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拝啓 本を愛するあなたへ

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読書家と歌人見習い。顔も名前も知らない二人の共通点は、ただ1つ。「本が好き」。本を読む喜びを語り、分かち合うための往復書簡。あなたの好きな本、教えてください。
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記事一覧

「ことば」を満たす<器>になる——鷲田清一『だんまり、つぶやき、語らい——じぶん…

拝啓 9月だというのに残炎おとろえるところを知りません。ただ、夜の生きものが眠りにつき、…

既視の海
8か月前
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言葉を愛する者としての本分

拝啓 前回のお手紙を頂いてからかなりの時間が空いてしまい、大変申し訳ありませんでした。…

菅野紫
8か月前
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身を賭して成し遂げるものは何か——かんべむさし『車掌の本分』、上橋菜穂子『バルサ…

拝啓 夏至をすぎれば梅雨も折りかえし。ただ近ごろは、そぼ降るよりも篠突く雨ばかりに思われ…

既視の海
10か月前
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国語の教科書から辿る読書体験~読書の祝祭の続き~

拝啓 雨が降ればまだ少し肌寒く、けれど陽が射せばすでに夏のそれ。「季節感がはぎ取られるよ…

菅野紫
10か月前
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読書の祝祭たるものは——志村ふくみ『一色一生』、柴田元幸訳『ハックルベリー・フィ…

拝啓 五月尽日というのに入梅のような曇り空です。平年よりも1週間ほど早い。季節感が一枚、…

既視の海
11か月前
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言葉と本を重ねる書簡~『手紙、栞を添えて』から始まる手紙~

拝啓 気づけば紫陽花が咲き始め、もう間もなく雨の季節を迎えるこの頃。朝晩肌寒い日々が続き…

菅野紫
11か月前
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言葉の力を信じる——ジル・ボム『そらいろ男爵』、鎌田實『雪とパイナップル』、アーシュラ・K・ル・グィン『オメラスから歩み去る人々』【書評】

拝啓 寒暖の差が大きく、薄暑というには朝の冷気が身にしみます。しかし、あなたからの手紙はまさに、心のなかを吹き抜けた薫風でした。 本はただ、そこにあるだけでは無力だ。でも読む人がいて、それを手渡す人がいると、大きな力になる。そんなあなたの言葉を体感したくて早速、鎌田實『雪とパイナップル』を手に取りました。そして日本人看護師ヤヨイさんのふるまい、そして表紙画のパイン缶の意味が分かり、白い雪に包まれたベラルーシの小さな町を想いました。 「ひとりの子どもの涙は、人類すべての悲

往復書簡~本が好きな方へ送る、本好きの手紙~

既視の海様 気づけば花水木の時期も終わりに差し掛かり、日ごと夏めいてくるこの頃、いかがお…

菅野紫
1年前
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ひとりの本好きが、本好きの友だちに出す手紙

はじめまして。 まだ名も知らぬあなたに、このような手紙を書く不躾さをお許しください。驚か…

既視の海
1年前
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