return to forever「return to forever」

このアルバムはインパルスでもブルーノートでもなくリヴァーサイドでもなく、「ECM」(edition of contemporary music)である。

「ECM」とはマンフレートアイーシャという人がドイツのミュンヘンに創設したヨーロッパのジャズレーベルだ。

「return to forever」は新しいジャズの幕開けでもあったマイルスディヴィスの「bitches blew」にも参加していたチックコリアは今までなかったエレクトロニックピアノでのアプローチを行い、このアルバムで大成功を収めたのである。

確かにこのアルバムは聴きやすい、イージーリスニングとまでは言わないが、コルトレーンのゴリゴリした熱いジャズとは違うにしても、内面に熱いものを含んだ演奏をしつつ多くの人に受け入れられる内容となっている。

この作品の良さは一曲目の「return to forever」のイントロを聴けば分かる、3.4曲目の「what game〜」「some time ago」では女性のヴォーカルが入りリラックス出来る。

当時ジャズ喫茶でもこのアルバムをリクエストする人が絶えなかったらしいが、かなりわかりやすいサウンドになっているが、それに加えて新しさもある(当時)

このアルバムがリリースされたのは1972年だが当時ジャズ喫茶は学生運動をしていた人間の溜まり場で、そこでは熱く、思想性を持っていたコルトレーンが受けていたらしい、しかし同年2月に浅間山荘事件が起こり、学生たちによる「政治の季節」は終わり、それに取って代わったようにこの作品が受け入れられたのだった(後藤氏の本によれば)

このアルバムではスタンリークラーク(b)レニーホワイト(ds)が参加しているが実はこの2人のミュージシャンの出会いは自分は初めてではない。

かなり昔ジャズを聴く前に「vertu」というロックギタリストのリッチーコッツェンが参加した作品が最初だった。当時はリッチーコッツェンが目的で購入したものだった。

Vertuというプロジェクトは「歴史に残るフュージョンを残そう」とスタンリークラークが立ち上げたものだが、各楽器の超絶技巧が聴けるかなりかっこいい楽器バトルが聴ける。

しかしスタンリークラークという人は普段ジャズを聴く人からあまり認められていない気がする、ジャズ評論家の書籍を読んでもスタンリークラークのソロ作品が良いといったレビューは全く見当たらない。

スタンリークラークという人はどちらかというとジェフベックと共演したりしてロックよりだったり、超絶技巧だったりでそこら辺がジャズとしての評価を遠ざけているのかもしれない(まあフュージョンなのだろうけど)そういえば上原ひろみとも作品を作っていたが。

いずれにしても「return to forever」はECMの代表作でありコンセプトにあった美しいジャケットとそれに見合ったセンスの良い演奏が聴ける。

まだ聴いたことがない人は是非。

そういえばこの後にギターにアルディメオラが参加するが、この人も「ジャズ界」ではあまり聴かれていない気がする。

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