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開業社労士のお仕事公開

以前の記事では、社労士が企業のお客様より業務の依頼を受けるケースを5つご紹介しました。

社会保険労務士というと、「社労士って何をしてくれるの?」と思われる方も多いと思いますし、実際に尋ねられることも多々あります。

今回は、開業社労士が具体的にどのようなお仕事を受けているかについて、その一部を開業社労士の視点からご紹介します。


①従業員の入退社手続や社保、雇用保険関係の手続代行

こちらは社労士の基本業務ですね。
労務に中々手が回らない中小、零細企業さまの社長やご担当者に代わり、社労士が必要な手続きを代行します。

社労士に依頼するメリットとしては、アウトソーシングによる業務負担の軽減や事務の正確性、スピード感などが挙げられます。

労働保険の給付申請業務や、出産育児・介護給付関連業務などは、
その分野の制度への理解が必要ですから、専門家に依頼するメリットは大きいです。

②労働法令に沿った労務管理サポート


雇用に関する諸法令に沿って労務管理をサポートします。
労働基準法に定められた雇用契約書のひな型を作成したり
最低賃金を割らないように給与体系を助言したり
法令を下回らないような勤務体系(休日数や所定労働時間、休憩時間など)を提案したりします。

雇用に関連する諸法令には、労働基準法、労働契約法、最低賃金法、労働組合法、労働施策総合推進法、育児介護休業法、有期パート労働法、労働者派遣法などがあげられ、その範囲は大変広く細かいものとなっていますので、このあたりの実務面を社労士がカバーしています。

③労使トラブルの未然防止


労働諸法令の規定を守っていくことは、ひいては労働トラブルの未然防止につながります。

また、従業員の退職、解雇、懲戒処分、ハラスメント、メンタルヘルスの問題など、やり方を間違うとただちに労働問題に発生してしまうセンシティブな問題に対しても、トラブルが深刻化しないようその対応法を助言したりもしています。

④給与計算の代行


給与計算は従業員の生活に直結する非常に重要な業務です。

未払残業がないよう、最低賃金を割らないよう、36協定で定めた上限時間を超えないよう、社会保険料や雇用保険料に適切に加入し、適切保険料が控除されるよう、多くのチェック項目をクリアしながら計算しなければなりません。

自己流で給与計算をやってきた挙句、誤りを指摘されて2~3年分遡及計算を行わないといけなくなった、というケースも会社の規模に関わらず散見されます。

給与計算は税金のプロである税理士さんも行っていらっしゃることも多いですね。
給与計算自体はどちらが代行してもいいのですが、年末調整は税理士さんの専門分野となりますのでご注意ください。


⑤就業規則の作成や変更

従業員数が10人以上になれば会社の就業ルールである「就業規則」を作成する義務があります。
私は、10人以下の企業であっても助成金を申請することをきっかけにして
就業規則の作成代行を承ることが多々あります(助成金を申請する場合は就業規則が必要なことが多いです)。

就業規則は会社のルールブックですので、例え人数が少なくとも「社員にはこんなことを気を付けて働いてほしい」といった社長の思いを明文化させるツールとして活用し、前のめりに作成をしていただきたいなと思います。

⑥助成金の申請代行

雇用に関する助成金には、従業員に働きやすい環境を整備した時や、育児や介護と仕事の両立支援に取り組んだ時、非正規従業員の待遇を改善した時や、就職困難者を雇用した時などに支給するものがあります。

財源は企業や従業員が納付した雇用保険料を充てているものも多いので
従業員の働く環境の改善のためにも、雇用保険料の元を取るためにも
私は申請できるならきっちり申請することをおすすめしています。

助成金の審査は、賃金台帳や雇用契約書、出勤簿や労働者名簿などの法定帳簿が法定の基準を満たしてキッチリ用意されているか、残業代がきちんと支払われているか、就業規則と雇用契約、そして実態に齟齬がないかなど、細かいところまで労働局により審査されることになります。

そのため普段から労務管理をきちんとしていることが助成金申請の大前提となりますが、これは企業にとっては少々面倒に感じることかもしれません。
私は、その「当たり前」の状態に持って行ってもらうためのインセンティブとしても、助成金はぜひ活用をしていただきたいと思ってご提案するようにしています。

ちなみに、私は助成金のために「付け焼刃的に書類だけ整える」、ということをしたくないので スポットによる助成金申請代行は一切受託していません。
労務管理を継続的にサポートし、面倒を見させていただいける関係でないと心配なので、助成金のスポット代行はとても受託できません。


⑦賃金制度の改定、提案


スタートしたばかりの企業では、「基本給をどの程度に設定するか?」「どのような手当を設定するか?」「残業代の見込はどれくらいになるか?」ということを検討しないと、従業員の給与を決定できません。

このような時、
「今は最低賃金が〇円だから、基本給と〇手当で合わせて〇円以上を固定給にする必要はありますね。残業の見込が〇時間でしたら、ここに乗ってくる残業代は〇円程度です。
さらに、社会保険料の会社の負担額は〇円程度となりますが、人件費の見込としてはいかがですか?」

というようなお話をします。

その時の社長の回答によっては、固定残業手当を導入するとか、皆勤手当を導入するとか、色々と提案を行って給与体系を一緒に作り上げていきます。


⑧その他(研修講師や従業員との面談など)

この業務については社労士により受託しているかどうか分かれると思います。
私の場合は研修講師であったり、従業員の採用面接に同席したり、
従業員との面談を代行したり(非弁行為に当たらないようヒアリングに終始します)という業務を依頼されることがあります。

直接従業員さんと対峙することで、その会社の空気感や従業員と社長との関係性が何となく分かってくることもあるため、情報収集の貴重な機会としてとらえています。

以上、開業社労士のお仕事の一部をご紹介しました。
実際はもう少し色々な業務もあるのですが、本日はこれくらいとさせていただきます!
ご参考いただければ幸いです。





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