歌で感情を描く〜心を音に変える楽しみ方〜
歌を歌うことは、ただ音を出すだけの行為ではありません。
歌詞に込められた物語や感情を、自分自身がその場で体験しているかのように表現することができる、まさに擬似体験の場です。
喜び、悲しみ、怒りまたはもっと複雑な感情をメロディーに乗せ、その瞬間だけ自分がまるで他人の人生を生きているような気持ちになれる。
これは歌うことの大きな魅力の一つです。
そして、その感情をどのように音に変えて表現するかを探るプロセスには、無限の楽しさがあります。
私は歌の学びのスタートがクラシックでしたが、何が楽しかっったかというと、歌詞のストーリーを自分なりに解釈して表現すること、つまり擬似体験している時間がとても楽しかったのです。
色恋を歌にした際、クラシックだろうがポップスだろうが昭和歌謡だろうが、内容は何も変わりません。(笑)
高校・大学の頃はその歌の世界で没入体験をしまるで自分がその経験をしているかのように感情移入することを楽しんでいました。
これのいいところは、楽しくテンションが上がっている時にはそのような曲を、辛く悲しくて立ち直れないような時はそのような曲でとことん自分の感情を外に出すことができることです。
そういう意味では歌を歌っている時間というのは、自分の心と向き合う時間にもなります。
そして、演奏活動を行うようになってからは“お客様はこのフレーズ(歌詞)にどんな音色を求めているか”をひたすら考えるようになりました。
歌のメロディーの中にはキーになる音というのがあります。
その音を言葉の意味やニュアンスと一致させた音色で歌い上げることができた時に“心に響く歌”となると私は思っています。
実は、辛く悲しい歌を歌う時に、暗く重い声で歌ってしまうと“感情に浸っている人”にしか見えません。
もちろん、歌って感情にどっぷりはまりたい気分の時はとても効果的です。
しかし表現をしようとした時は、聴いている人が共感できるような歌い方、または心に響くように歌いたいと思うのではないでしょうか。
その場合は、1つのテクニックとして、辛く悲しいフレーズこそ明るく通る声で丁寧に歌います。
そうすることで、“悲しく辛い”という感情が尊いものとなり、その部分が程よく浮き出るようになります。
また、歌い方として表と裏、光と影、寄せては返す波のように反対のものをフレーズの中で表現するようにすると、生きた人間の感情を表現しやすくなります。
では、このような感情表現を楽しむためにはどうしたらいいか。
まずは心を解放して歌詞を何度も読み返して見てください。
そして、歌詞を付けずにラララ〜など歌詞を付けずに歌い音を感じます。
ハミングでもいいですね。
歌詞をつけずに歌うことで、シンプルにグッとくるメロディーに気づけると思います。
その上で、歌詞をつけた歌ってみるとグッとくるメロディーに大事な言葉が来ていることが多いです。
そうすると、そこをどんな声でどんな風に歌いたいかが自分の中から込み上げてくるのではないでしょうか。
それが“歌”です。
自分が思っていた以上に深い感情を持っていることを、歌を通して発見することもあるかもしれませんね。
さらに他者の感情や物語を通じて、自分自身の感情の幅が広がることもあると思います。
歌うことで自分以外の人の感情を疑似体験し、自分自身の新たに発見する旅を楽しんでみましょう。
もし歌を通じて感情表現を深めたい、自己表現をもっと楽しみたいと感じた方はぜひ私のレッスンを受けてみてください。
一緒にあなたの音楽の可能性を広げていきましょう!
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