りです。

[社名] ANYCOLOR株式会社 
[設立] 2017年5月2日
[資本金] 約25億円
[代表] 代表取締役CEO 田角 陸
[従業員数] 216人
[社員平均年齢] 30.2歳
[社員平均年収] 457万円

CEOの田角さんは早稲田大学在学中の21才の時にいちからを創設した学生起業家出身の方です。
高校時代偏差値40から早稲田の理工学部合格したり、大学時代の仲間が起業をあきらめ就活していく中、1人になっても決して諦めなかったりと、努力家+強い起業家スピリットをお持ちの方です。
キズナアイさんを見て「これからバーチャルYouTuberの時代が来る!」と確信して、いちからを創業したようです。

事業内容

ANYCOLORの事業内容をご紹介できればと思います。

概要

「にじさんじ」をメインとした自社所属バーチャルライバーの配信・ライブ・コンテンツ展開。

にじさんじプロジェクト・現在150人のライバーが所属

①ライブストリーミング領域

YouTube配信によるアドセンス収益やメンバーシップ料、スパチャの投げ銭などで収益を挙げていく事業領域。

②コマース領域

にじさんじ等のキャラクターIPをライセンス展開していく事業領域。商品化展開をするコンテンツ事業、ライブやイベントのチケットや物販を収益とするイベント事業がございます。

にじさんじ オフィシャルストア

③プロモーション領域

にじさんじ等のキャラクターを利用して、ゲームコラボ・コンビニタイアップ等の宣伝に関わる部分でメディア出演料やキャラクター使用料を取っていく事業領域。

にじさんじ x ウェンディーズ/ファーストキッチン・タイアップ

全体図

各事業領域の全体図は以下の通りです。

ANYCOLOR社・有価証券届出書より一部抜粋
ANYCOLOR社・有価証券届出書より一部抜粋

事業のイメージとしては以下の通りです。

①LIVE Streamingを起点としてにファンを獲得していく
②ファンがある程度獲得できたところでライブやイベントを行い、交流を深めていく
③ファンの数がマス化し、影響力が出てきたらコマースやプロモーションなどの展開をしてブランド認知度を高めていく

また、海外展開も行っており、にじさんじには現在英語圏Vtuberが20名在籍しております。

NIJISANJI EN

業績推移

ANYCOLOR社の業績推移を見ていきたいと思います。

ANYCOLOR社・有価証券届出書より一部抜粋

売上高・経常利益の年間推移を分かりやすく棒グラフにしてくれている資料がありました。

ANYCOLOR社・有価証券届出書より一部抜粋(※一部筆者より追加あり)

売上高について、第1期の2017年は1600万円程度だったのが、第5期の2022年度には100億円に到達しており、ここ5年間の売上高成長率なんと600倍!
しかも経常利益においても2017年は300万円の赤字から、現在30億円の経常黒字となっております。
このことからも、ANYCOLOR社は超成長(ハイパーグロース)をしている企業であると言えます。

営業利益率、驚異の30%!

ANYCOLORの収益性は年々向上しており、今期についてはなんと30.9%の営業利益率となっております。

ANYCOLOR社・有価証券届出書より一部抜粋(※一部筆者より追加あり)

この30%以上の営業利益率を記録している同業他社は任天堂、アニプレックス(ソニーグループのいち子会社)、東映アニメーションなど、数えるほどの優良アニメ・ゲーム関連企業しか達成していない数字です。
どうして創業から5年しか経っていないANYCOLORがこのような高水準の営業利益率を叩き出しているのでしょうか?

営業利益率の高さの秘密:売上ミックスの改善

ミックスの改善とは何かというと
「これが売れたら利益率良いから営業利益上がるんだけどなー」というものが売れ始めて収益性が改善することです。

例えば前年度売上が10億円あったとして、売上の源泉となる製品の営業利益率利益率が2%だとしたら、利益は2,000万円です。
これがもし、今年度の売上の源泉となる製品の営業利益率が10%だったとしたらどうでしょう?そうなるとたとえ売上が同じ10億円だったとしても、利益が1億円となるので営業利益2,000万円→1億円となり、なんと営業利益5倍成長ということになるのです!

この例を元にANYCOLORの売上構成表を見てみましょう。

ANYCOLOR社・有価証券届出書より一部抜粋(※一部筆者より追加あり)

上記によると、コマース(コンテンツ)領域とプロモーション領域の売上が上昇しています。
ここの売上だけで2021年度-2022年度の間で約22億円上がっており、この領域の売上の営業利益率が良いのだと私は考えております。

なぜそう言えるかというと、ここでメインとなる展開はもちろんにじさんじの商品・販促プロモーションで、これらはANYCOLORの自社IPとなるのですが、自社IPコンテンツのライセンス展開は利益率が高いからです。
自社IPとは、簡単に言いますと、「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」などコミック出版社やアニメ製作委員会などのステークホルダーがいる他者IPとは違い、完全に自社に著作権が帰属するコンテンツの事です。そのため、ステークホルダーへの著作権使用料が発生しません。
にじさんじのコマース領域やプロモーション領域でも売上は、書類業務や監修業務などの諸経費・人件費だけが原価となり、ステークホルダーへの著作権使用料を払う必要がないため営業利益率が高いと言えます。

