アンソニー

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7月後半に観た映画

『ええじゃないか』(1981年 松竹) 監督/今村昌平 脚本/今村昌平・宮本研 製作/小沢昭一・友田二郎・杉崎重美 出演 桃井かおり 泉谷しげる 草刈正雄 露口茂 火野正平 倍賞美津子 緒形拳 今村昌平のこれまで観てきた映画の印象は、恐ろしいようなリアリズムとそれを跳ね返すポップさの同居、というイメージだったのだけど、この映画ではそのどちらも振り切れていなかった。豪華な俳優陣、壮大なセット、ものすごくお金がかかっていて、いかにも80年代の大巨編といった形だったものの、

    • 俳優・荒木一郎の魅力

       荒木一郎が演じる役は大別すると二つのタイプに分けられる。  一つは「スマートな不良」。このタイプの役では荒木一郎本人のイメージにピッタリすぎるゆえ、「演技しているように見えない演技」という素晴らしい技が発揮されることとなる。とはいえ、実はかなり計算された上で演じられていることが、『まわり舞台の上で』や『空に星があるように』で記されている。持ち前のセンスの良さ、手先の器用さ、洗練された身のこなしに加えて、努力しているようには見せない自然体の演技。森茉莉が絶賛した「一流の

      • 劇団どくんご 「夏型天使を信じるな」観劇 2日目

        どくんごラストツアー2日目も観てきた。毎回、地元での公演は全公演観に行っている。2日目以降は全体の流れをつかんでいるので、予め見どころを押さえた上で観ることができるのが魅力だ。初日のような新鮮な驚きは薄れるが、やはり演劇はナマモノであるだけに、日によって変わる部分もあり、自分自身が感じる印象やツボも毎回違ったりするのが面白い。 この日、初日に違和感のあった即興パートがすごく良かったのが嬉しかった。初日の即興パートは内容に飛躍が無く、閉鎖された空間でどんどん小さくなっていくよ

        • 劇団どくんご 「夏型天使を信じるな」観劇

          劇団どくんご「夏型天使を信じるな」の札幌公演初日を観劇。長年観て来たどくんごの、5年ぶりの公演であり、ラストツアーでもある。 会社から帰って夕飯を食べてから急いで自転車で円山公園へ。いつもの公園の広場に大きなテントが建ち、そこにたくさんの人が行列していて、怪しい衣装の演者たちがその周りをウロウロ。5年前まで毎年のように見てきた夏の光景だ。これが最後になるのか、と感慨深い。 テントの規模が小さくなったことが心配だったが、入ってみると外から見るよりは小ささ感じず。座った場所が

        7月後半に観た映画

          荒木一郎の素敵な映画『白い指の戯れ』

          白い指の戯れ(1972年、日活) 監督 村川透 脚本 神代辰巳/村川透  荒木一郎の映画、といえば、まずはコレ!日活ロマンポルノの代表作で、ポルノとしては初のキネマ旬報ベスト・テン入りを果たした名作である。  相手役の伊佐山ひろ子がいい。ポルノ映画の主役にしては色気のない、頭の大きな子供のような体格。不貞腐れたような顔つきも、なんだか憎ったらしい小娘という感じ。それが映画の画面を動き回ると、とても個性的で、魅力的に映るのだ。実際とてもエキセントリックな女性だったという

          荒木一郎の素敵な映画『白い指の戯れ』

          荒木一郎が好きだ

           私は、荒木一郎が好きだ。  五~六年前のこと、CATVで再放送されていた『たとえば、愛』というドラマの中に、はじめて彼をみつけた。  『たとえば、愛』は、TBS系列の「木曜座」で1979年に全13回が放送されたテレビドラマ。大原麗子演じるラジオDJを主役とした、大人の愛のドラマで、荒木一郎は主人公がDJをつとめる深夜番組のプロデューサーを演じていた。  そのドラマは、夜にテレビをつけた時にたまたまやっていた。脚本は倉本聰だし、原田芳雄出てるし、面白そうだね、などと言って

          荒木一郎が好きだ

          今年の上半期に観た映画

           観た映画と読んだ本のタイトルをメモに取っている。十五年分くらいはあるが、きちんと振り返ったことは無かった。せっかくなので、今年上半期に観た映画のタイトルと、ひとことメモを記しておこうと思う。 2024年1~6月に観た映画本数 37本 ●アステロイドシティ ウェス・アンダーソンの映画はできるだけ観るようにしている。 テンポの良さ、オシャレさ、色々学ぶところが多い。真似できるかどうかは別として。しかし彼の映画はいつも私のような不勉強なものには難しすぎる部分が何箇所もあり、

