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【8/30】岡本裕一朗『フランス現代思想史』(中公新書)を読む#12※最終回(基礎力向上ゼミレポート@ソトのガクエン)

本日は、『フランス現代思想史』第5章デリダの部分の残りを、Mさんをリーダーとして読み進め、いろいろなお話をいたしました。

後期デリダは政治的・実践的なテキストを積極的に発表していきます。当時、「歴史の終わり」を主張したフランシス・フクヤマによるマルクス主義の終了宣言とポスト構造主義は近似したものと考えられており、こうしたレッテルを拒否すべく、デリダは積極的にマルクスを中心とした政治的議論を展開したということが、とりわけ、本書では『マルクスの亡霊たち』を参照しながら論じられます。

また、その際デリダが提起する「亡霊的」という概念が、現前性の拒否という点で前期デリダの脱構築を引き継ぐことが論じられ、これをさらに展開したものが「メシアニズムなきメシア的なもの」であるということでした。

『フランス現代思想史』全般として、個々の哲学者・思想家の概念が簡潔に整理されていますが、より詳細な内実や、概念間の繋がりについては、新書という形態もあって、やはり原典にあたって確認する必要があります。とはいえ、フランス現代思想全体を捉えるという意味では、適したテキストであったと思われます。



6月から3ヵ月に渡って読んできました、『フランス現代思想史』もこれで終了です。レヴィ=ストロース、フーコー、ドゥルーズ=ガタリ、デリダの章を読み終えることができましたので、フランス現代思想の概観は一応捉えられたかと思います。

次回、9月6日(火)22時からは、浅田彰『構造と力』(勁草書房)をテキストに読んでいきます。およそ40年前、構造主義やポスト構造主義が現代思想として導入され、ニューアカデミズムと呼ばれ流行しました。『構造と力』はどのようにこれらを紹介し、また、現在のフランス現代思想の理解とどのように違うのかなどについて、皆さんと理解を深めていきたいと考えています。
※『構造と力』については、参加者のみなさんと一文ずつその場で読み進めて内容を確認していくスタイルで実施する予定です。

ご関心おありの方は、ぜひご参加をご検討ください。参加者一同大歓迎です。詳細は、HPもしくはPeatixをご覧ください。

ソトのガクエンHP:哲学的思考養成ゼミ・現代思想コース
Peatix:定額課金プラン


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