逆に、ライブストリーミング領域は、もちろん自社IPを起用した配信なのですが、プラットフォームはGoogleの提供するYouTubeを使用しているため"プラットフォーム手数料"が発生します。
例えば、にじさんじのライバーが1万円の投げ銭を受け取ったとしたら、30~40%ほどGoogleに手数料が抜かれ、のこり6,000~7,000円がANYCOLORに入り、その一部がライバーへのギャラとして入ります。

なのでビジネス効率のことを考えると、ライブストリーミング領域はファンの数を獲得していくことに注力し、コマース領域やプロモーション領域にあたるビジネスでキャッシュを稼いでいけると、ANYCOLORの利益はどんどん大きくなっていく形となります。

なお、この自社IPという考え方は、アニメ・映画・ゲーム・玩具・出版などのコンテンツ業界における最も重要な成長ストーリー構成要素です。
過去に動画にまとめましたので、もしよろしければ以下の動画もご参考頂ければと思います。

貸借対照表(バランスシート)

ANYCOLORの貸借対照表を見ていければと思うのですが、注目すべきは利益剰余金の部分で、ここ1年で利益剰余金が6,000万円→10億円と、なんと10倍以上増加しています。

ANYCOLOR社・有価証券届出書より一部抜粋(※一部筆者より追加あり)

損益計算書

営業利益については前述の通り急上昇しています。また、粗利益率も少しずつ上昇しています。

ANYCOLOR社・有価証券届出書より一部抜粋(※一部筆者より追加あり)

キャッシュフロー計算書

ANYCOLORのキャッシュフローも見ていきたいと思います。

[営業キャッシュフロー]
・営業キャッシュフローがプラスに転じている。
・営業キャッシュフローマージン約17%と高水準(通常10%以上あれば〇)

[投資キャッシュフロー]
・きちんと事業投資も行っている(今期+5億円の投資をしているがこれはオフィス移転の敷金の模様)。

[フリーキャッシュフロー]
・フリーキャッシュフロー36億円と財務面でも盤石。

ANYCOLOR社・有価証券届出書より一部抜粋(※一部筆者より追加あり)

IPOの場合、「売上は成長しているけど、収益・営業キャッシュフローはマイナス」という会社が珍しくありません(本来は「成長してるけどお金が…」という会社がIPOして資金を獲得するというイメージです)

しかしANYCOLORは上場時点で経常利益黒字、かつ営業&フリーキャッシュフロー黒字と素晴らしい財務状況となっております。

IPO情報

ANYCOLORのIPOの情報を以下まとめたいと思います。

スケジュール

[抽選申込期間] 5月24日~5月30日
[当選発表日] 5月31日(火)
[上場日] 6月8日(水)

IPO当選株数

[公募株数] 50,000株
[売出株数] 1,288,600株
[当選株合計] 1,338,600株

想定時価総額・想定価格など

[想定時価総額] 約446.9億円
[吸収金額] 19.9億円
[想定価格] 1,490円
[予想PER] 47.68倍 (※EPS31.3円換算)

これだけ見るとPER的に割高のように感じます。
ただ、このPERは2021年度のEPSをベースに算出されております。
2022年度のEPSはQ3終わった時点で68.79円ですので、これをベースに算出されたPERは21.66倍と割高感は感じられません。
むしろ2022年度Q4がまだ乗ってない段階ですので、もしかしたらPERは20倍台切ってくる可能性すらあります。

「やさしいIPO株のはじめ方」一部抜粋(※一部筆者より追加あり)

幹事証券リスト

ANYCOLORのIPOにおける幹事証券は以下の通りです。

「やさしいIPO株のはじめ方」一部抜粋

大株主

ANYCOLOR社・有価証券届出書より一部抜粋

社長の田角さんが43.11%と半数近く持っておりますので、「この辺りは売らないだろう」と思いますので、安心できますね。

また、香港のベンチャーキャピタルや、ソニー・ミュージックエンタテインメント、モイ、Klabなどが保有しているようです。

ANYCOLORへの投資・メリット/デメリット

ANYCOLORへの投資のメリット/デメリットを以下まとめたいと思います。

[メリット]

★業績が急成長している会社に投資できる(しかも黒字化して財務も〇)
★今後株主優待など、株主優待しか受けられないにじさんじ特典が出てくるかもしれない
★日本のVtuber界の発展のために投資できる(Vtuber運営会社の中で上場第1号)

[デメリット]

▲今後もVtuber界がこの調子で市場成長し続けるのか?今がピークなのではないか?
▲Vtuberの炎上リスク
▲競合他社(今はCOVER社だけかもだが、今後また新たな競合が出てくる可能性もあるかも?)

☆★☆★

以上となります。
ANYCOLORのIPOについて、YouTube動画でもまとめておりますので、もしよろしければこちらもご参考頂ければと思います。

私はこのGWにすべての幹事証券会社の口座開設申請しました(笑)
まぁ当選確率は非常に低いとは思いますが、、それでも可能性かけて応募して、なんとかこのビックチャンスを掴みたいなぁと思っております(祈祷モード)


※本記事はANYCOLOR株式会社への投資を推奨するものではありません。


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