ビルエヴァンスと上原ひろみ

自分もジャズを聴き初めてまだ日が浅いがジャズを全く聴いたことのない人に何を薦めるかを考えるとやはりビルエヴァンスを薦めると思う。もっと言えば、「waltz for debby」を選ぶかもしれない。 

自分が初めて聴いたジャズのアルバムは「kind of blue」であった、しかしジャズ界で最も有名なアルバムだがあまり初心者には勧められない気がする、スピードも遅く、音数が少なく「なんだか退屈だな」と思う人もいると思う。(自分もそうだった、もちろん今は違います)

そもそもモードという概念を知らないと良さが分からないというのが初心者を遠ざける原因だと思う。しかし「kind of blue」の中で引っかかったのが「blue in green」という曲だ、特に耳をひいたのはピアノの旋律だった。

ビルエヴァンスを語る時よく言われるのが「リリカル」「繊細」といった言葉だが、このアルバム(waltz for debby)を聴くと速弾きに頼ることなく、一音一音丁寧に音を選んでいる、スピードは遅いがメロディもあり「kind of blue」よりはわかりやすいと思う。

「waltz for debby」は一曲目の「my foolish heart 」のイントロが良い、ジャズはメロディを崩すものだが、いきなり綺麗なメロディである、ジャズというよりクラシックに近いような。

2曲目の「waltz for Debby」もそうでこのイントロも分かりやすい、昔何かのCMに使われていたことを思い出した。

しかしビルエヴァンスの場合「わかりやすい」だけではなく「中身の濃い演奏」でもある、と後藤雅洋さんが言っていたが、そこら辺が他のジャズミュージシャンにはないところではないか。

「waltz for Debby」はライブアルバムである。実はそこにいる客はそんなに真剣に聴いているわけではない、グラスの音がカチャカチャしているし、喋り声や笑い声も聴こえる。

殆どの客がながら聴きだったのかもしれないが、どの曲も繊細で緻密でクレバーな演奏で、飯を食べたり喋りながら聴くようなタイプの音楽ではない、聴く側にも集中力を必要とするものである。

ビルエヴァンス以外だと例えばスタイルは全然違うが、ジャズの入り口は上原ひろみもかなり良いと思っている、ロック好きなら上原ひろみは聴けるかもしれない、スリリングでテクニカルなギターの速弾きが聴けるし、そもそも上原ひろみのピアノもそのような感じだからだ、先日公開された「blue giant」のピアノは上原ひろみが弾いている。

普段ロックを聴いている人が上原ひろみのピアノを聴いたら「かっこいいじゃん」となる可能性はある。

保守的な人は「上原ひろみか…どうもな」思うかもしれないが、自分はバラードが好きな人はビルエヴァンス、ロックが好きな人は上原ひろみが合うような気がする(自分が勝手に思っているだけですが)

ジャズ初心者の自分が今のところ最も良かったジャズのアルバムを10枚選べと言われたら確実に「waltz for debby 」は入る、後はマイルスデイヴィスの「bitches blew」だが、他はまだ決まってません。

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