「俺は訳あって声優になりたい奴の手伝いをしなければいけなくなった」第9話
第9話 レッスン⑧光明は遠くから聞こえてくる声で目を覚ました。
頬に涙の跡がある。
顔をタオルで乱雑に拭うと、聞こえてくる声のほうに意識を向けた。
「おーい、聞こえるかー」楓の声だ。
「か、楓さん! おはようございます!」
「なんだよ、ちょっと声が聞こえなくなったと思ったけど、ちゃんと意思の疎通はできるようだな」
「さっきはどうしたんですか。急に声が聞こえなくなって、呼びかけても反応がないし」
「ごめんごめん、ちょっと意識が遠くなって、気づいたから呼びかけてみたんだけど、そん