          今年の上半期に観た映画

          猫の糖尿病

          2021年の10月から3年近くのあいだ、正月だろうが前日明け方まで呑んでいようが、朝は5時半に起きている。また、平日でも休日に出かけた日でも、どんなに遅くとも18時には帰宅している。 猫が糖尿病になったから。 朝6時と夜18時にはインスリン注射を打ってあげなくてはならない。そして注射を打ってしばらくの間は、猫がちゃんとご飯を食べているか、具合悪そうにしていないか、よく観察する。低血糖の危険があるためだ。 猫の糖尿病には人間のような合併症はない。インスリン注射さえちゃ

          6月15日(土)・6月16日(日)

          6月15日(土) 天気が良いので洗濯物をたくさん庭に干してから、自転車で豊平川へ。夫が作ってくれたサンドイッチと冷たいコーヒー。風がとても強い。サンドイッチはすごく具沢山で今にもこぼれそう。二人とも無言になって必死に食べた。美味しかった。 15時から3名の来客あり。劇団Dのテント芝居に札幌の制作担当として30年以上もかかわってきたYさんたっての希望で、4日間の公演が終わった翌日に「後夜祭」と題して行うイベントでの、とある計画のお手伝い。 終了後はお疲れさまの乾杯。「本物の不良

          6月15日(土)・6月16日(日)

          6月13日(木)・6月14日(金)

          6月13日(木) お昼休みの読書、今日は何を持って行こうかと積ん読の山を物色するも、どれも何となく「今じゃない」ような。 山下澄人を繰り返し読んで気づいたこと。「本は何度でも繰り返し楽しんで良い」そして「繰り返せば繰り返すほど理解が深まるし面白くなる」ということ。そこで内田百閒の「冥途」を読み返すことにした。百閒の本は、夢の内容のような描写が続くため、実際に目が覚めたときと同様に読み終わると忘れてしまう。だから何度でも読める。しかし今までは一冊の本を何度も読むことに少しの罪悪

          6月13日(木)・6月14日(金)

          6月11日(火)・6月12日(水)

          6月11日(火) 昼休み、安岡章太郎の短編集の続きを読む。「ガラスの靴」より面白いものは今のところなし。 仕事終わり、いつものように17時55分頃の帰宅。夫は今日はとんかつ定食を作って待っていてくれた。「これ外で食べたら二千円はするね」と二人ニコニコ食べる。 恒例のEPレコードを聴きながらの夕食。夕食の時間に来客の無い日は、レコードを聴く日と映画を観る日を交互に繰り返しているのだ。 レコードを聴く日は夫はお酒を飲む。私はお酒を飲まなくなって4か月になるが、何の支障もない。飲ん

          6月11日(火)・6月12日(水)

          6月10日(月)

          昨日の日曜日は山下澄人のトークライブに行った。その記憶が鮮明なうちに書き留めておこうと思い、noteをはじめてみた。勤務時間中。だって暇なんだもの。 お昼休みに安岡章太郎『ガラスの靴』を読む。古本屋さんの店先で100円だったのをいつだったか買ったもの。何かの本で、誰かが「青春小説の名作」というようなことを書いていて気になっていたのでネットで少しさがしたことがあり相場は知っていた。100円というのは破格だったので買ったのだ。短編集なのだが冒頭に掲載の『ガラスの靴』にだけ夥しい

          6月10日(月)

          『わたしハ強ク・歌ウ』について話す会

           小説家、山下澄人による「話す会」に行ってきた。最新作の『わたしハ強ク・歌ウ』について、著者の山下澄人と担当編集者が話す、という会。それがなんと、我が町札幌で行われたのだ。  『わたしハ強ク・歌ウ』は現在発売中の文藝夏号に掲載されていて、私は発売されてすぐに購入し、3回以上読んだ。私は私なりの解釈で楽しんで読んだので、著者本人や編集者の方がどのようなことを話すのか、興味があった。作家本人によるトークというのは、札幌に住んでいるとなかなか聞けるものではない。配信でも見られるとい

          『わたしハ強ク・歌ウ』について話す会