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劇団どくんご 「夏型天使を信じるな」観劇 2日目

どくんごラストツアー2日目も観てきた。毎回、地元での公演は全公演観に行っている。2日目以降は全体の流れをつかんでいるので、予め見どころを押さえた上で観ることができるのが魅力だ。初日のような新鮮な驚きは薄れるが、やはり演劇はナマモノであるだけに、日によって変わる部分もあり、自分自身が感じる印象やツボも毎回違ったりするのが面白い。

この日、初日に違和感のあった即興パートがすごく良かったのが嬉しかった。初日の即興パートは内容に飛躍が無く、閉鎖された空間でどんどん小さくなっていくような展開だったのに対し、2日目は逆に内容を次々に飛躍させ空間を拡げ、どんどん大きくなっていく印象。ラーメン屋の厨房からネッシーに出会うまでの鮮やかな飛躍!これがあるから即興は面白いのだと再認識。

役者がそれぞれ、最もその人らしい形で次の演者へ言葉を繋いでいく、だからどう展開してしまうのかが全くわからない。それがこの即興パートの醍醐味だったのだ。この現象に、正解も不正解もないだろうに、昨日は不安な気持ちを書いてしまってごめんなさい。

とはいえこの日もやはり「演出家どいのの不在」を感じてしまう部分はあった。最もその人らしい形で、と言われても、当人にとってそれは実にわかりにくいものだ。そこを見抜いて導くのが演出家で、どいのはこの能力に長けていたのだと思う。その感じはなぜだか、観客である私たちにも伝わってきた。だから、脇でどいのが笑っている、というのを観ただけで、役者も観客も安心できたのだ。これはやはりとても大きなことだ。この喪失感はどうしようもない。今回のどくんごは、この気持ちも含めて観る。

この日は即興でも丹生みほしが光っており、前の人の発した言葉を繰り返しているだけなのに会場に笑いが漏れるのがすごかった。ただ繰り返しているだけなのに!これは彼女の発する声のトーンや、存在自体から生じる違和感のようなもののためと思われるが、実に面白い現象だった。

そんな風に2日目の公演も終わった。初日同様、打ち上げがはじまる前に一人で帰った。自転車で帰る夜の道は涼しくて、なんとなく子供のころの夏を思い出した。
 

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